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自然豊かな上野原市の古民家にある、とある珈琲焙煎所(シェアロースター)

中央線を西に進んでいくと、上野原駅という山梨県の最東部に位置する町に辿り着く。
美しい山々と、一年中四季の変化を味わうことができる自然溢れるこの場所は、すぐ隣が東京とは思えない、のどかな世界が広がる。
そんな山梨上野原に、築300年の古民家・ADDress上野原A邸がある。
敷地の入口となる長屋門の前を通ると、珈琲の香ばしい香りが漂い、思わず中に足を踏み入れる人も多い。
ここに、今回ご紹介する後藤さんが運営する珈琲焙煎所があるのだ。

ADDress上野原A邸 長屋門
ADDress上野原A邸 長屋門
ADDress上野原A邸 母屋リビング

後藤 伸啓さん。
株式会社アドレスの拠点開発事業部長であり、この古民家で珈琲焙煎所(シェアロースター)を運営されているオーナーの一人で、東京都山梨の二拠点生活を送られている。

真ん中が後藤さん

後藤さんの本業となる株式会社アドレスでは「いつもの場所が、いくつもある、 という生き方。」をコンセプトに、全国各地で多拠点生活ができるサブスクサービス「ADDress」を提供している。
全国に数百拠点以上の家があり、月々の定額料を払えば各地を転々としながら生活ができるわけだ。

今回、後藤さんに取材を申し込んだ理由は、このサービスの在り方にとても魅力を感じて、純粋に話を聞いてみたいと思ったからだったが、実際後藤さんと話してみると、もう一つの事業、シェアロースターができた経緯や活動内容、考え方に刺激を貰った。

家守さんと考えた珈琲焙煎所

ADDressの家の一つ、上野原A邸の離れに、物置になっていて活用されていない一室があった。
ADDressでは、家の管理者を家守(やもり)さんと言い、上野原A邸の家守さんはというと、後藤さんとこのシェアロースターを共同経営されている稲福 良祐さんだ。

後藤さんと稲福さんで、その一室をどう活用できるか考えていたところ、ふたりの共通点として珈琲好きだったこともあり、珈琲に関連する何かをここでやろうという話になった。
飲食だと初期投資がかかるし、営業許可も必要。そこで考えついたのが、珈琲焙煎所。シェアロースターである。
珈琲好きの人に、焙煎体験を提供し、自分で焙煎できるようになったら、その場所で自身の珈琲を作り、持ち帰って自宅で飲んだり、販売したりできる。
東京在住の後藤さんは、人口の多い東京よりも、自然豊かな上野原の方が、落ち着いてゆっくり焙煎を楽しめるだろうと考え、この「三十日珈琲」を開業した。

焙煎したての珈琲豆
焙煎後の試飲のためのハンドドリップの様子

オープンして間もない頃から、友人同士、カップルや家族等、多くの人たちが訪れており、中にはパティシエの方が珈琲も勉強したいとのことで通われたりすることもある。
珈琲についてバリスタに聞きたいことがあっても、時間に追われる都会では質問しようにもできないのだが、この場所では、後藤さんや稲福さんからゆっくり教えてもらい、自身が作った珈琲を楽しみ、珈琲の楽しみ方や知識を追求することができる。

また、この魅力ある上野原市をもっと多くの人に知ってもらい、シェアロースターが上野原市の人と訪れる人の懸け橋になれればという想いもあるそうだ。
「時間貸しで焙煎機をシェアする」というのがシェアロースター。
一人で焙煎を楽しむのもいいが、みんなで珈琲を楽しんだり談笑したりするのもいい。
焙煎を楽しみつつも、地域の人とのコミュニティの場になっていくことを、後藤さんと稲福さんは目指している。

三十日珈琲 焙煎体験中の一コマ

上野原市から旅する後藤さんの珈琲

ご自身でも焙煎所し、その珈琲自体も多くの人に味わってほしいとのことで、現在も、お店を探されている。
その意図としては、販売と共に「三十日珈琲」の存在も知ってもらい、ぜひ上野原に遊びに来てほしいとのことだ。
 
ひとつのスペースをどうするか?がきっかけでこのサービスを作り、シェアロースターに多くの人が県外から人が訪れるようになった。そこから地元の人との交流にも繋がった。そして、シェアロースターで作った珈琲が全国に回る。大きな広告活動をしてるわけではなく、やってみたかったこと、人に提供したいことを突き詰めた結果、三十日珈琲、そして上野原市が世に広まっていく。
ビジネスの本質とは、こういうことなのかもしれない。


後藤 伸啓さんプロフィール

株式会社アドレス 拠点開発事業部長
三十日珈琲 共同代表
 
2010年、新たなライフスタイルの提供の場として黎明期だったシェアハウスにて管理人兼コミュニティマネージャーとして様々なイベントの企画、運営に携わる。
 
2018年に多拠点生活・二拠点生活者向けの住まいのサブスク「ADDress」へ創業初期メンバーとして参画。クラウドファンディング担当として5000万円の調達実施を経て現職に就任。
地方自治体やまちづくり会社とのアライアンス、家守(管理人)の採用・育成、新規拠点開発、拠点管理、などを主軸に、ユーザーの体験価値向上に関わる施策のマネージャー兼プレーヤーとして全国創生に取り組んでいる。
 
2023年11月より山梨県の最東端、上野原市の古民家を活用した焙煎所兼シェアロースター「三十日珈琲」を創業。
 
東京と山梨の2拠点生活を送りながら、ADDressの運営と、珈琲体験の提供による関係人口創出、地域活性化に挑戦中。

ご本人のinstagram:https://www.instagram.com/nobuhirogoto/
三十日珈琲 Shared Roasting :https://www.instagram.com/misoca_coffee/
ADDress:https://www.instagram.com/address_life/


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