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"あの頃"にシレンを遊んだ大人たちへ。頼むから今こそ「風来のシレン」を買ってくれ。

スーパーファミコンと僕

我が家はゲームが大好きだ。
僕の物心ついたときには、PSとPS2、それとSFCが既に家にあった。
当然小さい頃からこれらを使ってゲームはしていた。
僕の幼少期のゲームプレイングの記憶で、一番古いものは3歳か4歳くらいの頃にPS版のFF7をプレイしているというものである。

特に「風来のシレン」がみんな好きで、一時はテレビにかじりついてプレイしていた。
これは今でも好きなのだが、どれくらい好きかと言うと、

この(元)オリンピックイヤーである2020年に初代シレンのプレイヤーを増やそうと、勢いでこんな記事を書いてしまうくらいにはシレン信者である。

我が家では、「風来のシレン」は共通言語である。
「シレンで言うと〜」という例えをしたら多分通じる。
東大受験って、シレンで言うと壺と杖ナシでこばみ谷クリアするくらい難しいよ、みたいな。

そんな我が家であるが、毎日SFCをプレイしているわけではない。
もちろんその日の気分(僕の)によってゲームハードは変わっていたし、なんなら更に僕の興味の対象がだんだんとPS2のゲームに移っていってしまっていた。
そんなわけで、我が家のSFCシレンブームは嵐のように過ぎ去っていった。

確か僕が高校生の頃だったように思う。
いきなりSFCシレンがやりたくなり、引っ張り出してホコリを払って起動してみたことがある。
当時の僕は大体4~5年ぶりにシレンをプレイするということで、僕も父も母も全員がワクワクしながらSFCの起動を待っていた。

プレイ自体は一通りできたのだが、その次に指したMOTHER2の調子が悪い。
どうしたのかとみてみると、どうやらカセット側になにか不具合が発生しており、バグっているようだった。

これは衝撃的だった。
SFCはもちろんカセットも故障するのか!故障してしまったら、俺は、もう二度と風来のシレンをプレイできないのか!という絶望感に襲われたことを覚えている。
それ以降、SFCはテレビ台の下の棚にて眠り続けている。

新たな刺客

2020年4月29日。
布施川家に衝撃走る。

なんとグーグルプレイストアで風来のシレン(アプリ版)が売られていたのである!
しかも初代のやつ。嬉しいねェ〜!

僕はシレン大好きマンだが、その中でもとりわけ初代信者である。
というよりも、僕は初代しかやったことがない。
ウワサによればなんか最近のシレンは「技」とかいってかめはめ波みたいな謎ビームを撃つらしい。怖っ。

さてこのことを母にも伝えてあげたところ、即買いした。
僕は元々買う気がなかったのだが、母に「あんたのスマホで動いたら、あたしのスマホ(僕と同機種)でも動くでしょ?」という謎の心配をゴリ押されて買うことになった。しめて3,600円。

しかも攻略本まで買った。
まぁこれは当然の措置で、風来のシレンシリーズは初見殺しの能力を持った敵が非常に多いので、攻略本くらいは持っておかないと、テーブルマウンテンを制覇するよりも先に心が折れてしまうのだ。こちらは中古で500円。

というわけでスパイク・チュンソフトに4,000円近いお布施をしながらシレンを入手した。
正直、僕は色々と忙しかったので、母に付き合ってあげて軽くプレイして、それで終わりでいいだろうと思っていた。
違った。

数日後、そこには一心不乱にカタナを鍛える僕の姿が!!!!

ドハマリした。

こん棒から秘剣まで

シレンにはいくつか隠し武器がある。
これは当時のチュンソフトから出ていた風来のシレン公式攻略本(自宅に保管してある)にも載っていないもので、3種類ある。
一つはカタナを+99まで鍛えた後に鍛冶屋に渡すと作ってくれる「火迅風魔刀」というカタナ。

シレンの武器は、町々にある鍛冶屋に持っていくと鍛えてもらうことができる(木製であるこん棒は例外)。
1,000ギタン(1ギタン=1円)払うと鍛冶屋のおっさんが武器を鍛えてくれるのだ。

鍛えるとどうなるかと言うと、武器の後ろに+1という数字がつく。
既についていた場合は、その数字にプラス1される(例:カタナ+1→カタナ+2)。
こうすると単純に攻撃力が上がるので、嬉しいというわけである。

ちなみに、内部的には「預かり品と同名武器で修正値を+1したものを生成してシレンに渡す」という処理をしていたようである。
その証拠に、装備していたはずの武器が外れている(素手状態になっている)し、未識別の状態で返ってくる。

杖や壺、草などが未識別の場合は、単純に種類がわかっていない。
では、武器や防具が未識別の場合は?

答えは、「修正値と呪いの有無がわからない」である。
答えられた人にはシレン検定5級の賞状を授与しよう。
それだけ?と思われそうであるが、これが中々クセ者で、呪われている場合があるのである。
怨念でも打ち込んだんかお前。

さてこの様にして武器を強くして、いつの日かのテーブルマウンテン制覇を目指すのであるが、当然鍛えるにも限界は存在する。
普通の剣は(そして盾も)+99まで鍛えると、それ以上鍛えられなくなり、鍛冶屋に渡しても突っ返されてしまう。

しかし、カタナ+99を渡した場合は「ん?これ特別な鉄じゃね?やってみっか!」というようなコメントをした後に火迅風魔刀が作成されるイベントが起きるのだ。

なお修正値や合成した効果はすべて消失してしまう
しかも、このとき鍛冶屋は勝手にカタナを奥へ持っていく。
所有者に確認くらい取れや、な?

正直「特別な鉄」だからどうこうできるっていうのがよく分からないのだが、「火迅」の名に違わない真紅の光り輝く刀身を持ったこのカタナは、当時の少年達の心を魅了した。
とはいえ、SFC版のシレンにはアイテム持込可能の追加ダンジョンがないのでいくら強い武器を作っても雑魚狩りになってしまうのだが……

次なる隠し武具は「ラセン風魔の盾」である。「ラセン」はカタカナなのがオサレポイント。
元になる盾は「風魔の盾」といい、通常では手に入らない。
こばみ谷(ゲーム中のメインダンジョン)で手に入れたいなら、「変化の壺」というギャンブラー万歳な壺で運試しをして勝つしかない。

筆者の母は一度だけこれを出したことがある。
忘れもしない天馬峠、5階のことであった。
おおおおおおおお!!!!と家族全員で叫び、興奮し、心臓の鼓動が流行る中、壁に向かって壺を投げた。


遠投の腕輪を外し忘れていた。
風魔の盾が入った壺は、虚空の彼方へと飛び去っていった。


あれ以来、僕は合成の壺を投げる前には必ず腕輪をチェックするようにしている。
それほど深い傷を心に負ったのだ。

さて、この盾も火迅風魔刀と同じく(というよりもこれ系の隠し武具は全て)修正値を+99にしてから(つまり限界まで鍛えてから)鍛冶屋に持っていくとイベントが起きる。
普通、盾は鍛冶屋では鍛えられないのだが、風魔の盾+99の場合のみイベントが起きる仕様になっている。

鍛冶屋いわく「ん?この盾のこの細工をこうしたら……」と。
は?もっと腹に力入れて喋れや」とは思いつつ黙って待っていると、やはり勝手に改造して戻ってくる。
しかもやっぱりこの時も修正値と合成した能力はすべて消える。
さらに、盾の場合は呪われている場合さえある。
ふざけんな!

しかし、強くしただけあって、元々の強さが2倍以上に大幅アップしている。
すごい!!!
鍛冶屋曰く「盾の素材のつなぎ目をラセン状にしてみた」のだとか。
意味わかんねぇ。

でも+99まで上げた修正値が消えているので、トータルで見ると弱くなっている。
やっぱりふざけんな!!!

そもそも、カタナ+99や風魔の盾+99にまでなると、攻撃力や防御力はカンストしてしまう。
当時のダメージ計算式の都合上、特に防御力は50ちょっともあれば、十分に強い盾であると言えるのである。
そうなると大事なのは盾の強さよりも、むしろ能力なのであるが、いくら元々の盾の強さが増えたのだとしても、能力が全部消えてしまうのだから、ぶっちゃけ「弱化」のイベントであると言わざるを得ない。

それでも風来人はこの武具を求めて倉庫の壺、合成の壺(あれば強化の壺と分裂の壺)と天の恵み、地の恵み、白紙の巻物を探し続けるのである。
ただ一つ、ロマンを探し求めて。

最後の隠し武具はその名も「秘剣カブラステギ」という。
は?カブ?なんだって?と聞き返したくなるような厨二全開の剣なのだが、こいつのもとになる剣だって「剛剣マンジカブラ」というよう分からん名前をしているから、どっこいどっこいである。

このカブカブうるさい要因は作った人にある。
名を「カブラ」といい、伝説の刀工として今なお語り継がれる天才鍛冶屋である。

彼は傑作の一つに自らの名前をつけて世に放った。
「剛剣マンジカブラ」という名前はここから来ている。
なお剛剣マンジカブラは変化を粘れば割と普通に手に入るのは秘密である。

さて、この伝説の刀剣マンジカブラを、やはり+99まで鍛えて鍛冶屋に行くとイベントが起きる。
「ん?何だこの細工は?両刃にもなるのか?」と意味深なつぶやきをした後に「な、なあアンタ!この剣を俺が作り変えてもいいか!?」と聞いてくる。

今回は了解取るのか……」とか思いながら「はい」と言うと、奥に籠もって「秘剣カブラステギ」に作り変えてくるのである。

さて、この秘剣カブラステギも大変強い武器である。
どのくらい強いかと言うと、まず「カタナ」の基本の強さが6
カタナよりも強い、こばみ谷の床落ち最強武器である「どうたぬき」は8
剛剣マンジカブラの強さは12で、火迅風魔刀の強さは20ある。
じゃあ、秘剣カブラステギは?

驚くなかれ、その強さはなんと"50"である。
しかもここから+99できるのだから驚きだ(やる意味があるかないかは別)。

こんな感じでシレンには隠された武器が存在する。
とはいえ、こばみ谷ではこんな武器はオーバースペックもいいところ、どうたぬき+3もあればクリアできるくらいなのである。
こんな武具を投入したら一気にヌルゲーと化してしまうので注意してほしい。

ではなんで僕が一心不乱にカタナを鍛えて火迅風魔刀にすることを目指していたのかと言うと、アプリ版である本作にはクリア後に持ち込み可の追加ダンジョンが解禁されるからである。
ぶっちゃけ魔蝕虫をシバき倒してからが本番で、それまでは前座みたいなものである。

今の所、魔蝕虫の道とフェイの最終問題以外はすべてクリアしたが、この2つがどうしてもクリアできない。
特にフェイの最終問題はクリアできる気が全くしない。
それくらい難しいのである。SFC版よりはマシになっているが。

"36Fの壁"

36Fの壁」という言葉に聞き覚えはあるだろうか。
あったらあなたは相当なシレンマニアだろう。
SFCシレンはバランスが世紀末であるということで有名なのだが、それを端的に表したのが、この言葉である。
どういうことかと言うと、36F以降は出現するモンスターの殆どがレベル3モンスターになるのだ。

レベル3モンスターになると何が嫌なのか。
それはこの頃のゲームバランスについて話さなければなるまい。

そもそも風来のシレンシリーズにおいて、敵のレベルアップは絶望的なものである。
敵が1段階強くなったら、まず太刀打ちできない。
こっちは小学1年生→小学2年生というようにレベルアップしていっているのに、敵は小学1年生→中学1年生というようなスピードでレベルアップしていく。
ぶっちゃけ異常である。

そんなスピードでレベルアップしていく連中がレベル3になるとどうなるかというと、筋肉モリモリマッチョマンの変態になっているのである。

え?ちょっと盛ったでしょ?と思われそうなので実測値を書こう。
例えば、山間渓流や天馬峠で苦しめられるであろう、脳筋代表であるハブーン系モンスターの場合。

ハブーン(Lv.1)……攻撃力10 防御力9
マムーン(Lv.2)……攻撃力26 防御力18
ニシキーン(Lv.3)……攻撃力229 防御力30

お分かりだろうか。指数関数もドン引きなレベルで攻撃力が急上昇している。

これが極端な例なんじゃないの?と思われそうなので、次の例を出そう。
お次はシレンシリーズのマスコットキャラクター、マムル系のモンスターの場合。

マムル(Lv.1)……攻撃力2 防御力1
あなぐらマムル(Lv.2)……攻撃力3 防御力9
洞窟マムル(Lv.3)…‥攻撃力255(カンスト) 防御力78

なおマムルはこんなやつである。

画像1

こいつはレベル1のマムル。
攻撃すると涙目になって、とてもかわいい。

これがレベル3になるとこうなる。

画像2

ただ赤くなっただけのように見えるが、幾人もの風来人を葬っている。

ぶっちゃけただの色違いなのだが、その凶悪さは計り知れない。
かわいらしい幼稚園児が、目を離した瞬間にマイク・タイソン(全盛期)に変化しているような恐怖を感じる。

こんな連中が群れをなして襲ってくるようになるのだから、たまったものではない。
なので、「36Fまでに最低でも盾だけは十分に鍛えておけ、でないと死ぬぞ」という戒めを込めて「36Fの壁」という言葉が作られたのである。

頼りにならない仲間たち

こんな連中は極端だとしても、他にも厄介な敵はたくさん出てくる。
例えば弓矢や魔法を駆使して遠距離攻撃を仕掛けてくる、持ち物や所持金を盗んでくる、死後に復活して他のモンスターをレベルアップさせるキモい踊りでシレンのレベルを1つ強制的に下げる……などなど枚挙に暇がない。
脳筋だけではなく、搦手を使ってくる敵が多いことがシレンの厄介なところであり、風来人は1ターン先の強敵の行動に対して悩み続けている。

これらにたった一人で立ち向かうには難しすぎるので、シレン側にも仲間がいる!
しかも3人もいる!
3人よれば文殊の知恵と言うが、4人も寄ったら涅槃間違いなしである。
この旅仲間たちを連れてモンスターたちを蹴散らしていこう!!


……と、まぁ簡単そうに言ったが中々そうは上手くいかない。
何が問題って、一人を除いて仲間たちはレベルアップしないのである。
ステータスが固定されているということ。

しかもレベルアップする仲間も「クッソ弱い」から「まぁまぁ強い」にランクアップするだけで頭打ちしてしまう。
最終レベルになってもそこまで強いわけではない。

これはどういう事を意味するかというと、ダンジョンを潜っている途中に仲間が力不足になってしまうということ。
実際、全30Fのこばみ谷でも、12Fを過ぎたあたりから仲間が苦戦するようになってくる。

こうなるとかなりまずい。
なぜかというと、旅仲間を倒したモンスターはレベルアップしてしまうからだ。
レベル1モンスターならなんとかなる。しかし、仲間を倒したのがレベル2モンスターだったら……。
待っているのは、確実な死のみである。

そんなわけで、3人よっても文殊の知恵ではない。
というか3人寄ったイベントの水準的には第一回三頭政治にも満たない。
一人だけ弱くて残った二人はどっこいどっこいな程度に強いという意味ではそうであるが。

むしろ敵モンスターを強くする可能性があるだけ、連れ歩くのは危険である。
後半になればなるほどその危険は高まる。
そして後半になればなるほど、敵モンスターがレベルアップしたときのリスクは高まる。

では仲間と別れればいいじゃないか!と思われそうだが、実はこいつら、一度仲間にすると、文字通り死ぬまで着いてくる
正確には、アプリ版から「死ぬまで着いてくるようになった」のである。

これなら昔のほうが良かった。
SFC版の方は同じ部屋にいない状態で次のフロアに進むと「はぐれた」と判定されて旅仲間と別れさせられてしまう。
しかし、アプリ版では同じフロアで生きてさえいれば、どこまででも着いてくるのである。これは恐ろしい。
後半になればなるほど、正直仲間たちとは別れたくなるもので、この仕様は改悪に位置するものだと思う。

こんな感じで、シレンは仲間までもが間接的に牙を剥いてくる。
まさに四面楚歌、知恵を使って明日の自分を掴み取るゲームなだけある。

母の代わりに昼飯を作った話

ここまでなんで長々とシレンについて熱く語ってきたのかといえば、それは「これだけやりがいのあるゲームなんだよ」ということが言いたかったから。
それとシレン人口を増やしたかったから。買え。今すぐに。

母も例には漏れずこのゲームをやりまくりである。
Stay Homeとはよく言ったもので、風来人としては僕よりも未熟な母は何回も倒れては渓谷の宿場へ戻されてしまい、強制Stay Homeさせられている。
風来のシレンにも外出自粛の波が来ているのだろうか。

風来のシレンのヤバいところは、ハマると時間が無限に解けるところだ。
僕もハマったときは気がついたら13時間くらいぶっ続けでこのゲームを遊んでいたことがある。
それくらい時間が吸い取られる魔のゲームである。

実家暮らしの僕は、親の脛にしゃぶりついている。
今なんかStay Homeなので3食とも家で食べているし、当然寝泊まりも家でしている。

皿洗いや洗濯は、授業時間外なら僕がするようにしているが、料理はてんで駄目なため、母に任せきりである(最近僕も料理の練習を始めた)。
そんなわけで、ある日も授業を受けながら母の料理の完成を待っていた。

しかし、いくら待てども完成しない。
というか、何かを炒める音さえ聞こえてこない。
ついにウチの母もオーガニックとやらに目覚めたか?とか思いながらリビングに行くと、ひたすら風来のシレンをやっている母がいた。

その光景を目にした瞬間、全てを悟った僕は、黙って昼飯のラーメンの準備を始めた。
もちろん母の分も。

思うに、人には「絶対に退けない瞬間」というものがある。
これがいつあるか、何度あるかはその人の人生次第なのであろうが、母の真剣な眼差しを見ていると、ここが母の「絶対に退けない瞬間」なのだろうと感じさせられたのである。

たかがゲームであると思われないよう。
それだけ人を引きつけるのであるから、これは素晴らしい作品である。
かねてから僕はゲームはそろそろ文化として正式に認められるようになるのではないか?と思っているのだが、このゲームは間違いなくゲームが文化になるための一助となっている

嘘だと思うのならば、ぜひ一度プレイしてほしい。
というか、マスク2枚や給付金などなどを配るなら全世帯に風来のシレンアプリを配布してほしかった
それくらいシレンファンとしては、このゲームを知らないことの勿体なさが歯がゆいのである。

なお、母はこの後普通に負けてスタート地点へと戻されていた。
そういうこともあるよね。

"1,000回遊べるRPG"

風来のシレンの何が素晴らしいか。
これは間違いなく「1,000回遊んで遊びきれない奥深さ」である。

碁や将棋、チェスという遊戯がある。
シレンは感覚としてこれに近く、一手間違えると詰んでしまうといったような状況だってよくある。

全30Fダンジョンだが、油断すると1Fでも死ぬ
1F,2Fは通常攻撃をする敵しか出ず、3F,4Fもそれほど厄介な敵は出てこない。
ここは戦術や立ち回りというものを学ぶためのチュートリアルであり、これらが分かってきて初めて進めるステージが5F以降なのである。

全30Fというダンジョンは短いように聞こえるかもしれないが、実際に進んでみると相当に長い。
はじめて7Fにたどり着いたときは命からがら、それ以降進むなんて信じられないほどであった。

今は、多少の運は絡んでくるが25Fくらいまでなら余裕で潜っていける。
もう少しうまくなれば、いつかはもっともっと潜っていけるだろう。
追加ダンジョンに99Fまであるものが残っているので、これをクリアすることが当面の目標である。

なぜこのような現象が起きるのかと言うと、それは「風来のシレン」というゲームがキャラクターとしての「シレン」ではなくプレイヤーの腕を試すものであるからだ。
そのため、操作キャラクターであるシレンには、一切の特殊能力がない。
将棋やチェスのコマと一緒である。

「無能力者で肉体もそれほど強くない青年一人と数多の道具を操って、一体あなたはどこまでいける?」
チュンソフトは、このゲームを発売して以降、我々にこう問いかけ続けているのである。

今は全く駄目でも、明日なら。
それが駄目でも、明後日なら。
これを繰り返して、自分自身が成長していくゲームなのだ。
一体人生と何が違うだろう?

思えば、現代人はみんな「成功し続けること」を要求されている気がする。
中学・高校受験から始まるだろうこのレールは、大学受験、就職活動、出世競争……と延々と敷かれている。
人はその上から落ちないように慎重かつ大胆に歩むことを要求されている。

でも、そんなに成功にこだわらなくていいんじゃないか?
誰だってたまには失敗するし、なんなら失敗だらけだとしても、立派に胸を張って生きていけるんじゃないか?
失敗が前提となっている「風来のシレン」は、そんな現代人に対するアンチテーゼである。

いま、新型コロナウイルスのもたらした危機に直面して、人々は自分の人生について再考させられている。
安全だと思っていた社会が実は危うい均衡の上に成り立っていたこと。
いつまでも続くと思っていた日常が、実は続かないこと。
明るいと無条件に信じていた未来が、自分次第であるということ。

信じて鍛え続けた武器は、いつの間にか弱くなっているかもしれない。
敵は強大すぎるくらいに強大かもしれない。
仲間たちは思ったよりも頼りにならないかもしれない。
自分は驚くほどに無力で、拾った道具は一見役に立たないかもしれない。
それでも、「絶対に退けない瞬間」は平等に訪れる。

信じて鍛えた武器が弱くなっていても、それは鍛え続ければまたいつか輝きを取り戻すだろう。
強大な敵に対抗できないように感じても、戦術を練れば勝てるかもしれない。
仲間たちに任せきりでは駄目でも、共に歩めば結果は変わってくる。
自分の無力さも、運の無さも、全て受け入れた先に何かが待っていることを信じて歩み続けるしかない。しかし、悩み、疲れ、歩みを止めてしまう人もいるだろう。
考えることが分からなくなる人もいるかもしれない。

そんな人に、僕はこのゲームを贈りたい。
「風来のシレン」で旅をして、自分自身の成長を実感してみてはどうだろうか?
これこそがヴァーチャルな、21世紀の「自分探しの旅」なのである。

Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.spike_chunsoft.shiren
iOS:https://itunes.apple.com/jp/app/id1450144037

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