第38回『怒りの地雷は複雑! 赤西仁そっくりのホスト力がぶち切れた理由』

うぃす! 大阪男塾の塾長です。

今日は後輩ホストの力について書くっす。

ホストクラブは、選りすぐりの美形が集まる場所。「ほんまにこいつ、イケメンすぎる」「顔では絶対、たちうちできへんわ」と思うホストも少なくなかったっす。

後輩の力も、そんなイケメンホストのひとり。

力は赤西仁くんに、よく似ていたんで「赤西くんにそっくりで格好いい!」ってモテてました。

僕はリーダーとして人をまとめる力があったんで、ホストデビュー後、早くからお店を仕切るポジションを任されてたんすね。

ホストはやんちゃな人間が就く職種なんで、ほんまによくケンカするんすよ。
特に10代、20代は血気盛ん。ホストは元来、負けん気が強い生き物っすから、すぐ揉めます。

昔のホストクラブの壁は、穴だらけだったんすよ。腹を立てたホストが壁を思いっきり殴るからっすね。

頭にきたらすぐに殴りかかる、そんな直情的なヤツだらけだったっすね。

そんなヤツらが数十人集まる環境のホストクラブで、ケンカが起きないわけがありません。

揉めたときに「まあまあ、落ち着け」と、とめるのは上のポジションに立つ人間の役目っすよね。なので、あの頃の僕は毎日のようにケンカの仲裁に入っていたっす。

力はそんな荒くれホストの中では、珍しく温厚な若者って感じでした。

ほんまに怒った顔を見たことがないほど、いつもニコニコしてましたね。

でもそんな力が一度だけ「ふざけんな!」と、ぶち切れたことがあったんすよ。

ちなみに力は、イケメンなんすけど、アゴがにょきっと突き出ていて、そこが特徴といえば特徴なんすよ。

そのうち力のアゴをいじるノリが生まれていったんすね。

アゴさんというあだ名に始まり、アゴ西仁、

さらにアゴに熱湯をかけられる。

熱湯かけられると、普通は怒るじゃないっすか? 

前に、酔っ払うと全員に熱湯をかけて回る熱湯社長の回でも触れましたが、

熱湯かけられるとマジで腹立つほど、熱いんすよ。

でも力はアゴに熱湯をかけられても、「やめてくださいよ~」とニコニコ。それくらい温和な人間だったんす。

その日は、みんなで店の掃除をしていました。

ヒロというゴリラみたいなビジュアルの毛量が少ない頭スカスカのホストがいるんすけど、ソファを掃除してるときに、力が酒につぶれて寝てたんすよ。するとヒロがふざけて、マイペットを力のアゴに吹きかけたんすね。

すると力がしゃっきと覚醒し、表情が一変。

赤西ならぬ赤鬼になって「何してんねん、殺すぞ、お前!」ヒロに掴みかかったんすよ。

ヒロの薄い髪の毛を手加減なしで掴んで、ちっとも離しませんでした。
それはほんまに地獄絵図。あのときの力の怒りは、尋常じゃなかったっすね。

「おいこらお前、マイペットはあかんやろ!」「マイペットはあかんやろ!」と絶叫を繰り返す力。

もちろん僕は「やめろ、力、ヒロはげきってまうぞ」って全力で笑いをこらえながらとめに入ったんすね。ちなみに床には、ヒロのむしられた毛が結構な量のまかれてました。
でも力は「タクマさん、マイペットっすよ。あごにマイペットっすよ!」と猛抗議してくるんす。「あごにマイペットっすよ」という言葉には耳馴染みが一切なく、これっぽっちも共感できなかったんですが、「あごにマイペットはあかんな」「あごにマイペットはあかんな」と何度も繰り返し、なだめました。

マイペットは力にとっての逆鱗ということだけは、伝わりました。

ちなみに逆鱗の由来に触れておくと、全部で81枚ある龍の鱗の中で、のどもとに一枚だけ逆方向に生えている鱗があるらしいんすよ。そこに触れるのを龍がめっちゃ嫌がるんすね。強引にその鱗を触ると「お前、その鱗だけは触れたあかんやろ!」と、龍がぶち切れる。それが逆鱗の由来っす。

すなわち「力の逆鱗はアゴにマイペット」ということっすね。「龍は喉元」「力はアゴにマイペット」すよ。

ホストは人の感情をつぶさに感じとらんとあかん仕事っすけど、力の「アゴにマイペット」は未だに「そんなに怒ることか⁉」と思ってまいますね。

でも力にとって「あごにマイペットだけは許しがたい」っていうのだけ理解できました。

今回は、人間心理の複雑さを垣間見た「マイペット事件」についてでした。

当時働いたレイズは、毎日のようにこんなクソしょうもない事件が起きるんで、全然退屈しなかったっすね。

すごく居心地が良かったし、紫苑ですれまくってた心が癒されました。

最後まで読んでもらって、あざしたぁ!!

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