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J型の両親の子はP型になる?【MBTI形成仮説】

 家庭環境とMBTIについては何か関係があるんじゃないか、ってのは結構感づいている人は多いのではないだろうか。特にまことしやかにささやかれているのは、J型の親の元ではP型が、P型の親の元ではJ型が生まれる、という仮説だ。

 先日、コメントでも「ENTPの母親はISFJが多いらしい(X談)」というお話を頂いた。うちの母親もISFJである。しっかりした親からは適当な子供が育つ、っていう何となくの経験則だが、心理機能と情報処理という視点で考察してみると、その理由らしい物が見えてきた。

 ということで、MBTIを決定するのは遺伝なのか?環境なのか?環境はどんな影響を及ぼすのかという話を仮説としてまとめてみる。


MBTI形成仮説の前提

 さて、今回の記事は僕が今まで考えてきた心理機能についての集大成のようなところがある。

  • 心理機能S,N,T,Fは、各人の脳の機能の特長をあらわしている。

  • 心理機能のeとi(Ne vs Ni等)の違いは、SNFTを内向きに用いるか外向きに用いるかの癖によって変わる。逆に言うと、意識的に用い方を変えることでeとiは切り替えられる。

  • 心理機能はPe→Pi→Ji→Jeという情報伝達機を行っている。

  • Peは情報の足し算、Piは情報の引き算、Jiは情報の計算、Jeは目的付けを行っている。

 これらの仮説を下敷きにしている。

 また、使っている言葉については以下の定義である。
Pe→心理機能SeとNeの総称
Pi→心理機能SiとNiの総称
Ji→心理機能FiとTiの総称
Je→心理機能FeとTeの総称

 一応読んでなくてもわかるようには書くけど、先にこっちを読んでからの方がしっくりくるかもしれない。

4文字のうち遺伝によって決定するもの

 まず、遺伝によって影響を受ける性質とは、脳や肉体の構造に関するものだ。遺伝子は、物理的なコピーを作成する仕組みだから。親子で性格が引き継がれるとすれば、何らかの物理的構造に由来している。

 MBTIで言うと、物理的構造に影響を受けそうな違いの筆頭が、TorFだろう。これは、脳の報酬系が感情と客観性のどちらにより強く反応するか、という仕組みに由来していると考えている。これは、感情を司るホルモンの分泌量によって影響を受けていそうだし、それは脳の生物的構造に由来しているだろう。

 また、SとNの違いについても、ある程度遺伝な気がする。この違いは情報処理の仕方であって、Sは感覚からの情報をそのまま採用する→【小脳優位】、Nは内部情報処理したうえで採用する→【大脳優位】という違いだと考えている。ある程度脳の構造に由来していそうだ。

 ようは、4文字中央の2文字SorN、TorF、は脳の構造に由来している度合いが高いと考え、遺伝的影響を色濃く受けると考える

注意
 MBTIのラベル分けの曖昧さ故に、親がNT→子供がNTになる、という法則がある訳ではない。両親の組み合わせ、劣性遺伝子の発現なんかもありそうだし。更にTorFの境界エリアの場合は、その後の環境が決定づけることもあり得る。あくまで、予測できないが遺伝により何らかの影響を受けていそう、という話にしかならない。

4文字のうち環境によって決定するもの

 一方で、環境による影響の要素は、もう少し明確に説明できる。
 それが、1文字目のIorE、4文字目のPorJの組み合わせだ。これは僕が認知のフレームワークと呼んでいるものだ。この4文字の違いは、心理機能で考えると、情報処理の過程においてどこを重視するか、という思考の癖だと言える。

 簡単に復習すると、MBTIのEP、IP、IJ、EJフレームは、Pe→Pi→Ji→Jeの情報の流れのうちどの段階を重視するのか、ということに相当している。

  •  Pe(Ne/Se)は探索を司り、外界から積極的に情報収集することを優先する。これが優先されるとEPフレームになる。

  •  Pi(Ni/Si)は整理を司り、情報にフィルターをかけ拡大を抑えることを優先する。これが優先されるとIJフレームになる。

  •  Ji(Ti/Fi)は念慮を司り、自分の心の声に対して忠実になる。これが優先されるとIPフレームになる。

  •  Je(Te/Fe)は決断を司り、行動により外界を変えていく事を優先する。これが優先されるとEJフレームになる。

 これらのうち性格としてどれを優先するかは、個人の意識的・無意識的選択の結果であり、その選択は環境により影響を受ける。つまり、認知のフレームワークは後天的な性質であり、幼少期の環境によって決定づけられるのだ。
 言い換えれば、子供は周囲の環境に合わせて、最も生存確率が上がる第一機能を選択する。その結果として、性格タイプの1文字目と4文字目が決定するのだ。

 ‥なんのこっちゃかもしれないので、もう少し掘り下げて、環境が子供の心にどういう影響を当て、それが心理機能とどう結びつくのか考えてみよう。

子供の心は良質な教師データを求める

 AIは、入力と結果という大量の「教師データ」のセットを使って、関係性を調整しながら物事に関連を見出す。ニューラルネットワークは人の認知をモデルとして作られているのはよく知られているが、同様に、幼少期の子供の心は深層学習によって成長していく。
 具体的には、外界の情報からPe→Pi→Ji→Jeの情報処理を行う過程で、子供の心は、どのように情報処理をしたら上手くいったのか、という学習を日々行っている。その一連の結果は、機械学習で言う「教師データ」となる。子供は、このデータを蓄えていく事で心を成長させていく。

 ※ここで言うデータとは、緑の野菜は苦いとか、笑ったら褒められたとか、ボールを投げたらバウンドしたとか、そういうあらゆる経験を意味している。

 さて、この時インプットしていくデータは、質が良いことが重要である。ある時に「笑ったら褒められた」のに、他の時に「笑ったら叱られた」、という矛盾する教師データがインプットされたら、子供には何が正しい事なのか判断がつかない。

 親の情緒に一貫性がなく、気分で子供に対する接し方を変えたりしていると、子供の発育に悪影響が出てくると言われるが、これは親が質の悪い教師データを与えているからだ、とも言い換えられる。
 子供の心は本能的に、質の良い教師データを求め、質の悪い教師データを忌避しているのだ。

 ここからが重要なのだが、子供は人間であり、ただのAIではない。そのため心には発育のために、「教師データの質×量を最大化するための戦略を選定する」ような自発的機能が備わっていると考える。この時に環境に応じて選定されたデータ収集戦略が第一機能の選択という形で、性格のフレームワークに反映されると仮定すると、色々とうまく説明がつくのだ。

環境とデータ収集戦略、性格タイプの関係

 どのように環境が性格タイプに影響を及ぼしていくのか、例を挙げつつ見てみよう。

 例えば、教師データの質が良いことが保証されつつ、それらへの自発的アクセスが可能な環境であれば、子供は「積極的にチャレンジしに行く」「情報を鵜呑みにする」という戦略をとるだろう。
 データの質についてはいったん信用してしまい、量を膨大に増やすことが、効率的な教師データの取得につながるからだ。

 一方、教師データの質が悪い環境では、上のようにデータを鵜呑みにしていたら、矛盾だらけのデータがインプットされていき、発育に問題をきたす。そのため、子供は「取り入れるべきデータは最小限にする」「自力でのデータ整理に力を割く」という戦略をとるだろう。
 悪い教師データから心を自衛しつつ、自分で選び抜いた質の良いデータを組み合わせて、心を発育させていく。

 これら戦略選定は、MBTI性格タイプとしてはどう説明できるだろうか。

 述べたように、人の心はPe→Pi→Ji→Jeの流れで情報処理を行う。

 これらの心理機能のうち、Peは情報の入り口であり、足し算を司る。そのため、先の教師データの質が良い環境→情報を鵜呑みにしつつ大量に集めるには、Peを積極的に行使することになる。
 つまり、Peが第一or第二機能となり、P型となる。

 一方で、Piは情報に整理であり引き算を司る。質の悪い教師データの環境では、取り入れる情報を最小限とするため、Piを積極的に行使するだろう。
 つまり、Piが第一or第二機能となり、J型となる。

 まとめると、
  家庭環境=教師データの量・質
   →データ収集戦略の効率化=優先的に使う心理機能の選定
    →MBTI性格タイプへの定着

と言う経路で、環境が性格タイプに影響を与えるのである。

J型の子がP型に、P型の子がJ型になる理由

 子供のMBTIの認知フレームがいかに決定されるか、という仮説の理論面は上記の通りだ。それでは、最初の問いであるJとPがなぜ親子で逆になるか、ということを論じてまとめとしたい。

 P型の人は、第一or第二機能でPeを使っている。情報の足し算であるPeを用いるということは、「周囲の情報を鵜呑みにして収集しても大きく問題がない」環境に置かれていた、ということが推測でき、それは「良質な教師データに囲まれていた」ということを意味する。

 こういう環境は、親からの接し方が一貫して気分のむらがなく、家庭外からくるノイズも少ないだろう。
 子への接し方にむらがなく、安定した家庭が運営できそうな性格タイプがP型かJ型かと考えると、これは計画的なJ型に軍配が上がりそうだ。

 一方、J型の人は第一or第二機能でPiを使っている。情報の引き算であるPiを用いるということは、「周囲の情報を鵜呑みにすると問題がある」環境に置かれていた、ということが推測でき、それは「環境の教師データの質が悪かった」ということを意味する。

 こういう環境は、親の気分によって子への接し方にむらがあったり、家庭環境が混とんとしていたと考えられる。
 気分やノリで行動が変わる親は計画性が低いと考えられ、そのタイプがP型がJ型かといわれると、P型の方が多いと考えられる。

 この組み合わせの結果、J型の親の子供はP型に、P型の親の子供はJ型になると言える。
 ただ、傾向があると言うだけで、P型の親でも良質な教師データを提供できる環境を作れれば子供はP型になるし、(この記事ではJ型の悪い環境の場合をピックアップしてしまったが)親が子に自発的決断を多くする機会を多く設定するような環境では、良好な教師データに囲まれていつつも、J型になるのかもしれない。
 ようは、単純にタイプを逆にするという話でなく、どんな戦略を子供が取るように親がどんな環境づくりをしたか、に影響を受けるわけだ。

 最後に、今回は親子のみの関係で論じたが、その他の環境も当然性格フレームに影響があるだろう。例えば、どんな兄弟がいるのか、自然に触れられる環境なのか、転勤が多いのか、等のも教師データの質に大きく影響を及ぼす。
 特に兄弟関係は性格に大きな影響を及ぼしていそうだ。上の子と下の子で性格タイプが違うことがるのが何よりの証左だろう。

 次回は、これらの親以外の要素も含めて、より詳細にどんな環境で各性格フレームが発現しそうかを考え、ENTPに至る幼少時の環境はどのようなもののなのか、という考察をしてみようと思う。


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