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一閃

子供の頃から野営は好きだった

枝を削って箸を作り
平らな石を見つけて皿にした
岩を並べてかまどをつくり
薪をくべて焚火をした

森の一角に秘密基地をつくった
枝の上に枝を重ねて屋根にした
竹藪はトイレ
ゲームとカードは持ち込み禁止
全部自分たちで決めた

僕らにとっては川原の木や石
釣り客が捨てていったゴミ
全てが遊び道具だった
台風で全部流されたけど

今でもキャンプは好きだ
ただ、あの頃のような感動は無い
代わりに火を眺める時間が増えた

火も煙もかたちなく現れ、消えていく
心地よい曲線が現れたと思えば
次の瞬間にはいない
一瞬の煌めき

これを自分のものにしたいと思った
かたちで表したいと思った

かつて遊び道具だった木々たちは
時を越えて制作の支柱となり
作品から削り出された木端や屑は
燃やされて火となる

そこからまた新たな作品のインスピレーションが生まれる

結局は全てつながるのだ
一本の線で
過去も現在も無駄なことなど一つもない
真っ直ぐじゃなくてもいい
未来で全てつながる


一閃



※ところでバスケで1線といえばボールマンをマンツーマンで守るディフェンスのことを言うが、特にかけてはいない。DMが届いてから気づいた。

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