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40代の転職 退職交渉難航中。恩師からの引き留めにあう。

上司との退職交渉が難航する中、不意に一通のメールが。私がかつてとてもお世話になった上司、言ってみれば、恩師のような存在の方からだった。

「コロナだけど久しぶりに飲みに行かないか?」断る理由はない。
「是非、ご一緒させて下さい。」

実は今日誘ったのは・・・

「生ビールでいいか?」
「宜しくお願いします。」
昔よくいった東京駅の安居酒屋。
懐かしい思い出がいっぱいだ。

「最近どうだ?」
「ぼちぼちやらせてもらってます。」
なんて他愛もない話をしながら、
まだ酔も回らないうちから恩師が切出した。

「実はな、今日誘ったのは昔話もしたかったんだが、風の噂を聞いてな・・・」
まじかっ?既に転職の話が回っていやがる!

上司は極秘事項と言っていたが、
強引に引き止めても無駄だと思い、
情に訴えてきたか。。。

本当に、社会人になってから一番お世話になった恩師なので、この人に引き留められるのは辛い。。

お前のような奴を何人も見てきたよ

恩師はメガバンクの人事部に在席したこともあり、転職を希望する職員とは何度も面談している。

「お前の人生だ。好きにすればいい。でもな、悪いことは言わない。転職なんてやめておけ。お前のような奴を何人も見てきたよ。殆どの奴が不幸になってるぞ。」

さすが恩師。頭ごなしには引き留めない。
一旦は私の気持を受け止めた後で、自分の経験を引き合いに出してきた。
人事部経験者、説得力がある。

「俺も昔外に出向してたこともあってな。外から銀行を見てみたよ。そしたらな、やっぱりすげぇぞ、特にメガバンクは。」

出向話まで出して、さすがだな。。
徐々に酒も回ってきて感情も昂ってくる。

お前には俺の意志を継いでほしいんだ

「俺は金融で日本の中小企業や弱い立場の人達を助けたかった。でも、確かに今の銀行は顧客本位になってないところもあるかもしれない。」

熱くなってきた恩師は涙ながらに話を続ける。「俺はもうすぐ引退だ。俺にはその夢を叶えることができなかった。だから、お前には俺の意志を、夢を継いでほしいんだ。」

冷静に考えれば何いってんだ、という話だが、昔からよく悩みを相談していた恩師、そしてその時と同じ安居酒屋。
酒も回って私も泣けてきた。

すいません、それでも決意は変えられません

涙ながらにそう答えた。
何があろうと決めたのだ。
絶対に意志は変えないと。
絶対に転職すると。

そして涙を拭い、私は足早に席を立ったのであった。


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