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坂本拓也インタビュー#04

TENSELESSの木下和重です。
約五ヶ月ぶりの投稿になってしまいました……。
#01#02#03を読んでくれた方々から、「面白い!」「スラスラ読める!」「出会う前の坂本さんのことが知れて興味深い!」などなど、嬉しいお言葉を頂戴しております。感謝!引き続きよろしくです!

#04ではanalogicが終了し、個人活動へと進んでいく坂本君にとっても重要な年、2009年の話を中心に聞いております。動画もいつもより多めです。
では、早速、お楽しみください!



11. analogic活動終了

木下 #03の最後に「analogicの活動後プロジェクターを使ったソロ・パフォーマンスを始めた」って言ってたけど、ソロ・パフォーマンス自体はanalogic時代でもやってたよね?

坂本 そうですね。例えば、2009年05月10日の直嶋岳史君の企画でソロをやってます。ここではプロジェクターではなくブラウン管を使ってて、2秒毎に赤、3秒毎に緑、5秒毎に青、2、3、5の公倍数の時間では混ざった色(白色)がそれぞれ発せられます。これは色で時間構造を提示した作品でした。

木下 俺の大好物な時間構造だ(笑)。

坂本 ブラウン管は色がバキッと出るのがいんですよね。同じコンセプトで違うイベントにも参加してて、それは展示だったんですけど、その時はブラウン管3台に赤、緑、青をそれぞれ振り分けました。あ、あとソロじゃないけど……。

木下 何かな?

坂本 その年の7月に、death-logicのライヴに来てたお客さんが企画したイベントにanalogicで出演したんですよ。

木下 あ、電球を光らせたりしたっていうライヴだね、前に言ってた。

坂本 そう、それです。だからもうこの時はフィードバック・システムは使ってないんですが、実は裏話があって。

木下 お、何だろう。

坂本 オファー受けた後に進さんが出演できないことが判明して、急遽death-logicではなく、analogicとして中村君と二人で出演することになったんです。だから今のanalogicってこんなんですよ〜って企画の人に説明したんです。電球を光らせたり、プロジェクターの光やブラウン管に映る色だけのパフォーマンスですよ〜って、ビートはありませんよ〜って。でも終わった後に企画の人が、「なんでdeath-logicと違うことするんですか!」って怒っちゃって。困りましたね。まあ我々以外はバンドだったので場違いな感は拭えなかったですが。

analogicライブ情報
今回はテレビモニター2台、RGB電球、プロジェクターを使います。フィードバックと光、色、形、動きに焦点をあてたパフォーマンスを考えてます。

Microphone presents
[△-TETRAHEDRON `09]
日時:2009.7.18(土)
場所:武蔵小金井artland
出演:Microphone, haruzuru, analogic
アートランド

(坂本拓也ブログ「坂本拓也のsomething else」より)


木下 death-logicサウンドを期待してる企画者にしたら、そうは言うても似たようなことをやってくれるだろって勝手な期待があったんだね。まさかこんな全然違うことをやるとは(笑)。

坂本 今から思い起こせば、これが中村君とやった最後のライヴですね。2009年の8月22日にanalogicでイベントに参加してますが、これは大城くんと二人です。ちなみに大城君は鉄板の音をフィードバックさせてて、僕はプロジェクターを使ってました。


12. 坂本拓也ソロ活動 「プロジェクター編」

坂本 ヴァンデルヴァイザー体験以降、プロジェクターを単なる映写機として使うようなことはしてなかったんですが、ある体験からさらに自分にとってプロジェクターの位置付けというか、使い方が変わったんですよね。

木下 お、詳しく聞かせてよ。

坂本 鈴木學さんがloop-lineで「エレクトロニクス制作講座」というシリーズ企画を主催してて僕も参加してたんですが、その講座の参加者で2009年の7月20日(月曜祝日)に多摩川でBBQをしたんです。

木下 中村君との最後のライヴの二日後だ!

坂本 BBQ場は橋のそばの河原で、橋には電車が走ってました。その橋にある線路の隙間からね、光が降ってくるんですよ。その光が影を作ってたんですが、時間の経過でどんどんその形が変化していったんですよね。それに、電車が通ると光と影が点滅してるみたいになる。その光景に見入っちゃって、「これだ!これをプロジェクターでやりたい!」と思いついたんです。それ以降、ソロではプロジェクターを光源として使うようになって、光と影やその動きに焦点を当てたパフォーマンスになっていきました。たまにですが、それまでのanalogic的なことを頼まれて一人でやったりすることもありました。

木下 今につながる坂本君のスタイルはこの時に生まれたんだね。

坂本 そうですね。BBQの翌月にloop-lineで開催された川口貴大君の企画にソロで参加しています。YouTubeに動画も上がってますね。

月例演奏会×第三回公演
2009年08月15日
開場19:30 開演20:00
料金1500円

出演:
川口貴大+坂本拓也DUO

川口貴大
2000年よりフィールドレコーディングを中心に制作を始めるも、集音行為にフォーカスした作品を作り続けることで、逆説的に空間に干渉しその場を作品化する方法を模索することとなる。
現在では100個近い改造カウンターや、解体した扇風機等を空間に配置するパフォーマンスやインスタレーションを軸に活動する。

(坂本拓也ブログ「坂本拓也のsomething else」より)




坂本 2009年10月1日に大城君の企画で、吉祥寺のオンゴーイングでやったソロ・パフォーマンスの動画もYouTubeにありました。この撮影は神田聡君ですね。


木下 昔の映像が残ってて、こうやって見られるのは有り難いね。このパフォーマンスは結構色があるというか、カラフルな感じだな。

坂本 そうですね、多用してますね(笑)。RGBは光の三原色なので引き続き使ってます。でも、以前のような時間構造を示すために使ってはいません。あ、この翌年の2010年に『ヒバリ映画祭 vol.3』という企画がloop-lineであったんです。

2010年05月30日
ヒバリ映画祭 vol.3
open 12:30 start 13:00
1000円 + drink
@Loop-Line

Billy Roisz
「Not Still」
「TILT」
「Close Your Eyes」

Dieb13
「Mexican Schnitzel ‘09」

Michaela Grill
「Trans」

Manuel Knapp
「stroboscopic noise」

坂本拓也
「new work」

角田俊也
「new work」

天狗と狐
「new work」

(当時のイベント告知文より)


坂本
 映画祭っていっても映画ではなくて映像作品を上映するイベントで、僕も映像作品を作って参加しました。これは光の動きに焦点を当てたものでした。光は電源を入れたら出てくるプロジェクターのそれです。loop-lineの照明を落として、漏れてくる光も完全にシャットアウトして真っ暗にして、座面が回転する椅子に乗せたプロジェクターを右から左へかなり遅いスピードで180°回転させて、その様子を固定カメラで撮影しました。さっきも言ったようにプロジェクターからはデフォルトの薄い白い光のフレームが出てるんですが、部屋の壁の凹凸や、置いてある物なんかでそのフレームが曲がったり歪んだりするんですよね。あと、映像という二次元になることで奥行が無くなるのも興味深かったですね。でも、少しずつ少しずつ、プロジェクターがブレないように慎重に動かしていたので、ものすごく疲れました(笑)。

木下 その映像作品観たいな!

坂本 僕も観たいです(笑)。でも僕はその映像を持ってないんですよね。

木下 それは残念!誰か持ってる人がいたら連絡ください!

坂本 他には、直島君が今も継続してやってる『公園コンサート』という企画に何回か参加しました。それはプロジェクターを使わずに、物体を動かしたりとか……。

木下 え?プロジェクターを使ってないの!じゃあ、それは次回にしましょう!

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