ティラミー

ワールドウィッチーズ大好き人間 主にウィッチーズ関連の小説を投稿していく予定です

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最近の記事

翔び立つ剣(前編)

「どこもかしこも酷い有様だな…少し前までとは大違いだ」 暗くどんよりとした曇り空の下、建物の残骸の散らばる街中を歩きながらアイラは呟く。 昨日までは美しく人の活気で溢れていた街が一晩にして廃墟のような悲惨な状態になっている。 「一体どこの馬鹿なんだ!ユニウスセブンを地球に落とすなんてふざけた真似をしたのは!」 「口を動かしている暇があるなら手足を動かせ!まだ行方不明者が大勢いるんだぞ!」 「誰かモビルスーツを連れてきてくれ!この瓦礫が邪魔で通路が確保できない!」 街

    • 私のある日の日常

      講義が終わってハルトマンと待ち合わせをしている図書室に向かう。 しかしそこに私の待ち合わせ相手はおらず、代わりによく見知った別の相手がいた。 周りを見渡してみても私の求める相手の姿は髪の毛先すらもなく、私は途方に暮れた。 (あいつめ…今度はどこに消えた。トイレか?) 念の為鞄から出した携帯の連絡アプリの履歴を見て確認してみるがやはり相手からの通知は入っていなかった。 私が送った『終わったぞ。今からそっちに向かう』という相手から未読扱いにされたままのメッセージが最後のやり取

      • 青の友情

        「ん〜どうしようかなぁ」 エレオノール・ジョヴァンナ・ガションことエリーは悩みながら歩いていた。 彼女にしては珍しい表情。その理由は仲間たちとの今朝の会話にあった。 『せっかくだし街を見て来たら?』 ガリアでの記念式典が終わって数日が経った日、つまり今日グレイスからそんなことを言われた。 ネウロイに故郷を追われて数年ぶりに帰って来た自分を気遣ってくれての発言だろう。 その場にいたアイラを含めた他のメンバーもグレイスに同調してくれた。 そのこと自体は嬉しいし、気持ちにも感

        • ルミナスウィッチーズと私【後編】

          2ndライブから少し経ったある日、ルミナスウィッチーズへの熱量が冷めていなかった私はふとこんなことを思いました。 『アイラ様にも戦うウィッチだった頃に仲間っていたんだよなぁ』と。 アイラ・ペイヴィッキ・リンナマー、ルミナスウィッチーズのリーダーでかつてはストライクウィッチーズやブレイブウィッチーズに登場したウィッチのように戦っていたが、戦闘での負傷により前線から離れて歌うウィッチになった。 そんな過去を持つ彼女は今でこそグレイスやエリーといった新たな仲間たちがいますが、そ

        翔び立つ剣(前編)

          ルミナスウィッチーズと私【前編】

          ルミナスウィッチーズ、私がその名前を知ったのは学生の頃。 その頃はまだワールドウィッチーズについては『ストパン』『スト魔女』などの略称や自衛隊とのコラボポスターなどで、キャラの絵を見た程度の知識しかありませんでした。 しかし何か新しいアニメを見たいなと思っていた時に『501発進します』のアニメが放送されるのを知り、15分程の長さでコミカルな作風でそれまでのシリーズを見ていなくても問題のなさそうな内容だったこともあり見てみました。 見てみると内容が面白く三話程経ったくらいには本

          ルミナスウィッチーズと私【前編】

          絆-WORNDERFUL WORLD-【中編②】

          アイラとアイザックたちが去って数時間が過ぎた邸宅。 夕陽の温かな光が室内に差し込むが、その光がジニーたちに安らぎを与えることはできず、彼女たちは皆心ここに在らずといった状態であった。 アイラからはライブの準備を進めるようにと言われたが、とてもそれができる気持ちではなかった。 「ごめんなさい…私が余計なことを言ってしまったばかりに」 「貴女が謝ることなんてちっともないわよ」 「ソフィーは軍人としての職務を全うしただけ。どこにも非はないのです」 「でも…」 アイラが離れ

          絆-WORNDERFUL WORLD-【中編②】

          絆-WONDERFUL WORLD-【中編】

          ネウロイの襲来、そして謎の銀色の巨人の降臨から数日後。 ブリタニアのある村を連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズの面々は訪れ、村に広がる景色に息を飲んだ。 「何よこれ、酷い…」 「話は聞いていたけど想像以上ね」 建物や木が軒並み原型を留めていない凄惨な破壊の跡に真っ先にリュドミラ・アンドレエヴナ・ルスラノヴァ『ミラーシャ』と音楽隊を束ねる隊長のグレイス・メイトランド・スチュワードが悲痛な面持ちで呟いた。 ブリタニアのある村がネウロイの襲撃を受けたという一報を受けて

          絆-WONDERFUL WORLD-【中編】

          贈るシルシ

          私は今緊張の真っ只中にいる。 とある会場に並ぶ席の一つに座って姿勢的には楽なはずなのに妙に落ち着かない。 「緊張してるの?○○」 「う、うん。まあね」 「そっか。そうだよね。実を言うと私も」 隣にいる友人もどうやら同じく緊張しているとのことでそれは安心した。 でも、だからといって緊張がまるでなくなったというわけではない。 だって私たちがいるこの場所でこれから行われるのは 「でも楽しみだよね。リュドミラ先生のサイン会、早く時間にならないかな〜」 リュドミラ、友達の口

          贈るシルシ

          絆-WONDERFUL WORLD-【前編】

          白銀の雪。果てしなく広がる大地が満遍なく白一色に染まり、その白を夕陽の橙がてらす世界。 その世界に少女はただ一人、ポツンと立っていた。 (雪?どこなんだここは…) 己を取り囲む風景に少女は首を傾げる。 消えぬ疑問を持ちながら試しに歩いてみる。 一歩踏み出すごとに足裏から伝わる雪のひんやりと柔らかな感触。 「あれは?」 雪の白と夕陽の橙しかなかった世界に別の何かが少女の前に姿を見せた。 「フィン!」 雪と同じ白い毛皮を持ったホッキョクオオカミが少女の到来を待っていた

          絆-WONDERFUL WORLD-【前編】

          私の一番は…

          黒い空に白い粉粒が舞い落ちる。 一見綺麗に見えるけどそれはさっきまでちっとも綺麗じゃない物だった。私は完全に白い粉が見えなくなるまでそこから動かず、手にしていた銃も降さなかった。 そして完全に消えたのを確かめてやっと安心して銃を降ろすことができた。 『応答して、聞こえる?聞こえてたら返事をしてジニー!』 「あっ」 耳に付けていたインカムから音がした。 私を心配してくれている声。基地にいる隊長の声だ。 「はい、聞こえます」 『よかった、無事ね。いきなり通信が途絶えたか

          私の一番は…

          愛猫のような彼女と…

          青く綺麗な空の下、うんざりするほどの寒さを肌に届ける風に体を震わせながら彼は街中を歩いていた。 「う〜さむさむ。天気予報で聞いてたより寒くないかこれ」 黒いコートの守りを貫通する程の寒さ。 せっかくの学校のない休日。普段ならば温かい布団の中にいただろうが今日は違う。 寒さに苦しんでも、天気予報の裏切りに嘆いてでも、外に出たいと思う理由があった。 「お、いたいた。待たせちゃったかな」 駅前で彼はその理由を見つけた。 白いコートを着たその理由は駅の目印の一つ、時計台の前に

          愛猫のような彼女と…

          魔の螺旋 あらすじ

          世界を我が物にしようと企む魔王の率いる軍勢と人間の世界の平和のために立ち上がった勇者たちの戦い。 激しい戦いの末に勇者は魔王を討ち滅ぼし、勇者たちは人間の世界に勝利と平和をもたらした。 それから数十年の年月が経った。 ある村に住む少年ゾラ、彼はある出来事をきっかけに自分が人間の母と魔王の配下である魔族の父との間に生まれた子どもである事実を知る。 人間と魔族、どちらの側の者として生きるべきなのか。 その答えを求めるためゾラは単身生まれ育った村を離れ旅に出る。 第1話 第2話

          魔の螺旋 あらすじ

          魔の螺旋 第3話

          村を出たゾラが辿り着いたのはテラストリア。 武器屋や雑貨屋など様々な店が並び、住民や外からやって来た旅人と思われる人々が目まぐるしく動いている。 「人がいっぱいいるなあ…あっちにもこっちにも」 村では見たことのない景色と人の数に圧倒されるゾラ。 「前に来た時は母さんと一緒だったんだよな確か」 まだ母が生きていて自分が小さかった頃どうしてだか理由は覚えてはないがこの場所に来たのは覚えている。 迷子にならないようにと母が手を握ってくれて、街中を散策していた。 数少ない母と

          魔の螺旋 第3話

          魔の螺旋 第2話

          村から少し離れた平地に音が響く。 その発生源にいるのはゾラとメラフ。二人は木でできた剣で模擬戦を行っていた。 「よし、今日はこのくらいにしておくか」 模擬戦を終えてゾラとメラフは近くの草木の上に座って休む。 持参しているタオルでお互いに流した汗を拭く。 「しかし久しぶりだな。お前とこうやって剣の稽古するなんていつ以来だ?」 「それこの前も聞いたよ」 「何回言ってもいいだろ。お前だって別に悪い気はしねえだろ?」 「しないけどさ」 「ゾラー!メラフさーん!」 会話

          魔の螺旋 第2話

          魔の螺旋 第1話

          暗雲立ち込める魔王城。 その最奥部にて今まさに世界の命運をかけた大決戦に終止符が打たれようとしていた。 「これで勝ったと思うな勇者、人間共よ…我が敗れようとも我ら魔族は不滅…たとえこの身が滅びようとも貴様ら人類を必ずや根絶やしにし、世界を絶望の闇で覆い尽くしてやるぞ…精々それまで束の間の平和を楽しむがいい」 魔族の王は自らを打ち倒した者たちへ憎しみを込めて告げると、その体は灰となって形を失う。 「やったな!俺たちやったんだよ!あの憎き魔王を倒したんだ!」 「これで世界

          魔の螺旋 第1話

          Next Chapter【後編】

          「宮藤、来てくれたんだね!」 「宮藤さん!」 上空から自分たちの前に降りたウィッチの名を二人は呼ぶ。 どちらの声色にも嬉しさが込められているが、ハルトマンの方が強かった。 「お久しぶりですハルトマンさん、クリスちゃんも…ハルトマンさん、腕怪我してるじゃないですか!」 振り返って二人を見るなり宮藤はすぐに真っ赤に染まるハルトマンの片腕に気付き、狼狽した。 しかしそんな彼女の反応とは裏腹にハルトマンはあっさりとした調子。 「あ、これ?ちょっとうっかりね」 「すぐ治しま

          Next Chapter【後編】