第25回『売り掛けで飛んだお客さんに「ごめん」と謝った話』

うぃす! 大阪男塾の塾長です。

今日は売り掛けについて書くっす。

最近ニュースとかでホストの売り掛け問題みたいなのもよく見ますよね。

今の問題は一旦おいといて、僕が話するのは20年前の話。

ホストクラブの精算は大まかに分けて2種類あるっすね。

お客さんがホストクラブで遊んだあと、その日のうちに支払いを済ませるパターンと、常連客なら月末の締め日にまとめて精算するというやり方があるんすよ。

月末まとめて精算のことを売り掛けと言ったりもしますが、平たくいえば「つけで遊ぶ」ってことっす。

もし月末の締め日にお客さんが飛んでしまうと未収金が出てしまうことに。

未収金を誰が補填するかといえば、もちろん担当のホスト。

水商売を知らずにホストクラブで働くことになった僕は、勤め出してから売り掛けや未収を知ったんすね。

ホストとして働き始めてから、半年以内についたお客さんでAさんとBさんがいました。

前に投稿した記事で、当初たっつんへ弟子入りして「ホストのいろは」を学んだと書いたっすけど、このたっつんが彼女たちを一目見るなり血相を変えて「あいつらに気をつけろよ。ヤバいぞ」と僕に告げたんすね。

「ヤバいって、どういうことっすか?」と尋ねると、たっつんは「あいつら飛ぶかもしれへん」って言うんです。

長年ホストをしている人ほど、そういう直感が鋭いんすね。

たっつんから指摘されたあと、僕が思ったのは「一度、実際に飛ばれてみよう」でした。

これを読んで「はあ…!?」と思われた方が多いと思うんすけど、僕のモットーは何事も体験すること。体験より大きな学びってないんすよ。

「お客さんに飛ばれてみよう」と思い、そのままAさんとBさんに対しては普通に接してました。

結果、どうなったと思います?

ものの見事にふたりとも飛んだんすよ。すぐでした。

さすがたっつん!
たっつんの予感は見事的中。

そして僕はふたりの未収額の数十万円を負担することになりました。

痛い思いをしながら、彼女たちの共通点を洗い出し、先輩ホストたちにもリサーチして「飛ぶお客さんの特徴」をリサーチ。

いくつか特徴があるんすけど、会って間もないのに「あなたのことを命がけで応援する!」といきなり言ってくる人は危ないっすね。

「いや、お前俺のことまだ知らんやん」と思っている段階で「めっちゃ応援したくなった。一生応援する!!」みたいに言ってくるお客さんがたまにいるんすけど、要注意っすね。

大風呂敷を広げる人ほど、危険なんす。

あとは、出会って2、3回目の来店時に自分から「今日未収させて」と言ってくる人。
95パーセント飛びます。

僕は未収っていうのはお金の貸し借りだと思ってます。

会って2、3回目でお互いまだ信頼関係ができてないのに、「金貸してくれ」っていうのと一緒です。

お金を借りるということは、【お金の切れ目は縁の切れ目】と言う言葉があるくらい、2人の関係性にヒビが入りやすいことをするということです。
ぶっちゃけ僕はお金の貸し借りは、お互いにとってリスキーなことだと思ってます。

予定通り返されなかったら、こっちも困ります。
だから、出会って直ぐに「未収をさせてくれ」と言ってくる人に対して僕は「これからの二人の関係性をどうでもいいと思っている」「人にリスクを背負わせるということをなんとも思ってない思いやりのないいい加減な人だ」と感じちゃいますね。

あと、「お金があるときに遊べばいいのに」ってどうしても思っちゃいます。
だいたいこういうお客さんは、どこででもツケで飲んでるので現金が入ればどこかに返す流れなんで現金を持てないんですよね。

僕がホストデビューした直後に、ついてくれたノリちゃんという女性がいたんすけど、実は彼女も一回飛んでるんすね。

ちなみにノリちゃんはスタイル抜群。後ろから見たら抜群のプロポーションで誰もが声を掛けたくなる背中美人。振り返った途端「ギャー! 噓つき~!!」って毎度言われてる切ない女性っす。

彼女に飛ばれたときは、むしろ僕の方が反省したっす。

ノリちゃんはめっちゃ親身になって僕のことを応援してくれてたんすけど、たまにお金を使い過ぎて回らなくなっちゃうんすね。

「それなら事情を話してくれたらいいのに」と思うんすけど、ノリちゃんは気を使ってそういう気配を一切出さないんす。

そこがまた切なかったっすね。

ノリちゃんにはパターンがあって、飛んだあと、数カ月してからふらっとお店にやって来るんすよ。

再び来店したとき、それとなく尋ねると「実はあのときお金なかってん。ごめんね」と謝罪されました。

僕は「お客さんに気を使わせてもうて、本音を言えなくさせるのはホストとして3流や」と猛省しましたね。

ホストの仕事はマネージメント能力が必須。

応援してくれているお客さんがキャパオーバーする前に、状況を察してフォローするのもホストの役割なんすよ。

そして人間の種類の幅を知り、自分の顧客に関心を向けることも同じくらい大事っすね。

僕は売り掛けや未収騒ぎを通して、それを学ばしてもらいました。

ホストデビューして1年以内に、そういった経験ができたことはその後の糧になったのは確かだったっす。

話は現在に戻って、昨今のホストの売り掛け問題。
「売り掛けをやめさせろ」みたいな声も上がってますよね。

正直僕は、売り掛け自体は、むしろ常連さんが気軽に飲みに来れる仕組みと思ってます。売り掛けを通して、商売という世界での人間関係や信頼関係を作れるんです。それを考えると売り掛けシステム自体、情緒的な部分も含んでいるんすね。

ただ最近の聞く話は、それとは大きく違っていて、ホストが無責任かつ強引にお客さんに負担をかけてしまっているケースも。なんというか人間味も情緒もなくて、「ただただひどすぎる話」っていうのが本音ですね。

水商売って、本来は人と人がとても深く交じり合える温かい世界のはずなんです。

「売上を上げれば何でもあり」というスタンスの心のない冷酷な人が増えてきている面は否定できません。とても残念なことですし、これはもう違いますよね。

ブランディングという言葉が世の中で浸透した影響が大きいですね。表面上の華やかさばかり気にして、大切な心の部分、肝心な中身がスッカラカンな人が増えてしまった気がします。

同じホスト業界でも、最近のニュースに出てくるようなやり方をしているホストは違う競技だと思ってますし、同じ業界にいながら何もできない自分が歯がゆくもあります。

ほんまに何とかならんのかっすね。

最後はついぼやいてしまいましたけど、今回も読んでもらって、あざしたぁ!!

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