見出し画像

Love Rosie


今日は、映画「Love  Rosie」(あと1センチの恋)をご紹介します。

ロージーとグレッグは、生まれた時からずっと一緒な幼馴染。互いの家に入り浸っては、一つのイヤホンで好きな音楽を聴き合い、些細なことで殴り合いの喧嘩だってする。親よりも、自分よりもお互いを知っていると、胸を張って言えるほどには近しい存在だった。
そんな彼らの関係が崩れだすのは、そう、「プロムに誰を誘うか」という時期だった。ロージーは女の子、グレッグは男の子。でも子供だった彼らにとって、「男女」であることが友情を上回ることはなかった。
18歳の夜、2人は友人らとパーティーに行き、テキーラを五杯飲んだロージーは酔い潰れてしまう。翌朝、自分のベッドで目を覚ましたロージーは状況を把握。いつも通りグレッグが解放してくれたのはありがたかったが、以降この夜のことは2人にとって「黒歴史」となるのだった。

パーティーから少し経った頃、2人はプロムについて話し始める。
もちろん、2人は友達だから、互いの相手を応援するに決まっているのだけど、もやつく気持ちに目を伏せてそれぞれの相手と踊りを交わすことになる。

2人は、まだ知らない

このプロムがきっかけで、2人はどんどん「常識」と「現実」という抵抗できない暴力によって引き離されてゆく未来を

黒歴史となったあの夜に本当は何が起きたのか
彼らの距離が一センチより近づいたあの夜、誰にも知られぬままグレッグに残って心の傷が、少しずつ2人を蝕んでゆく。

大学合格と同時に妊娠、孤立、夢の喪失 
人生の第二幕のスタートに非常理に振りかざされる現実に、ロージーの顔に載せられた引き攣った笑顔は枯れる直前。
全てを受け入れそばにいて続けるグレッグ、不運にめげず懸命に生きるロージー。
現実に向き合いながら、改めて2人は見つめ合い、心の奥に眠る感情に気づき始める。あと一センチまで近づいた2人の心は、いつか一つになる日が来るのだろうか。

「男女間の友情」にフォーカスが当てられたこの作品は、観客の心にひっそりとしまわれた、いつかの淡い時間を思い起こさせ、深く共感させるだろう。

男女だろうが、友情は存在する。しかし、それが「友情」のまま続くのか「恋愛」に形を変えるのか。それは是非ではなく、関係の温度や深度が決めることで、輪郭は2人にしかわからない。


出会ってきた瞬間に思いを馳せながら、「常識」というナイフで誰かのかけがえのない存在を引き裂かないようにと、私は静かに誓った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?