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技術士試験は仕事をきちんとしていれば勉強しなくても合格できる話

 8回9年も受験をしていた私がタイトルの通りのことを言っても説得力も何もないですが、ほんの一部の本当に優秀な方は合格できるのかもしれません。
 
 私が今回述べることは『仕事をきちんとしていなければいくら勉強しても合格できない話』となります。
 
今回は無料記事で
 私がやっていたダメな業務の進め方と論文の書き方を述べます
有料部では
 私が実際に本番で書いた論文の概要、成績開示した点数、自身の講評を述べます

私の業務の進め方

 私が配属された部署は、材料メーカーの事業部内にある工務部という所でした。
 本社にも工務部という所がありますがチョット毛色が違います。
  事業部内はメンテナンスや修理計画などに合わせて設備の改造、改善をおこなう。改良設計を主としておこないます。
 CADは一番安いものを支給され、当時の部長からは
「図面なんかそんなに描かないんだから安いCADでええんや」
 と言われたとかなんとか。
 その結果、汎用CADという描くのにとんでも工数がかかるものを渡されたのが始まりです。
 
 ちなみに、本社工務部は新たな製造プロセスに関わることが多く、部品図にばらせる組図を描くためそれなりに高級な機械設計用CADを支給されるようです。
 
 そんな環境の中にあっては、図面を描く枚数はそれほど多くなく、仕様書を渡して図面を描いてもらうという仕事の進め方をしていました。
 
 また、現場と近いためトラブル発生時の対応など『即応力』が求められます。
しかも現場サイドが滅茶苦茶強いという企業文化もありました。
「早くせぇ!!」
「すぐ持ってこい!!」
「〇〇したらええんちゃうんか!!」
 今、思い返すとそんなに厳しいわけでもなく落ち着いて取り組めば良かったのかもしれませんが、新人で放り込まれた身としては
『とりあえず〇〇しとけば場が収まる』
 というマインドになっていたと反省しきりです。
 そしてまともなCADもないので、簡単な構想だけ業者に渡して図面よろしくという業務の流れになっていました。 

そんな業務の進め方をした人間の技術士試験

 技術士試験において上記の
『〇〇しておけば良い』という仕事の進め方は間違いなくマイナスです。
このような仕事の進め方をしていると論文はどうなるか?
 
 600字の問題は知識でゴリ押しできる。勉強でごまかせる。
 1200字の業務手順もそこそこ書ける
 1800字の必須、選択で点数を取れない
 
 なんでそんなことになるのか。
 
 技術士論文において、課題を抽出して解決策を述べるという設問構成になっていますよね。
このとき、課題を
『理想の状態とのギャップを埋めるためにやるべきこと』
 として、問題点
『課題遂行に対してボトルネックとなること』
 を排除する=提案
 という流れで論文を書いていました。
 
 『〇〇しておけば解決する』という業務遂行方法では課題抽出、課題設定の部分に難があり論文を書いても質が安定してないです。

①現状認識
 相手が『〇〇をしたらええんや!!』と言ってもそれが正しいかどうかはまだ分からないです。
 現状、何が問題となっているのかを明確にしていく。
 
 例えばある特定部品のトラブルが頻発している場合
現場サイドは、
「耐荷重が足りてないんじゃないか?」
「型番上げられへんのか!?」
 ととりあえず簡単に思いつく対応、仮説を述べてくる。
 
「分かりました!型番を上げるためには穴位置が違うのでコレコレこういうことをしとけばいいんですね!!」
 となりガチです
 
 ちゃんとエンジニアリングを実行するためには
特定部材にかかる荷重、モーメント、使用状況を調査
型番を上げて解決するのか確認する
 
 実は、型番をあげても振動とか他の問題が原因になっているため対応しても効果が得られない可能性だってある訳です。 

②課題設定
 何が問題かを把握したら次は、課題を設定します。
現状の問題が明確であれば
 『振動が問題であるため、振動数を〇%低減する』
 『重量が問題であるため、重量を〇%減じる』
 『重量不足していることが問題であるため、部品の型番を上げる』
などなど、業務をあるべき姿で実行していれば課題遂行能力が身に付き合格論文が書きやすくなると考えます。
 
 仕事をきちんとしていれば、課題遂行能力が身に付いているはず
 業務によっては自身の専門分野とフィットしておりキーワード学習は補強くらいで充分
 コンピテンシーを発揮した業務ができていればそれを業務経歴票にまとめる
 
 となると、『勉強をそれほどしなくても合格できる』
 ただし、この『仕事をきちんとできる』という部分は会社の風土や教育制度、上司、環境などに大きく左右されると思います。

 個人的には、『仕事をきちんとできる』かどうかは、自力の部分と環境の部分があると思います。
 優れているから出来るとは限らないと思いますし、その是非について述べるつもりもないです。

 ただ、環境が良くなく仕事をきちんとできていない場合であっても、受験を通じて技術士として認められる時には、『仕事をきちんとできる』状態になっていると思います。 

仕事の仕方が迷走していた時に書いた論文

迷走していた時期の選択科目Ⅲ
R-1 機械部門 加工・生産システム・産業機械 より
 「ものづくり」の革新的な高効率化を実現するとともに、新たなビジネスモデルを創出し,これまでにない製品を生み出そうとする第4次産業革命を実現するための取り組みが世界中で行われている。この中で,共通して取り組まれているのは,「ものづくり」のデジタル化とIoTの有効活用である。この「ものづくり」のデジタル化に関連して,以下の問いに答えよ。
 
(1)「ものづくり」とは,単なる製造プロセスを指すものではないことを具体的に説明せよ。さらに,その「ものづくり」の1プロセスである製造プロセスのデジタル化における課題を多面的な観点から3つ以上抽出し,分析せよ
(2)抽出した課題のうち,最も重要と考えるものを1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ
(3)デジタル化における課題に対する解決策に共通して新たに生ずるリスクを2つ以上挙げて,それへの対策について述べよ。

 という問題に、当時私が書いた回答論文の一部とダメ出しをしていきたいと思います。 
13点/30点(B評価)の回答

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