悪魔召喚プログラムなるソフトを使い，コンピューターを介して悪魔を召喚して戦うアイデア．サイバー空間に宗教的なものが現れるというのは，むしろ古典的な想像力であると言える．サイバーパンク運動を牽引したウィリアム・ギブスンの長編2作目「カウント・ゼロ」（1986）では，ネットの中にブードゥーの神々が跋扈するようになっていた．Jホラー映画の「リング」（1998）では，テレビの中から亡霊が召喚される．これらは，科学と宗教，神聖と俗物，機械と人間の両義性という，ニューメディアと共に機械と人間の二極間を揺れ動く存在に変容した人間の在り方に自己言及している．