大人にどうしても見て欲しい「トップをねらえ!」

noteの下書きというかEvernoteに残っていた記事があったので公開します。
多分9月とか10月にどっかに書こうと思っていたものだと思う。

学生時代、一つ下の後輩に「のりこは俺の嫁なんで」って言ってるやつがいた。あいつ元気かな…なんて最近突然ふと思い出した。というわけで、おもむろに「トップをねらえ!」について書いていく。

ついこの間ネットの記事で見たけれど、どうやら新作が作られるらしい。
「2」で結構最高な終わり方をしたのに本当にやってしまうのか、というか本当に完成するのか??と疑わざるを得ない部分もある。エヴァンゲリオンも随分大変なのでは…とかね。妙な心配をしてしまうが、なにぶん、これでもガイナックスはとても好きなのだ。

「トップをねらえ!」(初代)は最高だ。
「エヴァンゲリオン」より「ナディア」より、私は絶対に「トップをねらえ!」(初代)を推したい。

(2じゃなくて初代を推したいのに2しかHPにはなかったのでこれだけ貼ることにする)

この作品の要素としては大きく3つある。

①女の子2人がでっかいマシンに乗って
②己を鍛え上げて宇宙怪獣と闘い
③最後には地球を助けるヒーローになる

以上だ。完全にみんな大好きな美少女ロボものでは、という感じなんだがまさにそうだ。一寸違わずに美少女ロボットものだ。
とはいえ、もっとスポコンだったり毎回毎回乳首見えてたりそもそも絵柄が古かったりと見る人を選ぶ作品になっているのかもしれない。(今となっては)

ただ、ある一点のにみおいて他の美少女ロボットものには絶対にないものがあると思っている。

話は少々かわるが、宇宙を舞台にしたSF物には必ず一つは特徴的な設定が存在していると感じる。ゲートの概念だったり、ワープに使われるとんでも理論だったり。
この作品にも(途中で長い長い字幕が入ってしまうほど)重要な設定がある。それが「ウラシマ効果」だ。

本来は天文学を学んでいた身なので一から解説をしたい気持ちはあるが、「ウラシマ効果」というのは実際に物理学的に証明し得る現象だ。内容詳細は省くけれども、かの有名な相対性理論を用いて考えると「宇宙空間で光速度に近い速度で移動をすると、移動している者の時間が遅くなる」という理論が成立する。

作品中では、宇宙空間を移動している人間は地球の人間の何倍もの遅いスピードの時間を過ごすことになる。10分宇宙空間で作戦をこなしただけで数か月がたったり、一年程度の任務から地球へ帰還したら10年以上がたっていたり……など結構シビアに「時間」という概念が襲い掛かっている作品であると思う。(でもなんかちょっと時間の圧縮率とかは矛盾があるので計算とかはしない方がいい)

主人公のノリコが約一年間の任務を終えて帰ると、地球ではすでに10年時間が経過していた。花の女子高生、17歳のノリコの同級生はすでにもう大人になってしまっていた。それは彼女の親友、キミコも同じだった。
しかも再会したキミコにはすでに娘もいて…というシーンがある。

このシーンを見たときに、正直初見のころ(19とか18とかそこそこの年齢)とは全く違った衝撃を受けたのだ。

20代半ばを過ぎた女性なら、一度は体験したことがあるであろう「しばらく会ってなかった同級生に久々に会ったら結婚もしてたし子供も産んでいた」というあの場面だ。あの場面を、まだ年を重ねていない17歳の少女がたった1年程度の経過時間で経験をするのだ。

正直、今見たらどんな場面よりもこの場面が心にくる。間違いない。

子供が産まれる、というのは人間が種として存在する上で非常に当たり前に行われることだ。一方で子供を産む、というのは非常に危険と喜びと神聖さが伴う行動だと個人的には考えている。(個々の事情で産む前後に問題はあるのかもしれないが)
私には、とてもそれを決意して行えることではない。人の命を育んでいくこと、新たな家族を形成して幸せになること。普通だと思う人にはごく一般的ことかもしれないが、決して「どこにでもありふれたイベント」ではないと思っている。30が見えている今でも、本当にそう。だから私は、「母」になるという選択をする全ての女性のことを尊敬している。「母」になった女性は、きっとそれまでとは全く違った人にさえ感じるのだ。

ほんの一年前に席を並べていた親友が、今、目の前で一人の母親になってしまっている。17歳のノリコは、一体何を感じただろう。あるいは、彼女は理解が追い付かなかったかもしれない。そのぐらい、同じ女性としては衝撃的なことだと思う。よく知っている人が、「母」になるということ。もう自分の知らない、別の人になってしまったのではと感じてさえいたかもしれない。
「キミコももう、お母さんだもんね…」という台詞がやけに悲しくて、なんだか見ている私のほうがやり切れない気持ちでいっぱいだった。10代の女性が、たった一年程度で突きつけられる現実としては本当に重すぎる。

だから、今、この作品をどうしても20代以上の女性に見てもらいたいのだ。ただの物語の一場面に過ぎない、状況説明にしか過ぎない場面かもしれない。しかし、徐々に感じる自分の年齢の重なりを、いきなり頬を殴打される感覚で突き出される感覚。きっと感じるのではないだろうか。もしかしたら男性には分からないものかもしれない、と考えてあえて女性に見てほしいと思っている。とはいえ、同じように時間の感覚の隔たりを感じた経験があればわかってもらえるかも。わからないな、見てもらえたら感想がぜひ聞きたい。

そんなわけで、他の美少女ロボットアニメに絶対にないもの。それは、自分が感じる「時間を重ねること」という事象だ。
それは、私の様に「誰かが違う立場になっている」ことでも、「見た目が全く変わっている」ことでも、なんでも構わない。どんな場面であれ、大人なら少しは考えて感じるはずだ。

毎回見れるセクシーなシーン目当てでも良し、普通に喋る若本目当てでも良し、はたまたメカニックの造形目当てでも良し。とにかくまだ見たことのない人がこの作品を見て、何かを感じて、好きになってくれたら本当に嬉しいなと思う。そしてあわよくばBDのボックスとかが欲しい。マジで。DVD買いそびれているので…頼みます……

一点だけ不満を述べるとすれば「スミス」についてかな、と思います。そんなにちょろくないぞ女子は、というのと最後の扱いが酷過ぎるぞ、という意味も込めて。


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