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マット・トッド 新たなる門出を祝して

I guess that’s part of the decision, but I’m happy to hang up the boots because I was very fortunate with the career I had. So, when this opportunity presented itself, to be able to be back involved with the Crusaders, it was too hard to turn down. So the playing days are done and dusted, the boots are hung up.
決断すべき時が来たのだと思う、でもとても幸運なキャリアだったから喜んで引退することができるね、そしてクルセイダーズに戻れる可能性があれば、それを断るのはとても難しいことなんだ

2023年6月のインタビューより
https://www.rugbypass.com/news/how-do-you-know-if-youre-ready-matt-todd-on-crusaders-coaching-role/

 2023年、東芝ブレイブルーパス東京でのキャリアを終えたマット・トッドはその輝かしいキャリアに幕を下ろした。常にハードワークを続け、周囲に慕われ続けたタフガイが次に選んだ道は指導者としてのキャリアであった。

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 マット・トッドがクルセイダーズの選手としてデビューしたのは2011年のことである。イーデン・パークでのブルーズ戦が初陣であった。本来であれば7番FLはリッチー・マコウが担っていたが、マコウは足の手術から回復中であり、その代わりにトッド・ブラックアダーHCは22歳のマットを7番FLとして起用し、ボールハンターの役割を与えた。
※参考:マット・トッドのクルセイダーズデビュー戦(ハイライト)


 リッチー・マコウというレジェンドと同じポジションであったが、マット・トッドはデビュー以来、愚直にハードワークを続けた。マコウがサバティカルで休養を取ったり、ケガなどの理由で出場できない期間もあったので、その間はマット・トッドがプレーを続けた。

 その結果、2014年開幕時にトッド・ブラックアダーHCはマコウではなく、マット・トッドが7番FLのファースト・チョイスとして考えるようになった。これはマコウが6番FLやNo.8でもプレー出来るということも理由であったが、マコウとしては7番でのプレーを希望していたようである。

Matt Todd was one of our better performers last year," Blackadder told Fairfax Media. "I don't want guys sitting on the bench who should be out there starting. For these guys, it's about their performances on the track."
ブラックアダーHC「マット・トッドは昨年我々のチームで良いパフォーマンスをした選手の1人だ。スターティングメンバーとして出場すべき選手がベンチに座っているのを見るのは好きではない。トラックでのパフォーマンスが重要だ」

McCaw, however, has made it clear what position he prefers.
"Probably 7," McCaw told Fairfax Media when asked where he wanted to start.
"But with Matt Todd coming back with injury ... hopefully I will be playing 7 but if there other reasons to play elsewhere then I will do that."
リッチー・マコウはどのポジションで出場したいかと問われ「7番だ。だがマット・トッドがケガから復帰したら…。7番でプレーしたいが他に理由があれば与えられた役割をこなすよ」と述べている

2014年1月29日ESPNの記事より引用
https://www.espn.co.uk/rugby/story/_/id/15333622/crusaders-coach-todd-blackadder-wants-start-matt-todd-richie-mccaw-hold-six-appea

 さらに翌2015年、マット・トッドはクルセイダーズのキャプテンに任命される。

"Matt Todd is going to captain the team in Kieran Read's absence," Blackadder said.
"He was our player of the year last year. He's been involved all the way though our pre-season which we thought was pretty important for our group. He is a guy that is respected by everyone in our environment which includes our All Blacks.
"You've got to be able to command a spot and be able to walk the talk. We see it as a good opportunity for him to lead the team. He has fantastic leadership skills. If anyone has earned the right, it's him."

ブラックアダーHC「キアラン・リードが不在の間はマット・トッドがキャプテンを務める。彼は昨年の私たちのプレイヤー・オブ・ザ・イヤーで、プレシーズンからとても重要な存在であった。All Blacksの選手も含めて皆が彼を慕っている。彼にとっても良い機会だと思う。彼はファンタスティックなリーダースキルを持っていて、キャプテンとなる権利があるのは彼だ」

Blackadder also hopes handing Todd the captaincy will create other positive spin-offs by allowing Carter and McCaw to return unburdened.
ブラックアダーHCはまた、マット・トッドのキャプテンシーがダン・カーターやリッチー・マコウの負担を軽減し、良い影響をもたらすことを期待している。

2015年1月12日のインタビュー記事より引用
https://rugby365.com/tournaments/super-rugby/news-super-rugby/todd-wins-crusaders-captaincy-race/

 その後、3度の優勝を含めてクルセイダーズでの輝かしいキャリアを歩んだマット・トッドは2019年のW杯日本大会後にブレイブルーパスへ移籍することになる。
 マット・トッドを招いたのはやはりトッド・ブラックアダーHCであり、ロールモデルとしての役割も期待してのオファーであった。そして2023年までブレイブルーパスに献身的に尽くし多くのレガシーを遺し、キャリアを終えたのである。

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 マット・トッドはクルセイダーズへのコーチ就任にあたって以下のコメントを残している。

“I’m excited to be stepping back into the Crusaders environment as a coach,” Todd said.
“I’m loving coaching with Marty and the Canterbury crew as we gear up to the ’23 NPC season, and look forward to the challenges and opportunities that this role with the Crusaders will give me.
“To coach a team I played for, and care so much about, and to be back at Rugby Park for Canterbury and now the Crusaders too – it’s awesome”.
クルセイダーズにコーチとして戻ってくることにワクワクしているよ。マーティやカンタベリーのクルーと指導することが好きなんだ。クルセイダーズが与えてくれた役割をこなす機会と挑戦が楽しみだ。かつて自分もプレーし大切にしていたチームに戻って指導できるのは最高だね

2023年6月6日 マット・トッド コーチ就任時のコメント
https://crusaders.co.nz/latest/news/matt-todd-confirmed-as-assistant-coach/

 マット・トッド、彼の素晴らしい人間性と高い能力、姿勢、そして(彼自身の言葉を借りて)幸運、これらが合わさればきっとこれからのキャリアもより素晴らしいものになるだろう。
 彼が見出した若手たちがSuper Rugbyやテストマッチ、W杯で活躍する日が来るのもそう遠くない未来かもしれない。(了)

※今回の記事は以下の記事を参考に作成しました。


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