秘密のカヲきゅん6
カヲルは不二子さんを見送った後、和室のテレビの前にへなへなと座り込んだ。
今まで交流していた人たちにとっては今のカヲルはカヲルではない。70代のカヲルがいきなり20歳くらいの娘に若返ってしまったのだから、周囲にとっては知らない人にしか見えない。カラオケ部に参加できないし、町を歩いていても、今の姿じゃ誰も声をかけてくれないし、こちらから声をかけるのも勇気が出ない。
「…おしゃべりする人もいない…」
カヲルは悲しくなった。
「…トモヤがいるか…」
ローテーブルの上に置かれた紙には