長崎市議会で発言してきました!(後編)

長崎減税会のヒコです。
2023年末、長崎市議会で発言した体験記の後編です。

前編について、たくさんの反響をいただきました。ありがとうございます。

後編では、筆者なりの反省をまとめました。
お住まいの自治体とは、色々と事情が異なる内容かもしれませんが、参考にして頂けたらと思います。

陳情に対する市議会からの回答


まず、反省の前に、今回の陳情の結果から。

コチラ
が市から送られてきた、今回の陳情についての回答書です。
市が起こすアクションの記載が一切ない、「ゼロ回答」となってます。
国民民主党の五輪委員が言質をとってくれた、「県と同レベルの情報公開は技術的には可能」という話も、なかったことに😫。

企画財政部の、審議での態度を見れば、準備が万全でも結果は変わらなかったでしょう。
ですが、出席した議員への印象は変わっただろうと思います。
10人の議員のうち、4人しか発言しなかったのは、こちらが彼らを巻き込めるだけのアピールができなかったということです。

悔しいですが、理解不足、準備不足の結果です。

悔いの残らない議会発言に向けて


今回の市議会発言は、せっかく手にした棚ぼたチャンスを活かしきれず、悔しい思いをしました。

市議会発言とはどういうものか、事前に知っていたら、違った準備ができたと思います。
ですから、皆さんには是非、陳情一発目で、悔いのない主張をして頂きたい!

そこで、後に続く減税派の皆さんが、同じ轍を踏まないように、筆者の失敗や思い違いをまとめたので、みていただきたいです。
是非、長崎の経験を糧に、悔いのない準備をしてください。

失敗したこと


①陳情書と主張がズレていた。
今回の陳情書は、他の方の書いた文章を筆者が一部書き換えたキメラで、議会発言するつもりで書いたわけでもありませんでした。
そのため、論旨がやや不鮮明で、発言の下地にするには不具合がありました。
特に、「事務事業評価」以外の陳情は、狙いや効果をよく咀嚼できていません。

発言原稿の方で、論旨を立て直そうとしたのですが、向こうが回答するのは、発言に対してではなく、あくまで陳情書に対してです。
ひな形は大変ありがたかったのですが、噛み合った主張をしたいなら、陳情書は自分の言葉に全て置き換えるほうがいいでしょう。

②譲歩を引き出す相手を間違っていた
前編で述べた通りです。
本当の攻略相手は役所。
しかも長崎市の場合、直接対話ができないので厄介でした。
味方してくれる市議が出てこないと打つ手なしです。

③役所に対して、反論機会はないことを理解してなかった
役所側は、こちらが事前提出した書類を元に、前もって反論を練り上げ、こちらが発言できなくなってから、後出しでこちらの主張を否定してきます。
その際、再反論できないのをいいことに、前編で書いたような、びっくりするほど酷い詭弁を使ってきます。
これは、想像以上に強力です。

可能な限り詭弁を予測して、こちらのターンのうちに論拠を潰したいです。
先に実例を提示して対抗しましょう。

④発言機会を誤解してた
質疑には、応答の機会が必ずあると早合点して、主張を伝えきれませんでした。
自治体によって議事進行は様々だと思いますが、確実に発言できるタイミングで、全て出し切りましょう。

気づいたこと


①役所は事前提出の書類しか対策できない
当日持込資料や、口頭の内容には、市役所は反論の準備がありません。
奇襲効果や、詭弁潰しを狙いたい方は利用できるかもしれません。
ただし、最後に議会として回答するのは、事前に提出済の陳情書に対してだけです。

②配布資料はかなり効果的
一方的な演説は、ほとんど理解してもらえず、本番である「市議vs役所」のターンの武器になりません。
他方、配布資料は、内容を説明し損ねたのに、かなり利用してもらえました。
資料を思い切ってシンプルにしたのも功奏でした。

陳情人が退場しても市議の手元に残る、「陳情書」と「配布資料」が市議に渡せる武器と考えましょう。
発言機会は、武器の取説の時間だと思いましょう。

③市議は「前向きに検討する」くらいの言質は取ろうとしてくれる
わざわざ陳情人を市議会に呼んだ以上、市議はこちらの主張をないがしろにはしてきません。

主張に「一定の共感」を持ってもらえれば、そして、その上で「自身の利害とぶつからない」のならば、ある程度の言質を役所からひきだそうとしてくれます。

委員として参加した市議会議長さんは、陳情人と役所、両方の顔をたてようとしているなと感じました。
(役所側が、それを全く汲まなかったので怒って見せてましたが)

審議の様子から、今後、お話できそうな市議を見つけてください。

※筆者は「議員も人気商売だからやってくれるんだ」と意地悪く受けとっていましたが、他の自治体の例を伺うと、かなり冷淡なことも多いようです。長崎の議会は温かかったのかもしれません。


以上を踏まえて、取り組み方をまとめてみます。

議会発言への取り組み方


ここからは、筆者なりに理解した、陳情時の議会発言に対する取り組み方です。
独断と偏見です。
「いわずもがなのことを、細々と」書いております。
ひとつの参考としてお読みください。

1.ゲームの構造を理解して、それぞれのステップにやることをはっきりさせよう。

真の攻略対象が誰なのかを見誤らず、各ステップの行動目的をしっかり意識しましょう。
長崎の場合は、

①こちらの代弁をしてくれる市議を沢山つくる。
②役所の詭弁に対抗する材料をその市議にわたす。
③市議vs役所のオート戦闘を見守る。

の3ステップで構成されます。

(テイムして、強化して、戦わせる。ポケモン的🤔???)

味方を増やす、理論武装してもらう、など、ステップごとに目的を最大化できるように振舞いましょう。
①なら、事前に市議に会い、味方にしておく、など。
味方を減らす発言は、ここではいったん封印しましょう。

2.こちらの主張を、誤読や詭弁(ディスインフォメーション)から守ろう。

今回、個人的に一番悔しかったのが、間違った情報の流布や誤読を訂正させてもらえなかったことです。

誤読に対しては、「誤解を生まない資料を作る」「口頭で補足する」などを徹底するしかありません。

問題は、役所側の反論がどんなに荒唐無稽でも、こちらは再反論ができないことです。
(企画財政部の主張は、反論というより、ディスインフォメーションでした)
ゲーム構造が、「後攻有利」である以上、勝ち目はないんですが、そのことを意識して準備すれば、ダメージを減らせると思います。

そのために、陳情書、配布資料、読み上げる原稿、この3つの書類の特徴をよくつかみましょう。

陳情書
<強み>
・公的な回答を相手に強制できる
・回答は公開義務があり、あからさまな嘘や詭弁を書きづらい

<弱み>
・事前提出なので、議場でも事前に詭弁を準備される
・(長崎では)回答は後日に書面によるので、議場のやりとりが忠実に反映されず、一方的な内容になる

配布資料
<強み>
・陳情人が退場後も市議の手元に残り、ロジックを補強できる

<弱み>
・市議に読んでもらい、理解してもらう工夫が必要
・事前提出なので、事前に詭弁を準備される

(※対策されないように当日ギリギリに持ち込むという手段は、長崎ではグレーで、議長の許可が必要です。今回はたまたまこのパターンになり、役所から言質を一つ取りました。回答書で無視されたけど…😫)


今回の長崎では、ほとんど読んで貰えないことを想定して、かなりシンプルに「最低3行読んでもらえば勝ち」の資料を作りました。
実際には真面目に読んで貰えたので、この2~3倍は盛り込んでおけば良かったです。

発言原稿
<強み>
・提出しないので、役所が反論を事前準備できない
<弱み>
・質疑応答がない限り、一方的な演説になるので、関心のない市議の理解や共感を得にくい
・記録に残らないし、回答を求めることもできない

筆者は、次回があったら、発言原稿を印刷して、当日に配布してもらうように交渉しようと思っています(強みを守りながら弱みを減らす為)。

これら3種類の書類の性質に合わせて、「市議に必ず理解して欲しい情報」、「役所に詭弁でごまかされたくない情報」、「公的な回答を求める要望」を上手く振り分け、なんとか詭弁の壁を潜り抜けてください。

振り返ると、今回の長崎では、特に陳情書を使いこなせませんでした😖。

3.負け確イベントでも次に繋げよう

長崎の審議では、市議会議長を含む市議4人を、全く取り付く島もない一人の役人が返り討ちにしており、真の力関係を見る思いでした。
(のちに聞くところ、末期的な市財政を立て直した大エースだったそうです)
何人かの市議の心情的な応援くらいじゃ、勝算は見えませんね😅。
票で殴れるくらい強くなって、必死になって貰うしかない。

一方で、問題意識を共有できる複数の市議さんと繋がることができました。
結果は出ずとも、むしろ宣伝材料が増えたと、前向きに捉えてます。

皆さんの自治体でも、同様に負け確イベントかもしれません。
ですが、陳情で負けても、減税活動に活用できれば戦いには勝ったのです。
明日につなげていきましょう!

今回の記事も、そのつもりで書きました。
ですので、この記事が皆様の活動の手助けになったら幸いです。

長々と書かせてもらいました。
お住まいの自治体でも、是非、ダメ元でチャレンジを!

-------------------------------------------------------------------------------------

おまけ。「他の陳情を調べてみると…」


陳情って、まったく身近じゃないですよね。
普段はどんな内容が陳情されていて、実際に市に採用されたものはあるのでしょうか?
我々の陳情は「第8号陳情」だったので、少なくとも、あと7つはあるはずです。
市への陳情は、長崎市立図書館などに永久保存されるらしい。
市議会の帰りに、さっそく寄ってきました。

国会図書館には、こういった資料が、1700自治体分、永久保存らしい。四次元ポケット?

まさかの紙ベース保存😨!
データベースだと思ってたのに。手作業で探すの辛い💦
令和5年の資料はまだないので、平成28年から令和4年までの資料に目を通します。
(これより古いのは書庫)

もしあれば、この辺に記載されるはず…

ん???
1件もないぞ?

どういうことだろう。
6年間ゼロだった陳情が、まだ資料化してない令和5年に限って8件もあったということなのか?

いや待て待て。
本当に、令和5年は8件なのか?
むしろ、「第8号」を、”令和5年の8件目”、ではなくて、”市政はじまって以来8件目”と解釈した方が自然じゃないか?

…だとしたらこの制度、ガチで全然使われてない😱??????

戦後からのカウントなら、10年に1件ペース。
あり得る気がしますね…うわー。
(ひとつも見つからないので、他の陳情を見るのは諦めました)

陳情という制度、全国でも使われないまま眠ってるんじゃないでしょうか。
その中には、自動的に議会発言させて貰える自治体も、それなりにあると思います。
長崎市のように、存在を知られてなかっただけで。
使われないからこそ、廃止しようとすら思われず、残ってるのでは。

減税派の皆さんもダメ元でトライされてはいかがでしょうか。
陳情書提出はとても簡単です。


-------------------------------------------------------------------------------
以下、補足と宣伝

※1.減税あやさんが、川崎市での請願について、くわしく連載してらっしゃいます。
「請願のイロハ」https://note.com/aya7045/m/m02c9789a1c5d/hashtag/448261

※2.長崎市の陳情については、あめつち@大宮減税会さんのご協力で実現しました。

2/18 (日) 【第2回】オンライン市長選ゲーム(無料)(簡易版)
主催:市長選ゲーム普及委員会&おおさか減税会

市議をロールプレイして、汚い政治の現実を肌で理解する、無料オンラインイベントです。3時間程度。キラキラした理想論に飽き飽きの方は是非。プレイヤー枠はもう空きがないですが、観覧参加でも勉強になると評判です。
https://peatix.com/event/3812493/dashboard


長崎減税会の入会はコチラ
登録だけでもしてもらえるとチカラになります。
https://nagasakigenzeikai.studio.site/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?