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NieR:Automata

ニーアオートマタはゲームというメディアのシステムや文化的側面それ自体を物語の設定に取り込むアイデアが豊富.ゲームは人間と機械を一体化させる側面があり,サイボーグを操作するゲームはゲームというメディアに自己言及的.サイボーグであれば,死んだ瞬間に記憶を新しい身体に転送するから蘇るという原則を設けることができ,死んでも蘇るというゲームの異様な原則に自己言及的.敵キャラは機械生命体であれば,それがコンピューターの作り出した人工物であることを意識させる.そして機械生命体を大量に殺戮しながら進行していくが,やがて機械生命体には知性があり平和主義者であることをプレイヤーに示し,ゲームが殺戮を悦ぶためのメディアとして発展してきたことへの自己反省的な態度を促す.登場する機械生命体のアダムとイヴは,創世の神々を科学の産物として即物的に還元することで,ゲームで体験する神話や英雄譚,超越的な力は全て単なる作り物に過ぎないという突き放したような態度を示し,ゲームは現実逃避的で自閉的な遊びのメディアということに自己批判的という見方もできる.

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