サムライ桜町プロジェクト

江戸時代中期、東北地方の小さな藩に起こった、京から嫁いできた姫君をめぐる武家屋敷改革ストーリー。
当時の武士にとって、実は桜は不吉な木だった。風で無惨に散ってしまう様はまるで椿の花のような情けない死を連想させるし、増してしだれ桜ともなれば首を垂れて余計に縁起が悪いとされ誰も庭木に植える者などいなかった。
しかし、東北の雪深い城下の庭先に3本のしだれ桜の苗は植えられた。遠く京都からお輿入れされた(政治的に)大事な姫君だからこそ許された行為だった。嫁入り道具にそっと忍ばせた苗は京の八坂神社から分けられたもので、雪囲いをしていたお蔭で厳しい冬を一つ越すことができた。春が来て小さく可憐なつぼみがいくつか芽生えたのを見つめて、姫はせつない涙があふれるのを堪えることができなかった。
「もう二度と戻ることはない京の都、、生まれ育った屋敷、両親、兄妹たちと今生の別れをしてきた。相当の覚悟でこのみちのくに嫁いできたのに、何だろうこの苦しさは」
とうとう姫は床に伏し、日に日にやせ衰え元気を無くしていった。
さて、家老のもとに集められた若ザムライたちに厳命が下る。
「姫の持ってきたしだれ桜を増やして城下をを京都っぽくするのだ!良いな!」
こうして黒塀に囲まれた武家屋敷で枝垂れ桜を満開にさせるプロジェクトのメンバーはずぶの素人ばかり。しかし現代で言うところのガント・チャートを思いつく主人公を中心に町を挙げての意識改革が始まるよー!

#週刊少年マガジン原作大賞

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