集団指導と個別指導 1

塾・予備校選びでまず判断しなければならないのは、集団授業を受けるか個人授業を受けるか、です。
主な考慮要素としては、料金、生徒本人の資質、授業スタイルと生徒との相性、自習環境、といったところでしょうか。
今回は平均的な生徒についての、いわゆるコスパ、費用対効果について話したいと思います。

保護者目線からするとやはり第一基準は授業料になり、額面上は同じ時間にすると「集団:個別」では「1:3~6」くらいの差があります。しかし、実質においてその授業料が高いか低いかを判断すべきだと思います。
塾に対するアドバイスや保護者からの相談も種々受ける仕事の性質上、「お金を払っているのに成績が上がりません」との相談を数多く受けます。この相談は初回の面談で最初に出る発言です。成績を「試験の種類」、「点数」、「偏差値」、「合格の実力」のいずれを重視するかで話が異なってくるため、この話は次回以降詳しく説明するとします。

さて、授業料に見合うだけの勉強がなされているかどうかは、量と質の面から考えましょう。
まず勉強量としては、「予習→授業→復習」のサイクルがきちんとなされているかどうかです。このサイクルの重要性はだれもが知っていることですが、実行することは大人でも非常に難しいことです。まして、学習内容の定着のためには三回の復習、すなわち「翌日、一週間後、三週間後」(人、書籍、記事等によって期間は異なります)まできちんと実行しようとするとかなりの忍耐力・意思が必要となります。やはり集団授業では、担任・科目担当者の目が復習の有無までは届きにくく、一方で個別授業では講師による宿題ノート(点検シート等宿題が記載されてあるもの全般)、口頭での質問チェックでの復習確認が可能です。もちろん、集団授業でも宿題ノート等の提出により確認が可能であり、個別授業でも講師の質や力量によってチェックしなかったりできなかったりもあるでしょうから、あくまで個別授業のほうが復習がなされているかの確認・実効性が高い傾向にあるということです。

次に、質の面ですが、授業の質自体は集団授業のほうが良いでしょう。集団授業では、効率を考え、受験に出る知識を過不足なく伝えるため、授業についていければ十分な質が確保できるでしょう。しかし、生徒が集団の一人である以上、サボろうと思えば際限なくサボれるし、生徒本人として同じ気持ち・集中力で受講しているとしても、集団の中と目の前・横に講師がいる個別授業では自然と集中力に差が生じてきます。また、体感・主観的なことですが、集団に向けた説明と生徒本人に向けた説明では、理解・暗記の面に差があり、後者のほうが良いように感じられます。
悪い例でいうと、集団授業にただ座っているだけで何も覚えていないという生徒も必ず一定数いますし、個別授業においても宿題・予習を忘れた生徒に対して特にペナルティー(居残り勉強・宿題の追加等)を課すことなく授業の大半を宿題をただやるだけの授業になってしまうことも多々あります。

結局生徒次第でどちらが良いか異なってくるため、生徒本人をよく見て集団と個別のどちらが向いているかを判断した後、具体的に塾・予備校を検討するべきでしょう。当たり前のことですが、現在の塾の多さからこの基本的なことが忘れられていることが非常に多いと思います。

結論:生徒の性格・資質を中心に、集団授業と個別授業のどちらに向いているかを、種々の考慮要素を加味して検討しましょう。

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