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『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』(東京都美術館)

東京都美術館開催の『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』に行って来ました。
(レオポルト美術館は、シーレ作品220展を所蔵するシーレの一台コレクションを持った美術館とのことでした。)

今回の展覧会では、エゴン・シーレを始めとするレオポルト美術館が所蔵するウィーン分離派や表現主義の画家の作品が展示されていました。

シーレの作品としては…
10代の頃のデッサンなどから展示されていました。
最年少で国立のアカデミーに合格しただけあり、10代のデッサンも破綻のないしっかりとしたデッサンでした。
その後のクリムトの影響で、クリムトぽいとか…
実際の絵を観ていて感じたのは、ベーシックな造形力の高さと独自の造形感覚。
図録やポスターで観るよりも、はるかに実際の絵は小さい…
それだけ造形的な構成がしっかりしているんでしょうね。
まあ、単純に絵が上手い…
少ない筆致、手数で、凄い魅力的な画面、マチエール…
そして、かなり難しい色使い、茶系統くすんだ色のみの絵や、普通しないような色の組み合わせなどしていても、魅力的な絵に仕上げているなあと感じました。
あと、実際の油彩画への鉛筆の生の線の入れ方など、今の絵画やイラストぽい…
これが100年前に描かれた作品なのかと…

描いている動画とか観てみたいなあと思ったりしました。
シーレが今の時代に生きていたら、わりとライブドローイングなどやっていたタイプなのかも知れないなあと感じたりもしました。

また、キリスト教的な題材を使って、ある種自己になぞらえて、ある種冒涜的に使って、そういった意味でも絵が多層的な意味を帯びて見えてくると感じました。
というか、表現主義的の作家というのは、まあキリスト教圏の人なので自然とそうなっていくのかも知れませんが…

人間的には、かなり最低な人ぼかったようで…
数年同棲した恋人をサクッと捨て、金持ちの女性に乗り換え結婚するとか…
姉妹2人と恋人関係になり同棲して、2人とも妊娠させて…
まあ、やりたい放題だよなあと…
若くして評価され成功した天才画家のスキャンダルということで、今だったらsnsから始まって大炎上するんでしょうが…


十数年前にクリムトとシーレの展覧会を観た時には感じなかったこととして…
線が最近の日本のアニメぽいなあ、と…
アニメ映画監督の湯浅政明とか、漫画家の荒木飛呂彦とか、エヴンゲリオンのメカ(?)デザインとか…
その他、今の日本のイケてるアニメの造形のディフォルメ感じはこうした感覚あるなあと…
直接間接色々と影響あるんだろうなあと思ったりしました。


その他、25歳で夭折した表現主義の画家としてある種パンクなリヒャルト・ゲルンストとかは、シーレの巧みな造形感覚とは対照的なバンクな絵画で、同じ展覧会で観れて興味深かったです。


その後、帰り道に桜見を兼ねて、西日暮里駅の方まで、ぶらぶら散歩して来ました。

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