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『クリード チャンプを継ぐ男』

視聴環境:U-NEXT

【内容】
映画「ロッキー」シリーズで対戦したアポロンの息子アドニス。アドニスは一流のサラリーマンの職を辞し、ロッキーの下でトレーニングして、プロボクサーとしてチャンピオンを目指す。

※ネタばれします。


【感想】
公開当初に映画館で、その後、テレビ放送で1回視聴していますが、久しぶりの見直してみました。

幼い主人公のアドニスが擁護施設で喧嘩する冒頭シーンでは、この手のボクシングものの這い上がる主人公の物語性を巧みに映像に落とし込んでいました。
そのことで、偉大なボクシングチャンピオンの父の血を継ぐ精神と身体性、その後、アポロンの妻のもとへと貰われていくというシーンで、複雑な設定をさらっと説明している。
本当、良く出来たシナリオだと改めて感じました。

また、この映画に出てくるシルベスター・スタローンのキャラクターや演技は良いですよね。
こうした抑えた脇役の演技をするシルベスター・スタローンというのも良いですね。
自分の運命を自ら切り開いた記念碑的な作品が、こうした形で蘇るという場に、役者として立ち会えているということも、演技に深みを感じさせる一因なのかもしれませんね。

吹き替えで観ていたのですが、ロッキーの吹き替えの羽佐間道夫が凄い良いですね。
年齢調べたら、もう89歳ということは、羽佐間道夫のロッキーの吹き替えは聴けなくなるんだなあと思ったりしました。
自分が子供の頃には、シルベスター・スタローンといえば、テレビ放映されていた羽佐間道夫版の吹き替えの印象が強く、映画観ていても吹き替えの方がどこかしっくりくると改めて感じたりしました。

『ロッキー』の映画にもあった、若い男女の自然な恋愛物語という面も踏襲しているのも、よりこの映画の美点にもなっていると感じました。
まあ、『ロッキー』の冴えない男女の物語とは違って、元エリートサラリーマンと売れっ子ミュージシャンの組み合わせではありますが…

自分のアイデンティティーのためにエリートサラリーマンの職を捨てプロボクサーとなった男と…
病気で難聴に苦しみつつも生きるために歌う女性ミュージシャン…
そこに、最愛の妻を亡くした老いたロッキーと、最愛の夫をなくしたアドニスの母…
『ロッキー』よりも、生きるとは老いとはとか、より重曹的なテーマの映画となっていると感じました。

始めて劇場で観た時、なんでこんなに感動するのかと思っていましたが、設定自体が凄く秀逸なんですよね。

アドニスの恋人役のテッサ・トンプソンもとても魅力的で、ちょっとした表情なんかもとても愛らしいですね。それに加えて、ミュージシャンなのに難聴に苦しむといういじらしさが、よりその笑顔をはかな毛に見せている…
難病ものの物語の持つデリケートな物語性も、このボクシング映画をそれだけに終わらせていない要因の1つになっているんでしょうね。

自室の壁に映し出されるロッキーとアポロンとの試合の映像の前で、たまらずにシャドーボクシングを始めるアドニスの姿を観ているだけで、彼の抑えきれないボクシングへの情熱が伝わってきたり…
ロッキーの出てくるシーンと、アドニスの出てくるシーンで使っている音楽の違いで時代性を表しているとか…
この映画は、名シーンのつるべ打ちですよね。
「俺は過ちじゃない」を始め、いちいち台詞が気が利いていますし…
過去作の設定も、上手くシナリオに組み込んでいるのも良いですね。
ロッキーの自宅に貼られたロッキーの息子の写真を見ながらの、アドニスにロッキーと息子との関係性を話すシーンとか、それだけでちょっとした短編映画であっても成立しそうな名シーンですし…
ロッキーの料理店の厨房の裏で話をするロッキーとアドニスのシーンは、派手な舞台からの対比として日常感のある良いロケーションですね。
本格的なボクシングシーンながらも、ちゃんと演技として成立しているワンカットで撮り切っているシーン…
ガンにかかったことがわかり、残りの人生の時間を意識しだしてからのロッキーの渋いシーン…未来あるアドニスとの対比で、よりロッキーの孤独と老いが描き出されていく。

やはりここまでの作品になると、設定や脚本、撮影など、本当にぬかりなく考えられて、作ら込まれていますね。
これは撮っている時も、特別な作品だったんだろうなあということが、伝わってくる気がします。
書き出していると、延々と止まらないですね。
しかし、この観ているだけで上がって行く感じはなんですかね…

クリード チャンプを継ぐ男 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com

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