映画の日。それは私にとっての至福の一日を指す。いつもならこの日は有給休暇を取り、一日映画を見て回り、家でテイクアウトのグラコロを食べながら撮りだめしたドラマを見るのが定番だ。

しかし、今年は大事なプレゼンが週明けに迫っていたので資料作成に追われていた。週末に休日出勤も考えたが、もしも終わらなかったときを考え、周りに助けを借りながら何とか金曜日中に終わらせ帰宅した。そうはいっても、その日の心は映画気分だったので、お気に入りの映画のDVDを借り、その後グラコロを購入して自宅で映画の日を楽しむことにした。

その映画とは長澤まさみ、森山未来が出演の「世界の中心で愛を叫ぶ」、通称“せかちゅう”だ。

「日本人って本当に四文字に略するのが好きだよな」

とつぶやきながら、パソコンにDVDをセットし再生ボタンを押した。

「そういえばこの“グラコロ”もグラタンコロッケバーガーの略だよな。ビーフステーキも“ビフテキ”、半チャーハンも“半チャー”、少し古いけどイタリア料理のことを“イタ飯”なんて略しもするし、食べ物でも結構あるな。」

一度、気になり始めたら止まらないオレ。ここから脳内で一人4文字略語探しゲームが始まった。まだ世に出てないしっくりくる新しい4文字略語を発見できれば成功だ。

「スポーツ選手で言えば、オグシオペア、ワタガシペア、タカマツペア、バドミントンはすぐ4文字の愛称をつけたがるよな。そういえば、ジャイアンツのオーナー、渡邉恒雄はナベツネなんて言われてたし。あ、これは野球か。レコード大賞はレコ大、スポーツ関係なくなってるし。お店で言えば、ビレッジバンガード、通称ビレバン、セカンドストリートはセカスト、SHIBUYA109はマルキュー、ツタヤはTY、あ、これはオレだけか。ゲームのジャンルでは、モンスターハンターをモンハン、ポケットモンスターをポケモン、モンスターストライクをモンストとか、いかんいかんいかん、知らないうちにモンスター縛りにしてた。新しい言葉ってなかなかでてこないもんだ。次は、身近なもので考えていこう。ビジネスバッグはビジバグ？いや語呂が悪いから“ビジバン”なんてどうだろう。おぉなかなかいいな。冷蔵庫はレイゾー？そのままじゃん。電子レンジはデンレン？何か気持ち悪い。掃除機はブインブインとか？何か赤ちゃんみたいだな。コタツはKTHOTとかはどうだろう？だめだ、長くなってるじゃん。」

”助けてください！”

言葉遊びに夢中になっている間に時間は過ぎ、知らぬ間に映画はクライマックスにさしかかっていた。

「じゃあ、今夜は満点の星空だから、フルスターレボリューションとかは？だめだ、どんどん長なっていく。」

今夜も、彼女がいないおわった独身男性の孤独な夜、ヒトオワのロリナイはまだまだ終わりそうにない。

おぉオリオン座に輝くペテルギウスよ。彼の未来を照らしてくれ。