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Prime videoで『あちらにいる鬼』観ましたー。


はじめに


 prime videoで3年前に亡くなった瀬戸内寂聴さんの自伝的映画『あちらにいる鬼』観ましたー。視聴の動機は、瀬戸内寂聴さんについてあまり詳しく知らず、具体的には、私が好きな作家・三島由紀夫とほぼ同時期に生まれた人であること、子供を捨てて駆け落ちした女性作家であること、その後出家した人であること、という断片的な情報でしか認識しておらず、そうなるに至った経緯を知りたいと思ったためでした。

 また、主演の寺島しのぶさんのファンなため、余計に視聴意欲が駆り立てられたのもありました。寺島しのぶさんと言うと、卓越した演技力も然ることながら、普通の女優なら嫌がりそうなエロシーンやキツイシーンも見事に演じ切るイメージがあります。
 今回の映画でも瀬戸内寂聴さんを演じるうえで、複数の男性に媚態を披露したり頭を剃髪したりと、記憶に残る場面が多くありましたので記録したいと思いました。

個人的な評価

ストーリー  B+
脚本     B+
構成・演出  A
俳優     S
思想     B
音楽     B
バランス   B
総合     B

S→人生に深く刻まれる満足
A→大変に感動した
B→よかった
C→個人的にイマイチ

内容のあらすじ

 内容的には、人気作家の地位を確立した長内みはる(寺島しのぶさん)が、社会派の作家・白木篤郎(豊川悦治さん)に惹かれ、自ら接近して不倫関係になる話です。
 白木は自殺未遂騒ぎを起こした愛人の始末を妊娠した妻・笙子(広末涼子さん)に押し付ける身勝手かつ無責任な性格で、その愛人が胃ガンを患い亡くなっても、見舞いにも葬式にも顔を出さない非道な仕打ちをする男性でした。

 白木は4歳のときに母親に捨てられたせいか、成熟した男、夫、父親になれない男性で、一方のみはるは若い頃に愛人と駆け落ちし、夫と幼い娘を捨てた、白木と逆の立場の業の深い女性でした。
 次々と女を作って肉体関係になり、面倒になるとその尻拭いを妻・笙子に任せる白木。当初は太宰治のように、それらの女性経験を作品に生かしているのかと思われていましたが、房事を記録したセックス帳をもとに実際に小説を書いていたのは妻の笙子でした。

 不倫関係は10年続きましたが、やがてみはるは白木が妻のゴーストライターに依存していることと、白木以外の男性とセックスしても白木に気づかれなくなったことに失望し、将来の不安から性を断ち、出家する覚悟を決めます。
 女性との別れに冷淡な仕打ちをするはずの白木が、みはるの得度式には立ち会いました。

 20年後、白木は自分が捨てた愛人のひとりと同じ胃ガンで苦しんで亡くなりますが、笙子は出家し寂聴となったみはるを病院へ呼び寄せ、ふたりで白木を見送るのでした。

感想

 白木にもみはるにも夫や妻、子どもという家庭があるにもかかわらず、セフレが複数人いて、そのうえメインの不倫相手であるお互いの関係が10年以上続くという性豪ぶりに業の深さを感じました。
 そうなるにはそうなるだけの生い立ちや寂しさがあるのかもしれませんが、今の時代だったら許されないであろう行為が多々見られました。

 またエロに関しても「抱きに来たんだ」、「綺麗だと思う?セックスしたくなる?」などストレートな台詞が目立ち、終盤の出家する前の晩に「あなたが寂しいと思って…」と言って、自分が寂しいのに夜這いっぽいことをしにくるところには閉口しました。
 いろいろな意味で、反面教師になる作品でした…。

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