見出し画像

【Languessr攻略】アラビア文字系言語を判別しよう!

こんにちは、北大言語学サークル構成員であり、محب الكلاب のてのちと申します。
この記事では、当サークル員が作成した言語当てゲーム、Languessrでアラビア文字・ペルシア文字を用いる言語を判別する方法を紹介します。

これを読むと、アラビア語・エジプトアラビア語・ペルシア語・クルド語(ソラニー方言)・ウルドゥー語・南アゼルバイジャン語を簡単に見分けられるようになります。

(Languessrについては紹介記事を読んだり、実際に遊んでみたりしてね。平たく言うとジオゲッサーの言語版ゲームです)↓リンク

※私は上記言語のうちアラビア語(フスハー)のみを学習中であり、その他の言語については全くの門外漢です。間違い等があれば、コメントでご指摘ください。


アラビア文字とペルシア文字

LanguessrのEasyモードに現れる、アラビア文字とペルシア文字を用いる言語は6言語あります。
アラビア文字を用いるのは
・アラビア語(ar: Arabic)
・エジプトアラビア語(arz: Egyptian Arabic)
ペルシア文字を用いるのは
・ペルシア語(fa: Persian)
・ウルドゥー語(ur: Urdu)
・クルド語(ソラニー)( ckb: Central Kurdish)
・南アゼルバイジャン語(azb: South Azerbaijani)
です。

アラビア文字とペルシア文字とで文字はほとんど共通しており、どちらも右から左に繋げて書くという特徴的な形をしています。また、どこで繋がっているかによって文字の形が変化するので、どこからどこまでが1つの文字なのかが大変分かりにくいです。大変ですが、そこは慣れていきましょう。(投げやり)

さて、ペルシア文字にはアラビア文字にはない文字が4つ存在します。

↑ペルシア語の例

黄色のマーカーで示した文字は[g]の音を表す文字で、ペルシア文字にしかないものです。この他にも、چ、ژ、پという文字はアラビア語にはありません。ゲームをプレイする上では、「右上に伸びる平行な2つの線(گ)がなんか目立つな」といった感じで、このgの文字が一番ペルシア文字系言語を見分けるのに分かりやすいと思います。

青のマーカーで示した部分は数字なのですが、数字の中でもペルシア語にしかない数字です。

引用: Wikipedia ウルドゥー文字https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%BC%E6%96%87%E5%AD%97 (閲覧日2024年3月27日)

アラビア語と異なるのは4、5、6の数字です。このように、数字でもペルシア文字系言語を見分けることができます。(表にあるようにウルドゥー語はまた別の数字を用いていますが、これについては後述します。)


アラビア語・エジプトアラビア語の見分け方

アラビア文字とペルシア文字を見分けた結果、アラビア文字だということが分かったら、次はアラビア語(フスハー)とエジプトアラビア語(アーンミーヤ)を見分けましょう。2つの頻出単語によって見分けられます。

フスハーの人称代名詞三人称単数男性形は
هو
なのに対し、エジプト方言では
هوا
となっています。

また、フスハーで英語のinにあたる前置詞は
في
なのに対し、エジプト方言では
فى
となっています。
なぜこのような違いがあるのかは私には分からないです…

↑アラビア語(フスハー)の例
↑エジプトアラビア語(アーンミーヤ)の例

ウルドゥー語の見分け方

ウルドゥー語は印欧語族に属し、パキスタンやインドで用いられている言語です。ペルシア文字を用いる4言語の中でも、ウルドゥー語は判別しやすいです。

黄色のマーカーで示した文字は[eː]と[ɛː]の音を表す文字で、ウルドゥー語にしかありません。語尾に付いて下向きにカギ状の文字 ـے を見たらすぐにウルドゥー語だと分かります。

青のマーカーで示した文字 ط は、反り舌音を表す発音記号として用いられており、この発音記号のついた文字があるのもウルドゥー語だけです。「文字の上にbみたいなのがついてるな」と思ったら、それはウルドゥー語です。

前述の表にあるように、ウルドゥー語は数字も独自のものを用いています。アラビア・ペルシアのどちらとも異なるのは4、6、7です。正直、覚えるのが大変な上、ـے と ط ですぐに判別がつくのでプレイする上では実用性が低い知識です。(そもそもWikipediaの記事ではほとんどアラビア数字(1,2,3…)を使っているっぽいです)

クルド語(ソラニー方言)の見分け方

クルド語は印欧語族に属し、主にクルド人の間で用いられている言語です。中でもソラニー方言はペルシア文字を用いて表記します。また、アラビア語と違ってアブジャドではないため、母音を表記します。

クルド語にも独自の文字があります。黄色のマーカーで示したڕ、ڵはクルド語に特有の文字であり、それぞれ[ɫ]と[r]の音を表しています。この他にも、[v]の音を表すڤも特有の文字です。

青のマーカーで示しているのは数字の4なのですが、何か奇妙に思われないでしょうか。この4はアラビア語の数字です。クルド語はペルシア文字を使う言語でありながら、数字はアラビア語のものを使っている点が特徴です。

パッと見で判別する方法として、文字の上に地図記号の畑のような記号がやたらとあるかどうかという方法があります。地図記号の畑のような記号を付ける文字は4つもあり、うち2つは母音で使用頻度が高いためです。ただし、南アゼルバイジャン語でもۆという文字が使われる点に注意しましょう。


ペルシア語・南アゼルバイジャン語の見分け方

最後に残ったのは、ペルシア語と南アゼルバイジャン語です。ペルシア語は印欧語族に属す一方、南アゼルバイジャン語はアルタイ諸語に属しているため、簡単に見分けられそうですが、この2つは比較的判別が難しいです。

↑南アゼルバイジャン語の例

クルド語で使用されるۆの文字は、南アゼルバイジャン語でも用いられる一方、ペルシア語では用いられません。クルド語よりは出現頻度が低いなと思ったら南アゼルバイジャン語だと判断してよいです。

↑ペルシア語の例

また、南アゼルバイジャン語には現れず、ペルシア語にしか現れない頻出単語としてاهل、كه、درが挙げられます。درは英語のinにあたる単語、كهは関係代名詞、اهلは住民や人々を意味する単語です。アラビア文字・ペルシア文字に慣れていないと見つけるのが難しいかもしれないですが、これを知っていると正解する確率が段違いに上がります。

判別フローチャート

以上の判別方法をまとめたフローチャートを書いてみました。

これを見てLanguessrを攻略しよう!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?