マガジンのカバー画像

インドの歴史&文化

12
運営しているクリエイター

記事一覧

アショーカ王についての長いメモ

アショーカ王という人物について、聞いたことのある人はいるとおもう。 アショーカ王は古代インドのマウリヤ朝の3代目の王様で、紀元前268年ごろに王位につき、インド亜大陸を歴史上はじめてほぼ統一した偉業を成し遂げた。インドのえらい王様だ。 インド亜大陸をほぼ統一した王様は、アショーカ王のほかには、ムガル帝国のアウラングゼーブ帝くらいだ。その後大英帝国によりインドは支配されるが、そうかんがえるとあの広い地域を統一できる力を持っていた王のすごさがわかってもらえるだろうか。 この記事

インド古典文学の名作『シャクンタラー姫』のあらすじ紹介&図像解説

『バーフバリ』シリーズのクマラ役のスッバラージュさんがあの『シャクンタラー姫』を映像化した映画『Shaakuntalam』に登場すると聞いて、これはあの古代インドのカーリダーサ大先生の戯曲『シャクンタラー姫』を布教しなければ!と思ったけど、有名な翻訳本が古本屋でも見つかりにくい状態なので、あらすじをまとめた記事を作ったよ。 ちなみに全部で1万字超えてる記事なので長いです。 ネタバレありです。オチまでは無料で読めるようにしてます。 有料部分には絵の解説や物語の背景、あらすじには

有料
300

大倶利伽羅さんはインドかどうか調べてみた記事で、クリカさんを求めて漁った文献たちメモ。

タイトル通り、大倶利伽羅さんがインドかどうかしらべてみた記事で、いろいろ文献を漁ったけど、あまりにも本編が長くなってしまったのでまるっとこっちにもってきた。本編はこちら。 以下、本編を書くにあたっていろいろ調べた文献とかのメモ書きだ。大倶利伽羅さんの中にいるクリカ竜王が、インドでどんな扱いだったのかがわかるとおもう。ちなみに『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』については本編に残してる。 ウパニシャッド文献のクリカ齋藤彦松先生の論文によると、クリカが登場する一番古い資料は『

『古代インドの衣装』を出版しました。

古代インドが好きすぎて、『古代インドの衣装』という本を作ってしまった……気付いたら100ページになってた……というお話。 『古代インドの衣装』The Costumes of Ancient India古代インドが大好きなオタクがツイッターで古代インドのことを呟いていると、いろんな方から質問がきます。特に多いのが衣装についてです。 確かに古代インドの衣装を調べようとしても、ネットではほとんど引っかからない。じゃあ本で調べようにも、そもそも古代インドのどの時代なのかとか、もとに

インド映画『RRR』を観て気付いたところをまとめてみたメモ。(ネタバレあり)

RRRを観て気付いたところをまとめたメモのあつまり。ツイートした小ネタとかもまとめた。以下の2つの記事とかぶるところもあるし、こっちは解説を省いているのでどちらも読んだあとに見てもらうとわかりやすいかもしれない。私はただの通りすがりのインドオタクなので解釈間違ってることもあるとおもうけどそれでもよければどうぞ。 RRR小ネタとか箇条書き。ネタバレ、オチバレあります!読む人はご注意を!!!DVVのロゴ いちばんはじめに登場するのはヴェンカテーシュワラ神。神様へのお祈りの歌だ

『RRR』を3回観たとても個人的な感想。(ネタバレあり)

RRRはとにかくすごい映画なんだけど、何かが心にひっかかっていて、それが何かわかったんだけど、よく考えたらそんなこと気にする必要なんて全くなかったよね!映画を楽しもう!というお話。 ツイッターでわざわざ呟くようなことでもないので、こっそりこちらにアップしておくね。 RRRはすごい映画だった。 そういうのはいろんな人が書いてるのでここでは違うことをまとめてみようとおもう。でも思い出したらウワーとかアーーー!って声しかでない。 とりあえず3回観たので、インドオタクとしてはそろそ

インド映画『RRR』の疑問・質問に答えてみた(ネタバレ注意)

「RRR観てわかんないところあったら質問ください」ってマシュマロ投げたら凄い数の質問がきたので、ここでまとめて答えるね。 ただ、私は公式とは一切関係がないただの通りすがりのインドオタクなので、内容は間違ってるかもしれないからごめんね。 あと、お答えがよくわからないものも「わからないです」ってお返事してます。どなたか識者の方いればぜひ! ネタバレしかない記事なので、ネタバレ気になる人は絶対に読まないでね! 先生との約束だよ! ネタバレ記事はこっちにもあります。あわせてどう

インド映画『RRR』予習&復習のためのインドの歴史とインド神話、時代背景などをまとめてみた(ネタバレなし)

10月21日公開のインド映画『RRR』すごすぎてちょっとどうしていいかわからないのだけど、インドの近現代史や時代背景、神話などをまとめてみたので、予習したい人、復習したい人はどうぞ。 映画の舞台は1920年のインドなのだ。 あと、映画を観た後に「これはなんだ」と思った人がいるかもなので、映画に登場したインド神話やインド文化のあれやこれやについてもネタバレにならない程度でまとめたので、興味がある人はそちらもあわせてどうぞ。 ちなみにここに書いてあることを1ミリも知らなくても

インドの宝石とナヴァラトナについて調べてみたメモ。インド占星術との関係とか。

インドの宝石について調べていくと「ナヴァラトナ」という9つの宝石にぶちあたる。この宝石は惑星とも対応していて、9つの宝石を全部盛りしたアクセサリーはインドで大人気で、お守りとして男女問わず身につけるという。 そこでナヴァラトナとは何なのか調べていくうちに、インド占星術や神話など、背後に壮大な世界が広がっていることがわかった。 ここでは、ナヴァラトナというものがどういう存在なのかを、ふんわりと追いかけていこうと思う。 ちなみに私は占星術には全く詳しくないので違うことを言ってい

インド中期密教とヒンドゥー教タントリズムについてのメモ。明王像とシヴァ図像の関係とか。

これは「大倶利伽羅さんはインドかどうか調べてみた」という記事を書くにあたって、密教とシヴァについて書いていたら長くなったので分けた記事だ。ただのメモのようなものだ。本編はこちら↓ で。この記事では密教やヒンドゥー教の神様の像について語っているんだけども、どっちかの宗教をディスるつもりはまったくないので、信心深い方は読まない方がいいかもしれない。 あと、密教を語るにあたって、インドにあった密教以外の仏教(南インドやスリランカで発展した仏教とか)については、複雑になるのでここ

FGOでラクシュミー・バーイーが登場して驚いた件。英国統治時代のインドとインド独立についてざっくりまとめ。

なますて。天竺奇譚です。 まずはじめに。 かなり長くて雑なまとめですまない。 ちなみにこの長ったらしいメモというかまとめは、主にFGOというゲームに登場するラクシュミー・バーイーにからめた話だけど、ラクシュミー・バーイー本人やゲームについてはほとんど語ってない。ラクシュミー・バーイーが登場した歴史背景と、彼女の存在がインドに与えた影響についてざっくりとまとめたものなので。そこはすまない。 あと、ほんと雑なまとめなので、英国と東インド会社を同一に語ってたりとか、用語とか

伝説の王妃について調べてみた。FGOでラクシュミー・バーイーが登場して驚いた件その2

なますて。天竺奇譚です。 まずはじめに。 この記事は、前回書いた「FGOでラクシュミー・バーイーが登場して驚いた件。英国統治時代のインドとインド独立についてざっくりまとめ。」の続きみたいなものなので、先に↑を読むと(めっちゃ長いけど)背景がわかってよいかもしれない。 ちなみに前回の記事、予想以上に読まれていて、noteで1週間で一番読まれた記事にもなったぽくて、インド近現代史に興味をもった方々の知識欲マジすごいびっくりしたし、ネットの海の片隅でオタクが書いた記事をたくさ