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脱毛の続報(抗がん剤の副作用)

数日前に抗がん剤の副作用による脱毛が始まった。

基本的にはパラパラと落ちてくる程度。
触るとそこそこ抜けるが、それでも10本程度。
触るたびにそのくらい抜けるのでまあまあの量ではあるが、思ってたのと違う。

もっとこう、すごい束になって抜けるのを想像していた。
筆みたいな感じでゴソッと、みたいな。
なんか思ってたのと違うなと拍子抜けしていた。

ただ、普通に生活しているだけでもパラパラと落ちてくるのが絶妙に邪魔くさい。
だから病院でもらったヘアキャップは家の中でずっと被りっぱなし。

そして昨夜のシャンプータイムにそれは起こった。
想像していた通りのゴソッとしたやつになったのだ。

シャンプーしている間にどんどん抜ける。
泡で出てくるシャンプーで優しく優しく洗ってるんだけど、指にどんどん絡みついて何ともうざったい。
ミストシャワーで優しく洗い流してるのに、背中に髪の毛がへばりつきまくって邪魔くさい。

そして極めつけは、トリートメントを塗っていた時。
トリートメントをコームで塗り拡げていると、コームがどえらいことになっていた。
たわしである。
髪の毛がこんもり、ふわふわと球体になって付いている。

私自身は「これこれ!これだよ、求めていたのは!」と言いながら脱毛を楽しんでいた。
ゴソッと抜ける様がまさに想像していた通りだったので、ようやくスッキリとした感じがしたのだ。

しかしお風呂上がり、夫の表情が微妙に暗い。
私は思った。
確かに逆の立場だったらつらいだろうなと。

そこで私は気持ちを伝えた。
「ちょっと前にYouTubeで観た動画でね、乳がんの患者同士で話していた会話に共感したことがあってさ。『病気になったのが自分で良かった』って言ってたんだけど。『家族じゃなくて良かった』って。私もそう思う。大変なのが自分で良かった。もしあなたが脱毛する様子を見たら、私もつらかったと思う」と。

夫は「うん」とだけ答えた。

乳がんが発覚するちょっと前、パワハラによる適応障害で通院しながら「生きているのがつらい」とこぼした私に、夫は「もし君が死んだら、俺も死ぬ」と言っていた。
そんな夫のことだ。
私がこんなに重い病気と闘っている姿を見るのはつらいだろう。

かくいう私は、割りと呑気に構えている。
脱毛すること自体もどうってことない。
ただ、処理がめちゃくちゃ面倒だ。
お風呂も大変なことになるし、ドライヤーをしている時もパジャマから床からすごいことになるので、その処理が本当に面倒くさい。

スパッと一気にツルッパゲになったらいいのに。
これが何日も続くのかと思うと本当にうんざりする。

でも髪の毛にこれだけ抗がん剤が効いてるんだから、ガンにも効いてるんだろうなって思えてきて、それはちょっと嬉しい。

あと、昨日は初めてウィッグを着用して出歩いてみた。
まだ全然ふさふさなので被らなくても問題ないのだが、ヘアキャップを被りっぱなしなので髪の毛がひどいことになっている。
それを隠したかったのと、あとはパラパラと落ちてくる髪の毛が邪魔くさいから。
ニット帽を被るだけでも十分だが、せっかくなのでウィッグを試してみたかったのだ。

しかしウィッグのサイズ調整に失敗した。
サイズは後ろのゴムベルトみたいなやつで調整できるのだが、キツめにしちゃってたようで、長時間締め付けられていたせいで頭皮がめちゃくちゃ痛くなった。

あと、サイズがキツすぎたせいでウィッグがズレてくる。
一緒に歩いていた夫が微妙に笑いながら「後ろにズレてるよ」と指摘してくれた。
「おっとっと」と言いながら慌てて戻したのだが、周りにいる人たちが見たらギョッとするかもしれないので、サイズ調整はちゃんとしないとダメだなと痛感した。

結局何度もズレてきてめんどくさいので、上からニット帽を被って押さえつけた。
それからしばらくして、なんかそれも邪魔くさくなってきたので、結局ウィッグを外してニット帽だけにした。

持っていた紙袋にウィッグを入れてしばらく経った頃、夫が笑っている。
何かと思って聞いてみると、紙袋から覗いているウィッグが、まるで生首を持ち歩いているようだと。

そんなこんなでウィッグ生活の一日体験は終わった。
いろいろイマイチだったので、今回の教訓を活かして快適に過ごせるように工夫していきたい。

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