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ジョブ・ハンティング・アゲイン😆

 10月末から季節労働者としてデパートで働いている。
 季節労働者で終わるか、レギュラーとして採用されるか?

 先日、マネージャーのステファニーに呼び出された。
 といっても、呼び出しをくらったのは私だけではない。
 名前を見ると、季節労働者の名前が羅列されている。
 どうやら、ほぼ全員が季節労働者として終わったと思われる。
 レギュラーの人も、1月から時間をカットされるらしい。

 「私は以前のマネージャーと違って、厳しいわよ!」

 と言っていたとおり、彼女はバッサバッサと従業員を切り捨てた。


 この会社にしばらくいて、気付いたことがある。
 ストアディレクターはブルースという男性だけれど、ほとんどの部署のマネージャーは女性だ。
 つまり、権力を欲する女性が、このデパートの中心にいる。
 もちろん、悪くはない。
 けれども、

 「男には負けられない!」

 という女性がいっぱい集まると、必死感があって、どことなーく圧倒される。
 
 朝のミーティングはちょっとしたイベントだ。
 ミーティングの前に、ブルースが館内アナウンスで、前日の売り上げを発表する。

 「売上げは15%アップ!
 昨日の売り上げトップは、婦人服の〇〇が8千ドル!紳士服の〇〇は7千5百ドル!・・・」

 そして、エスカレーターの前に各部署のマネージャーが集まる。
 少し離れたところで、そ~っと観察した。
 話の内容はわからないけれど、ブルースが何か言葉を発するたびに、彼を囲む女性たちが、二度手を叩く。
 これを何度も繰り返し、最後にブルースが掛け声をかけると、女性陣もそれに応えて、歓声をあげる。

 ・・・んー・・・ブルース教祖に洗脳された人たちみたいだ。

 このイベントが必要なのかどうかはわからない。
 けれども、この店では、このスタイルがトラディッショナルなのだろう。

 他人事のように観察していたけれど、ブラックフライデーの前、部署内のミーティングが行われた。
 ステファニーの号令で、メンバーがオフィスに集まる。
 話を理解できる、そこそこの年齢の大人が集まったオフィスで、このピリピリ感は必要なのか?
 とりあえず、うつ向いて話を聞いた。
 ミーティングは、とにかく必死で働けという内容だった。
 そして、最後にステファニーが言った。

 「私と会社のために尽くしてくれた人に対しては、必ずリターンします!」

 「(・・・すごいこと言うなぁ・・・)」

 と思ったのは私だけなんだろうか?
 彼女の権力を使ってできるリターンってなんだろう?

 ブラックフライデーの週末、彼女はピザの差し入れをしてくれた。
 ちょっとおもしろかった。

 ステファニーは常に一生懸命でピリピリしている。
 見ているとしんどそうだけれど、大きなお世話だろう。
 一方、私を採用したアシスタントマネージャーのダスティン(男)は、いつも鼻唄を歌いながら、スキップするみたいに歩いている。
 なるほど、ダスティンのような男子じゃないと、女性上司にはついていけない気はする。

 さて、季節労働者として終わったけれど、全然悔しくない。

 「こんなのでお金を頂いてもいいの?」

 と心の底から思うくらい、この仕事はラクチンで楽しかった。
 仕事というのは、通常、こんな楽なもんではない。
 これは仕事というカテゴリーに入らない。

 「ユミコ、ごめんなさい。私は人員を削減しなければならないの」

 ステファニーが申し訳なさそうに言う。
 数十人の従業員に、これを言わなきゃならないステファニーが気の毒になった。

 「とんでもない!理解してるよー。雇ってくれてありがとう!」

 元気にオフィスを後にした。
 ところが、他の人たちは違ったようだ。
 いつも元気なジョーイもベコベコに凹んでいた。
 仲良しのターシャは怒っていた。
 皆、それぞれに頑張っていたのだ。

 とはいえ私には、落ち込んでいる暇はない。
 ただちに次の職探しを始めなければならない!

 こういう次第で、クリスマスはずーっと職ハンティングをしておりました。

 遅ればせながら、メリー・クリスマス🎄🎄🎄


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