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こわくてわるくて魅力的

ランチ中、同僚が子ウサギを飼いはじめたという話を聞いた。
ウサギはストレスに弱く食べ物にも気を使わなくてはならない繊細な生き物らしい

数ヶ月悩んで決めたという彼女の表情はキラキラしてて、癒やしと責任がある生活って張り合いあるよね〜なんて嬉しく思っていた

ウサギと言われて、真っ先に思い返すのはピーターラビットシリーズだ。

その中で一番好きな絵本が「こわいわるいうさぎのおはなし」だ。
子どもの頃に読み、子どもに何度も読み聞かせした。
家族全員お気に入りの絵本だ。


こわいわるいうさぎが、おとなしいうさぎのにんじんを横取りしました。しかしそこに猟師がやってきて、こわいわるいうさぎに向かって鉄砲をかまえ―――ずどん! こわいわるいうさぎは、どうなってしまったのでしょう? 担当編集者の幼い娘の、「ピーターラビットはいい子すぎるから、今度はほんとうに悪いうさぎの話が読みたい」という注文にこたえて作られたお話です。

こわいわるいうさぎはおとなしいうさぎからにんじんを奪い取り、尊大な態度でベンチに座ってにんじんをかじる。

足の先をちょっと組んでる絵がいい。

表情も写実的なのにいいうさぎき比べると、まぁわるい顔をしている。

そんなこわいわるいうさぎは猟師にずどんと撃たれて、しっぽとあらあらしいひげを失ってしまう。

つるんとなったこわいわるいうさぎは悪びれた顔もせず、ぴゅーっと走って逃げていく。

勧善懲悪といえば勧善懲悪なのだけど、表情や態度から反省してない感じが伺える。再犯率は高そうだ。

きっと、ヤッベ!とか、間一髪だったぜとか、オレ鉄砲に撃たれたけど平気だったぜとか思ってそう。

こわいわるいうさぎの表情と内容のシュールさが大好きで、何度読んでもクスッと笑ってしまう。
こわくてわるくて魅力的なうさぎだ。

教訓として読んでほしくなかったから、あえて子どもに「どう思う?」とは聞かなかった。
「わるいうさぎよんで」と何度も持ってきたから、子どもたちもお気に入りだったと思う。

こわいわるいうさぎを読むと毎回思い出すのが「3匹のちゅうすけくん」という歌だ。

知っている人があまりいなくて、本当にこんな歌があるのか不安だったが、調べてみたら見つかった。
「さんびきのいたずらねずみ」というアメリカ民謡らしい。

さんびきの
さんびきの
ちゅうすけくん
ちゅうすけくん
いたずらをしすぎて
いたずらをしすぎて
あらららららららら
しっぽをなくした

2番の歌詞はこう続いたはずだ

さんびきの
さんびきの
ちゅうすけくん
ちゅうすけくん
泣いているよ今は
泣いているよ今は
あらららららららら
しっぽをなくして

ちゅうすけくんは、いたずらをしすぎてしっぽをなくしてしまった。
こわいわるいうさぎも、いいうさぎからにんじんを奪い取ってしっぽをなくしてしまった。

ちゅうすけくんは泣いているが、こわいわるいうさぎは泣かずに逃げていく。
ちょっと焦ってるがふてぶてしい顔で。

やっぱり、ちゅうすけくんよりこわいわるいうさぎが好きだな。
失ったものを嘆くよりは逃げ出して次のチャンスを狙いたい。

同僚の子ウサギも、こわいわるいうさぎのようにたくましく愛らしく、同僚を翻弄してほしい。


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