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Squarepusher_MusicForRobot

電子音楽家Squarepusherの一貫した関心領域に,テクノロジーのモードと人間のモードのクロスオーバーがある.音楽デバイスやコンピューターなど,音楽の文脈におけるテクノロジーに,音楽制作を始めた少年期より魅了されてきた.しかし,80年代の電子音楽黎明期において,テクノロジーが生成する音楽はチープなもので,偽物だとネガティヴなイメージを持たれており,この偏見に常に向き合い続けてきた.なぜなら,テクノロジーの演奏する音楽はエモーショナルな影響を与えると信じていたからだ.MusicForRobotは,人力で不可能なプレイを実現するロボットバンドによる演奏.しかし,ロボット達は個々の仕様により欠落する機能もある.例えば,ギターを演奏するロボットは,超高速でギターを弾くことが可能だが,振幅の制御ができない.馴染み深い楽器が,馴染みのない方法で操作されることにより,テクノロジーと人間の交差点が表象される.にも関わらず,エモーショナルな音楽が実現されており,Squarepusher本人が追求した,ロボットは感情に訴えかける音楽を演奏できるのか?という問題提起と,一つの答えになっている.

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