銀の髪揺らして　暗闇から現れる　赤い瞳
袴の裾を軽快に揺らして
飛ぶように歩く　キミは異形の者

誰にも知られることのない空間のひずみ
キミだけがくぐれる門
ずっと探し続けて　あまりにも探し続けて
何を探しているのかわからなくなった夜
一度だけ鳴る鈴の音

お願い時空の管理者
何を探しているのか思い出したいの
私がここにいる理由
キミが私といる理由
失くしたものってなんだっけ

誰にも見つからない桜の杜で
私はひとりミルクがにじんだ藍色の空を眺める
むせかえるほどの桜の咲き誇る香り
地平線まで続く薄紅色
ぬるい風
沈まない満月
夜のはずなのにほのかに明るい

ここは誰にも見つからない
桜の杜
いろんなものを吸い込む時空のひずみ
私の記憶も吸い込まれて
吸い込まれたことすら忘れてしまって
どうしてここにいるのかもわからなくて
気が付いたらここにいて
　
私は誰だっけ？
教えてよ異形の者