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データを取ろう!その前に


データを取る目的

会社で仕事をしていると、いろんなデータを集めます。製造部門だと、製品の品質をデータ化したり、営業だと消費者の嗜好を探ったり、医療だと血圧や体温などを測定します。

どんなデータを集めるときでも、それが何を目的としているか?は重要です。目的に合っていないデータを集めても意味がありませんが、実際には無意味なデータ収集は行われています。

準備

急いでデータを集めようとしてはいけません。目的を達成するためには周到な準備が必要です。

・目的(解決すべき問題)は何か。
・現時点で分かっていることは何か。
・問題解決のために時点で不明だが知るべき情報は何か。

知るべき情報を知る手段としてデータ収集を行います。
・知るべき情報のためのデータは何か。
・データ収集の対象
・データ収集の時期、期間、頻度、個数、精度
・データの記録方法
・データの分析方法
・得られた情報の評価方法
・得られた情報の活用方法

とりあえずそれっぽいデータを集めてから考えれば良い、というスタイルで進めていることはあります。優秀っぽい人は上手くデータをまとめて見た目の良い資料を作成します。でもそれで目的を達成できるかどうかは分かりません。
データ収集は計画と準備が大きく結果に影響します。結果を急ごうとして、計画、準備が不明瞭なままデータ収集を始めてはいけません。

準備をしないワケ

個人差はありますが、データ収集のときに十分に準備をしない人は結構います。このことはそれほど不思議ではありません。私たちは「準備をする」教育をほとんど受けていないのです。
学校で何かを教わるときも、主に準備するのは学校側です。どういうことを学ぶか、どこで学習するか、などは自分で準備しません。「準備してきてください」と言われたものを用意します。何かをするときの「準備」のトレーニングってしていません。だから「データを取る」と言ったらそこには「準備」は想定されていません。もし準備をする概念が無いなら、今はそうだと認めて、これから準備をするようにすればよいだけです。

記録方法

データの記録方法には記録書式は重要です。良い書式を準備しておきましょう。手書きでも良いし、コンピュータに記録しても良いです。
記録時は観察したものをそのまま記録します。計測器の目盛りが5なら5を記録します。そのような記録書式を作成しておいて、そこに記録します。結果的にその数値を10倍したものになる、というものでも見たままを記録しておいて、後で計算します。
規格が3〜6であり、計測結果が5であれば、5を記録します。「適合」と記録してはいけません。
3つのデータの平均値を結果とする場合、1、2、3が計測結果なら、1、2、3を記録して、後で平均値を計算します。平均値として2だけを記録してはいけません。
原則として記録には個人の意見、感想、考察を入れません。もし、気になることがあって記録しておく必要があるなら、個人の意見であることが明確にしておきます。実際に起こったことと、そう考えたことは全く違うことです。

データの分析

データを取ったら分析しましょう。何かを調べるためにデータを取っていたのですから当然です。データを取る前に準備をしていれば、どのデータをどうやって分析・評価するかが決まっているので簡単です。これを、とりあえずデータを取っておけば後で分析できるから、と思うのは間違いです。事前の準備なしにデータを採取して、分析・評価しようとすると、目的を達成するためのデータが取れていないことがあります。そのデータが正しいものなのかを裏付けるデータも無かったりします。それほど不思議ではありません。なんとなくいくつかのデータを集めても、評価に十分な種類・量・質のデータではなかったりします。場合によっては同じことをもう一度行う必要があり、大きなコストとなります。

データ収集の終わり

データ収集には目的がありました。やることが終わったら、データ収集は終わりにします。なんとなく、データ収集を続けてはいけません。
製品品質を確認するために、日常にデータ収集を行っている、などの目的があればデータ収集を行います。しかし、何かを解決しようとしてデータ取りを始めたが、成果が出ていないからデータ取りを継続しよう、と言う人もいます。これ、データの取り方に問題がある可能性があります。この問題は、事前に準備を十分に行うことで発生しにくくなります。データの取り方が正しいかどうかは、事前に十分検討できます。評価方法も決めておきます。それならどういうデータが必要か、も決定できます。その上で集めたデータから十分な情報が得られなかったなら、それはデータ収集の対象や、データ収集方法が悪かったと考えてみるべきです。
「やってみなきゃ分かんないよ」と言う人もいますが、そんなことは「準備段階で検討すれば分かる」のです。やってから「おかしいと分かりました」なんてことはありません。データ収集方法に問題があるなら、そこからやり直しです。


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