未来 2024.4月号より
冬天の高さを仰ぎつつきみと制空権を奪い合いたし
バーバリーの格子柄がどこかほろ苦き記憶に添いてさびし聖夜は
くちびるはねじれて紅き薔薇となる滅びゆくもの美しき夜に
「Z世代だなんてあなたたち新興ゾンビ映画のようね」
うちがわから削られてゆくビズリーチの広告が繰り返し流れて
なまなまと胸のあたりはつかえたり「中の人は」と言うときなども
都内某所というような曖昧さもて心のなかでお茶を濁した
表向きはあなたに味方しているという声、わがうちに澱みおり
わたくしから最も遠きものとしてヴィランという語はうつくしくある
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