ゲーム世界（オブジェクトレベル）から現実（メタレベル）に干渉する能力が描かれる．プレイヤーの意識を喪失させる．セーブデータを抹消する．コードを改竄するなど．あたかもそれは，世界の理を逸脱した超越的な存在に思えてくるが，全て科学的に説明できる現象であるという即物的な特性を併せ持つ．科学技術とオカルトという相反する２つの概念が交錯する想像力は，データの中に亡霊的生命を感じる表象があるように，SFにおける伝統的な手法．これは，サイバーカルチャーの美学である．また，不安，夢想，愛などの情動的反応を誘発するシステムは，貞本義之氏のキャラクターデザインによる端的な作用と共にある．