「人に伝える」技術って③

★センスの問題である技術を獲得する方法論


「人に伝える」技術。

こうすれば伝わる、こういう構図にすれば人が分かりやすいといった類のスキルブックは巷に溢れています。

でも、ワタシの持論は「”分かる”は芸術に近いから、それを汲み取って分かりやすい資料を作れるかどうかはセンスの問題」ですので、実はこういうスキルというのはあくまで土台にしか過ぎず、どれだけスキルフルでも、人に伝えるとなるとイマイチな人が出てくるわけです。要するに、キレイでゴージャスなパワポを作るけども、結局何が言いたいか分からない、単なる見た目がよい資料が大量生産・大量廃棄されるわけです。

でも、センスと言って切り捨てていてはどうしようもないので、そこを少なくとも芸術でメシが食えるレベルにまで押し上げる必要があります。今日はその方法論について。




★芸術に似ているならカリキュラムをパクろう


人に伝わるパワポ作成が芸術に近く、センスの問題なのであれば、芸術分野で行われているカリキュラムをパクったらいいんじゃね?と思うのは自然じゃないでしょうか?

そのパクるべき第一のカリキュラムは「模写」です。

模写は名画と呼ばれる絵をお手本に、その描き方、構図、色使いを再現することでそれを描いた名画家のスキルや、ひいてはその内面までをもコピーしてしまうトレーニング方法。これをビジネスの世界でもやるわけです。


「こういう資料を作りたい!」とか「こういう文章をサクッと書けるようになりたい」というのを集めて、それを手書きで(必ず手書きで)シャッシャカと写すわけです。

その際に気をつけてほしいのは、パワポにおいては「構図のバランス」まできっちりと、文章においては「改行の箇所と数」まできっちりと模写すること。ただ単に内容だけ描き写すんではないんです。それらのバランスや意図まで汲み取れるように模写する。


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★模写はまるっと作者が何を考えていたかまで吸収できる方法


模写も一度ではなく、何度もすることをオススメします。

模写は繰り返せば繰り返すほど、作者の意図や思考の過程が分かってきます。「ああ、この一語はこういう人たちをフォローするために入れたんだな」「ここの構図は逆にコッチを際立たせるためか!」「この改行はわざと複数行入れて、待ちに待った感を出そうとしているのかな?」と言った風に、ただ単に見て眺めていただけではわからなかったようなことまで、ジブンの中に入ってくる感覚です。

しかも、「手書き」というのには初歩ステップとして非常に意味がある。
慣れてくれば、パソコンでカチャカチャ作るのでも十分意味があるのですが、それまではゼッタイに手書き推奨。だって手書きで使う脳の箇所の活性化とか、思考回路の構築なしに、パソコンではいいもの作れないですもん。

慣れてパソコンだけでカチャカチャやっている人は、アタマの中で「手書きと同様のプロセス」をバーチャルで回してからやっているだけ。まずはアナタのアタマの中にそういうプロセスをしっかりと構築することが先なので、そのためには手書きで手を動かさなければいけないんです。




★模写の幅を広げると、ジブンの幅になる


ちなみに、模写は範囲を広げていくのも非常によろしい。1回目に選択したお手本が「こうなりたい度100」のものとしたら、なんか気に入らないところはあるものの、全体的に気に入っている「こうなりたい度90」のものもやるべし。

これは絵画で言えば、アナタが描ける使える技法の幅の広さに繋がってきます。印象派がめちゃくちゃ好きで印象派ばかり模写していたけど、たまにはルネッサンスもやってみようかとか、今日は気分を変えて写実でいってみようとか、ということを繰り返すことで、「幅の広い描き方」が身につくということ。

もちろん一番得意なのは印象派なんだけど、必要があればバロックだろうが、何なら現代美術だって描けるよ、というのが理想でございます。だって、ジブンで描けてはじめて評価ができるってもんじゃないですが、絵画もパワポも。必要とさればその方式で人に伝えることができるというのがプロですしね。


なかなかに手間がかかりめんどくさいので、普通はやらない「模写」。
ですが、人に伝える技術のバックボーンが感覚の世界である限り、それは「いい」と思えるものをコピーすることでしか、その感覚(センス)は身につきません。しかも、これをやるのは100人に一人ぐらいですのでやると必ずアタマ一つ抜きん出ること間違いなし。ぜひオススメでございます。

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