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「正しいパンツのたたみ方」ってあるの?


え?そんなのがあるの?って思っちゃいますよね。

タイトルに思わず引き寄せられちゃった本です。

著者の南野忠晴さんは、もとは高校で英語を教えていたのが、あるとき家庭科の魅力にひかれて家庭科教員に転身したという方です。それだけに家庭科という教科になみなみならぬ情熱を傾けてらして、ついにこの本が生まれたという感じですね。岩波ジュニア新書なので、ティーンエイジャー向けに書かれています。

ブログのほうでもこの本の感想を書きました。

ブログでは、ハイティーンには最も興味のある恋愛に関連してDVについて考える授業のことが書かれているところから。犬の訓練などにも似通ったところがあるかも?という感想を綴りました。

こちらでは、「自立」ということについて書いてみようかな。

南野さんは、この本は「自立」をテーマにしているとおっしゃいます。

そして自立に関してこう書かれています。

「自立」の本質は、変化に対して「安定感」を持って対処できる能力があるかどうかということだと言い換えることもできます。(p73-74より)

ここは大きくうなずいて読んでしまいました。平易な言葉でわかりやすい。それは全編にわたって共通しています。

noteには何度か書いていますが、今週から新しい仕事が始まりました。それは、ある職業を目指す学生さん達にピンポイント15回の授業をするというものです。そこで、彼らに将来必要になるのはどんな力なのか?と色々考えました。

あれこれ本を読んだり、時事問題などから情報を拾ったりして、最終的に行きついたkeywordは「自立」でした。

彼らは10年20年先の業界の中心になる人達です。でも、世界的パンデミック以来、世界はがらりと様相を変えました。そんななかを生きていくには?

南野さんがおっしゃるように「変化に対処する能力」があれば、不安定でイレギュラーな流れが起こっていたとしても、その時々で自分の立ち位置からの正解を見いだせるのかな。

引用した箇所の「自立」は、2章「家族の中で生きる」で語られたものです。家族の形は多種多様であることに気づいてもらう授業を展開しているお話です。この本の第1刷は2011年でした。それからさらに10年がたった今、家族のあり方ひとつだけでも、もっともっと多様になっています。

それは家族だけではなく、お金や仕事と働き方、日常生活のひとつひとつの些細なことがらだって、どんどん変化している。

当然、彼ら学生さんたちがベテランになって仕事をする頃は、学生時代の今とは、きっとすべてが様変わりしているでしょう。新しいテクノロジーが生まれ簡略化されるものがあるいっぽうで、さらに複雑化したり、多層化したり…でしょうね。

ま、そんなこと思いつつ、この本に書かれている「生活」というものへの南野さんの考え方は、2011年当時のもの。であるからこそ、その中から「今も変わらないもの」と「ここはちょっと違和感あるな」というものを見出すことができます。これがまた、さらに10年経って読んだらどうなんだろうな?とかね。

そもそもは、「生活」とか「暮らし」ってなんだっけ?いざ誰かに説明しようとすると、こんな厄介なもんはないぞという気持ちから、この本にたどり着いたのでした。

もちろん、その初心のまま読んでも予想以上の「そっか!」という閃きのある一冊です。

そうそう、タイトルになっている「パンツのたたみ方」にまつわるエピソードも実は深いです。「夫婦」という他人と長らく同居する経験をしている人にはなんだか身につまされる、ちょっと胸がヒリリとするようなことも書かれていますよ。高校生の脳裏には、このエピソードから何が描かれているんだろうな…

今日も読んでくださってありがとう。

ではまた。

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