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編み物を始めてみた

抗がん剤の副作用で手足の痺れに苦戦する中、新たな趣味として編み物を始めてみた。
リハビリのためとか、そんな立派な理由ではない。
単に「ヒマだから」である。

私は乳がんが発覚する直前に仕事を辞めた。
2023年6月頭の出社を最後に、すぐに心療内科を受診して適応障害の診断を受け、弁護士を通して会社にパワハラを訴え、6月末付けでの退職となった。
その最中に自分でしこりを見つけ、7月半ばに乳腺外科を受診。
その場で乳がんの疑いを告げられ、針生検をして8月頭に確定診断が出た。

6月の時点では、年内には次の仕事を探すつもりだった。
適応障害によって抗うつ剤を飲んでいたので、医者の許可が降りてからとは思っていたが。

だけど6月下旬に母が自殺未遂をしてしまい、母の病院に通ったり、母が退院後に入る施設を探し回ったりしなければならなくなった。
自分のパワハラ問題も退職が合意できただけで、慰謝料の金額確定とそれに伴う覚書き作成のやり取りは8月末まで続いた。

そんな中で乳がんが発覚し、9月上旬に入院・手術。
11月からは抗がん剤治療がスタート。
気がつけば、年内に仕事を探すもクソもなくなっていた。

そして年も明けて2024年。
適応障害もすっかり良くなり、1ヶ月ほど前から抗うつ剤もやめている。
今度こそ年内に仕事を探したいなと思っている。

つまり私は今、無職。
そう、ヒマなのである。

抗がん剤の副作用が強い日は、無職で良かった〜としか思わない。
(慰謝料が治療費の足しになって良かった〜とも思っている。)
だけど副作用が抜けると、途端にヒマなのである。

だから必死に掃除をしたり、料理をしたり、買い物ついでに散歩して身体を動かしたりして時間を潰してみる。
それでも時間が余ったら、YouTubeを漁って動画を楽しみ、Kindleで漫画や本を読んだりしている。

それらも一通り落ち着くと、もうヒマでヒマで仕方ないのである。

私はこの6月まで、月あたり300時間以上働いていた(退職の際、労基に通報した)。
2ヶ月に1日程度しか休みはなかったし、1日の労働時間が20時間に上ることもザラにあった。
そのような生活に慣れきっていた私は、急に得た豊富な時間をどう使ったらいいか分からない。

そんなある日、YouTubeをいつものように漁っていると、ぶっとい毛糸でバッグを手編みする動画がお勧めに出てきた。
このモコモコしたバッグに興味が湧いた私は、その場でAmazonで似たような毛糸を注文した。

そして作ったのがこれである。

手編みで作ったバッグ


これがまあビックリするくらい簡単で、30分程度でできてしまった。
普段はリュックしか使わないし、メンズファッションばかり着ているような私には正直使用する機会が思い浮かばない。
それでも自分で作品を作るという行為はとても達成感があったし、無心で何かに集中するという時間は心のリフレッシュにもなった。

そしてもっと複雑なものにチャレンジしたいという思いが湧き上がってきた。
よし、これを機に編み物を始めてみよう。
そう思い、すぐに100均でかぎ針1本と適当な毛糸を2玉買った。

ちなみに先ほどの手編みバッグは、こちらの動画を観ながら作った。


YouTubeにはたくさんの編み物動画がある。
初心者向けのチュートリアルから上級者向けのものまで様々だ。

私はひとまず初心者向けの動画を観ながら練習を始めた。
作ってみたいハート型のコースターがあったので、あとで本番用に高くていい糸を買うことにして、まずは100均の毛糸で同じものを作ってみた。
最初は形もへなちょこだったが、何個か作るうちに上手にできるようになった。

いい毛糸をネットで探すことも生活の刺激になった。
ウール、アクリルあたりはたくさんあるけど、コットン100%、ペーパー、麻、Tシャツ素材などはあまりない。
実際にそれらを使って何かを編むわけではなくても、レア物も含めていろんな素材やカラーの毛糸を探すのはとても楽しい。

作ってみたいハート型のコースターに使う本番用の毛糸をあちこちのサイトで探してみたが、どうしても動画と同じ仕上がりにしたいと思ったので、動画と同じ毛糸を韓国のショップで購入した。

そうやって作ったのがこれ。

韓国から取り寄せた毛糸で編んだコースター


下の2つが作ってみたかったハート型のコースターである。
その上にあるのは、同じ方が別の動画で紹介していたものだ。

デザインがいいので、練習用に作った100均の毛糸(ウール)でもめちゃくちゃ可愛くできた。
だけどやっぱりどうしても動画で作られているやつと同じものが欲しい。
結果的にまるっきり同じ糸で作って、同じものができたので大満足である。

それにしてもこのコットン100%の毛糸、カラーが本当に可愛い。
この韓国のショップ(eggplum)の毛糸はカラバリも豊富だし、品質もめちゃくちゃいい。
しかも日本で買うのと値段も変わらないので、今後も愛用していきたいなーと思う。
編み物の趣味が続けばね。

ちなみに上記の2種類のコースターは、こちらの動画を観ながら編んだ。


上記2種類のコースター作成を経て編み物の腕が少し上がったので、ちょっとレベルアップしてこちらの肉球コースターも編んでみた。

同じ糸で編んだ肉球コースター


めちゃくちゃ可愛くない!?(興奮)
しかもハートのコースターと同じ糸で編んだので、並べるとセット感が出ていい。

テーブルが汚くてごめんね


この肉球コースターも同じ方の動画を観ながら編んだ。
このmikanclさんという方、デザイン力も素晴らしいし、編み方の説明もとっても分かりやすい。
この動画が無料って、本当にいいんですか!?


さて、私には抗がん剤の副作用で手の指に痺れがある。
調味料のフタを開けたり、スマホの音量ボタンを押したり、バナナに付いてるシールを剥がしたりするのは結構苦労している。
だけど編み物に関しては支障なくできる。

ただ、最後の糸始末をする時はちょっと大変かな。
あとは細かい編み目に通す時も指が思ったように動かなくてやりづらい。
それらを除けば、普通に編む分には全く問題なくできる。

何よりも編むことに集中していると、痛みや痺れを忘れるというメリットがある。
編んでいる間は心が無になって、頭の中は目の前のかぎ針と糸でいっぱいだ。
そうなると副作用のつらさもどっかに飛んでいってしまう。
そして編み終わった途端に痛みや痺れを感じ、「ああ、そうだった」と思い出すのだ。

抗がん剤治療が終わったら、ホルモン療法が始まる。
ホルモン薬も副作用があるというが、これまた個人差があるので自分がどうなるかは分からない。
今度こそ年内には仕事を始めたいと思っているものの、体調次第ではいつから求職活動を始められるか不明だ。

そんなわけで、しばらく続きそうなヒマヒマタイムには編み物を楽しんでいこうかなと思う。


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