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建学の精神と現代社会

今回は、まず少し、私自身の話をします。私は27歳から52歳まで25年間、フランスで生活しました。そこで、日本の常識が必ずしも世界の常識ではないことを知りました。

例えば、フランスの学校には入学式、卒業式がありません。給食当番、掃除当番ももちろん、ありません。日本では、ラグビー、野球などスポーツの試合の前後に「礼」をしますが、欧米ではやりません。

度量衡も違います。イギリスの道路はキロではなくマイル表示ですし、アメリカでは重さはパウンドです。

正月も国によって違います。オーストラリアへ行けば、世界地図は南が上です。世界を覗くと、本当におもしろいです。

世界のことを色々と知ると、自分の人生の幅が広くなり、奥行きが深くなります。

そのために、前回言ったように、外国の文化や歴史を知る(天理参考館)と同時に自らの国・日本の文化や歴史をしっかり学ぶべき(天理図書館)だと思います。

そして、できれば海外の人と交流を持つべきです。言葉はそのための一つの道具です。何より大切なことは「外国語を話す」のではなく「外国語で話す」ことだと思います。

かしもの・かりもの

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さて、天理教には「かしもの・かりもの」という教えがあります。

それは「人間の心は自分のものであっても、身体は神からの借りもの、神から言えば貸しもの」という考え方です。

だから、身体は持ち主である神の意志に沿って使うべきだと考えるのです。

それを一つの形に表したのが、スポーツでしょう。スポーツは、する人も、観る人も、そして支える人も皆が喜ぶことができます。

小さな「陽気ぐらし世界」です。前回述べたように創設者が、スポーツに力を注いだのは、そういう意味があります。

同時に、またスポーツは常にケガと隣り合わせです。

その神からの大事な借り物である身体を癒し養うための施設として、天理よろづ相談所病院を設立しました↓↓↓。

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世界の人々とともに

さらに創設者は、自ら世界を周り、世界の人々と大いに交流しました。

その象徴的な出来事が、昭和39年東京オリンピックに柔道を正式種目にするための一連の交渉です。詳細は省きますが、創設者の努力で、前回の東京オリンピックで初めて、柔道が正式種目に採用されました。

そして、後に、そのオリンピックの柔道無差別級で金メダルを取るオランダのアントン・ヘーシンク選手を始め、多くの外国人選手を本学柔道場で練習させたのです。

今、世界はコロナウイルスで大変苦慮しています。

それだけではなく、ヨーロッパは増え続ける移民の問題があります。中東では、今なお戦火が止まりません。世界はますます格差の広がりを見せています。日本では少子高齢化がものすごい速さで進んでいます。

こういった様々な問題を解決するためには、世界の人が英知を出し合い、助け合うより他にありません。そのためにも、大いに世界のことを学んでください。

それが、この学校の建学の精神を発揮することになります。

世界に飛び出そう

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今は無理ですが、もう少し落ち着いたならば、海外に留学や研修に出るのもいいでしょう。また日本国内で、海外の人たちとも交わることも可能です。

海外のことを知り、外国の人々と交流を持つために、本学は様々な施設、活動を持っています。フランス・パリにはパリ分校↑↑↑があり、アメリカ・ニューヨークにはニューヨーク分校があります↓↓↓。

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また東南アジアなどで、現地の人たちと交流する国際参加プロジェクト、さらにドイツで、スポーツを通して現地の事情を学ぶ国際スポーツ交流実習があります↓↓↓。

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これらも大いに活用して、世界の人と交じり合い、真に平和な世界、陽気ぐらし世界の建設に寄与してもらいたいと思います。

                                                                                    天理大学学長 永尾 教昭

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