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パリのメトロの思い出

いま読んでいる本が、フランスの日常を書いたエッセイで、興味深く楽しんで読み進めています。

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フランスの小さくて温かな暮らし 365日」 トリコロル・パリ

1ページごとにひとつのテーマについて書かれていて、カレンダーのように365日、四季折々のフランスの暮らしのあれこれを素敵な写真と共に楽しめます。

その中で、パリのメトロ(地下鉄)のドアの開け方について書かれたページがありました。

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"パリのメトロのドアは多くが手動式。 一番古いタイプはレバー式で、ホームに到着するとロックが解除され、降りたい人が下から上に向けて持ち上げます。これが案外、力を使います。"

パリ旅行の印象的な思い出がよみがえりました...。

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初めての海外ひとり旅は、フランス パリでした。

当時の私の海外旅行の経験は、大学の卒業旅行と会社の社員旅行のみで、いずれも添乗員付きのパッケージツアー。
すでに40代になっていたにもかかわらず、いまひとつ海外旅行の楽しさを知らずにいました。

そんな私が突然思い立って...「パリへ行ってみよう!」
私の中でなにが起きたんでしょうか?笑

フランス語どころか、英語もまったく話せない私。
そもそも海外へ行くのは約10年ぶりだし、自分で手配をして海外旅行をしたことがないし、空港でチェックインや荷物検査がどんな流れで行われるのかも分かっていません。
事前にたくさん下調べをして、計画を立て、不安と期待に胸をふくらませて飛び立ちました。

ちょうどパリの新聞社がテロリストに襲撃される事件が起きた後で、空港でライフル銃を持った兵士が警備をしている様子も物々しい雰囲気...。
事前の下調べで、パリの街はスリが多く、特に日本人はカモとして狙われていると知ったので、警戒心バチバチです。
とにかく、めちゃくちゃ緊張していたのを憶えています。笑

夜に宿泊先のホテルへ着いて、翌日、中心部のサン・ラザール駅から初めてメトロに乗りました。
めざすはモンマルトルの丘、サクレクール寺院です。

メトロの切符売り場で早速 ジプシーに話しかけられ、洗礼を受けます。笑
(おそらく、切符を買うなら私が売ってあげるよ、というようなことでした。)
聞こえていないフリをしましたが、緊張度はMAXです。

日本の地下鉄と比べて、ホームや通路が薄暗く、でも それがまたパリらしい雰囲気を醸し出しています。
見るものすべてが、パリに来たんだなぁと思えて、感慨深い...。

サクレクール寺院の最寄り駅、アベス駅は5つほど先の駅です。
地下鉄に乗って、注意深く停車駅を確認しつつ…アベス駅のホームに電車が着きました。

降りようと思いドアの前に立ちますが、開きません。
手動だと気づき、ドアにあるレバーのような物をガチャガチャやってみるけど、開きません。
焦った私は、助けを求めるべく周りの座席を振り返りますが、地元の人らしき乗客の皆さんは呆れたような真顔で私を見ています。涙

そうこうしているうちに電車は動き出しました。
しょっぱなから、乗り過ごしてしまった…。
あの時の私は、きっと悲壮な顔をしていたと思います。笑

いま思えば、次の駅で降りる人を見つけて一緒に降りて、また引き返せばいいだけのことです。
でも旅慣れていない私は、海外でスマホを使える環境にもなく、Googleマップがオフラインで使えることも知らず、持っているのは観光エリアの地図だけが付いた小さなガイドブックのみ。
次の駅で降りても地図もないけど、どうしよう...頭の中がぐるぐるしたのを憶えています。

運良く、次の駅で降りる乗客を見つけて、その人が開けたドアから付いて降りました。
もういちど逆方向のメトロに乗って引き返す気になれず、とりあえず駅から地上に出てみることに。

駅からの階段を上がると、そこは丘の上。
坂道だらけの街並みは、いかにもパリらしい建物が並ぶ素敵な風景で、悲嘆していた気持ちが一気に晴れます♪

たぶん丘を登り過ぎたので、坂道を下りて行けばいいのかな、とあたりを付け、歩きだしました。
石畳の道や、坂の上から見下ろす街の眺めも素敵だな~とワクワクします。
結局、何のことはない、通り過ぎたモンマルトルの街を戻りながら散策することとなりました。

無事にたどり着いたサクレクール寺院♪

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その後、帰りもメトロに乗って、降りる人たちがドアを開ける様子を観察しました。
なるほど!レバーを下から上に持ち上げるのね!
翌日メトロに乗り、はじめて自分でドアを開けた時は、成長を実感しました。笑

 ***

最近は、パリのメトロも自動化が進み、この手動式のドアは減少しているそうです。
無人運転の路線も増えているとのこと。
時代は変わりますね。

あの時に私が降りたのは、映画「アメリ」の撮影でも使われた駅だったと後から知りました。
どうりで、雰囲気のある素敵な場所だった訳です。
あの街並みは変わらず、あり続けて欲しいなぁ...☆



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