友達が泣いた時の話
すごく昔の話、私が運動部に所属していた時の話。
3年最後の試合、ぶっちゃけ私は文化部の選択肢がなくてその部に入って、運動も嫌いだしモチベはそこそこだし勉強は忙しいしで早く引退したいと思っていた。
その試合に勝てば上の大会に進めて、引退が1ヶ月ほど延びる。
勝てない試合じゃなかったし、互角な相手だったけれど、もう三年間苦手なりに十分頑張ったと思った私は少々手を抜いて試合に負けた。
いやー相手つええわとかほざきながら私が待機場に戻ると、同学年でとても仲の良かった友人が泣いていた。
どうやら強い人と当たって負けてしまったらしく、「勝ちたかった」「もっとやりたかった」と涙を溢していた。
彼女にしては本当に珍しいことで、10年ほどの付き合いになるが後にも先にもそんな姿を見たのはこの一回だけだった。
いつもドライで部活より趣味優先、漫画やアニメの話を延々と続けるオタク仲間だと思っていたのでとても驚いたし、動揺した。
部活如きで泣くとかオーバーじゃんって言い合う側の人間だと思っていた。
泣くほど悔しがるとは思っていなかった。
面食らうと同時に、私が勝っていれば3年揃って残れたかもしれないと思いとんでもなく申し訳なくなって、後ろめたさを感じた。
表に出さないだけで、そこまで一生懸命で負けず嫌いで真っ直ぐな彼女を心底尊敬した。
前から大好きだったがもっと好きになった。これがギャップ萌えなのかもしれない。
なんだかんだ言って本気で頑張る負けず嫌いな人間が私は大好きなのだ。
本当に滅多に泣かない人だったのでもうほんと、申し訳なかったと言いたい。
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