第36回『ヘルプについてくれた先輩から学んだ極意をホストの教育で活用した話』

うぃす! 大阪男塾の塾長です。

地雷化したお客さんNとの話を、3回に分けて書いたっすけど、今回はお客さんとの向き合い方について書くっす。

Nが地雷化した原因は大切な肉親を思いがけない形で亡くしてしまった悲しい体験がもとになっているのは、第35回を読んでくれた人ならご存じのとおりっす▼

本当にいつぶち切れるかわからず、僕も散々Nを怒らせてきましたが、そんなNをも一瞬で大人しくさせる先輩がいました。

名前は伏せますがその人はかなり実績のある方。

僕がNに手を焼いていると知った直後に「わかった。ほんなら俺が一回、タクマのヘルプに入るからNが来店するとき教えてくれ」と言ってくれたんすね。

「大丈夫かいな⁉」と思わなくもなかったっすけど、どんな感じでついてくれるか興味があったので「あざっす。ヘルプお願いします!」とお願いすることに。

で、そのNが来店する日がやってきたんすね。
なんとその先輩は、Nを一切怒らせることなくヘルプをしたので、驚きました。

先輩はNに
「ホストというのは色気を売る面もある仕事なんやから、お客さんにほれられてなんぼだし、男としてだけじゃなく人としても心底ほれられないといけない仕事や。チャラチャラしてるようにみえるけど、そう思われるために色んな努力したり色んなもん犠牲にしないとあかんのや」
「他のお客さんに嫉妬するんやなくて、タクマのことを応援してやってくれへんか? 頼むわ」と伝えたんすね。

先輩は、終始落ち着いた口調で相手の目をしっかり見てNへ真摯に訴えかけていました。

Nは取り乱すことなく「わかりました。タクマのことを応援します」とだけ返事してたんすけど、ほんまびっくりするほど態度がいつもと全然ちがうんすよ。

僕は彼女からビンタやまわし蹴り、首相撲からの膝蹴りなども喰らってきてるんで、不思議やったんすね。
なので「この先輩のやり方やと、なんでNは怒らへんねやろ?」と、めっちゃ考えました。

考えぬいて出た結論は次の通り
・本題に入る前に共感を示している
・相手の不安を察知して、すぐに言語化している
・相手を責めない、寄り添うような優しい語り掛け

これって書くのは簡単なんすけど、実際現場でちゃんとできるかって言うと、なかなか難易度が高いんすね。

他のお客さんに噓を吹き込んだり、ネットに誹謗中傷を書かれ続けると、そりゃあ僕も人間っすから頭にきます。

そういう妨害を受けた直後Nと会ったら、やっぱり「こいつ何してくれとんねん⁉」と、むかついた感じで接してしまってたんすよ。

そうなるともう泥沼。向こうはどんな形でも僕と関われたらそれで満足。例え挑発して大喧嘩になろうが「タクマと同じ時間を過ごす」という目的は達成してるんすよ。なので当時は次から次に繰り出される挑発を受けつつも、必死に我慢してたんすね。

思うんすけど、売り言葉に買い言葉で、バトルが始まる。

これって、ホストとお客さんの関係だけでなくて、全ての人間のコミュニケーションにも通じることなんす。

人間が怒るのって、最初に悲しみや寂しさ、不安があって、それが解消されないままどんどん膨らむケースがほとんど。

なので見本を見せてくれた先輩のように、相手のネガティブ感情が膨らむ前に、早め早めの対応が求められるんす。

そのとき、変な嘘をついてごまかしたり話をすり替えたりとコスいことをやろうとすると、絶対にバレます。そうなると、余計にこじれて不信感を与えることに。

先輩が見せてくれたヘルプは、僕のホスト人生だけでなく、その後の人とのコミュニケーションをがらっと変えるほど大きなものだったっす。

そのあと、岸部一徳と志村ケンシロウという新人ホストを教育することになったんすよ。
「口で言うより、実際にやって見せた方が早い」と思ったんで、彼らのヘルプに僕がついてお客さんとの対話をその場で見てもらったんすね。
彼らは、素直な性格だったので、僕のやり方をそのまま取り入れてくれました。

ふたりは「お客さんが不安を感じているときは、早いタイミングでそのモヤモヤを解消する」「相手が感情的になってしまい言葉にできないときは、こちらが率先して言語化する」などを、ふたりはしっかりやってくれたんすね。

その結果、彼らは短期間で売れっ子ホストの仲間入りをはたしました。めっちゃ早く結果が出たので、嬉しかったっすね。

ちなみにこのふたり、入店前は仲が良くて「同じ場所でホストとして働こうぜ」と一緒にホストクラブへ入ってきたんすけど、「どっちの売上が上」「どっちがモテる」とかそんなしょうむないことで揉めに揉めて、両方ホストをやめてまうという残念な結末でしたけどね。

でもまあ岸部一徳と志村ケンシロウに教えた経験は、僕の中でひとつの成功事例になったので、その後の新人教育にめっちゃ役立ったっす。

ホストは夜職、水商売と後ろ指を指されることもありますが「僕はコミュニケーション力と人間力が問われる世界」と確信しています。

Nに粘着されて、一時は月間の売上が400万円下がったのはきつかったっす。でも腐らずに前を向いていると、コミュニケーションの極意を教えてもらえるなど、かなりプラス面もあったんすね。

先輩から教えてもらったコミュニケーションの極意は、僕にとってかけがえのない財産になったので、ほんまにありがたかったっす。

最後まで読んでもらって、あざしたぁ!!

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