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僕は人気者

いやあ、いぬうた市は今日も快晴でした。
それなので、きゅん君と、ぐーちゃんは、
ママの友達と近所の公園でシートを敷いて、
ミニピクニックです。
そこで、きゅん君は大変楽しい思いをしたみたいです。
何しろ、きゅん君は愛想がよく、
初めて会った人にでも、平気でヒザに乗ったり出来るので、
ママの友達にとても、ちやほやされ、
きゅん君はそれはそれはもう、でれでれでした。
家に帰ってからも、その興奮は覚めやらず、
つい、ぐーちゃんに、
「僕って人気者なんだよね」
と、言ってしまったのです。
その言葉に、ぐーちゃんは、かちんときたようで、
即座に反応して、きゅん君に言い返します。
「それって、きゅんから誰彼構わず無理矢理にヒザに乗っていっただけじゃない!そんなのとてもじゃないけど人気者とは言わないわ!」
ぐーちゃんはどうやら、きゅん君の公園での態度が、
だいぶ面白くなかったようです。
本当は、ぐーちゃんも、きゅん君のように、
誰とでも仲良くしたかったのです。
でも、ぐーちゃんはナイーブで怖がりなとこがあるので、
とてもとても、きゅん君のようには振る舞えないのです。
だから初めて会ったママの友達が多いピクニック中も、
シートの端っこでそわそわして、
何だか終始落ち着かないようでした。
なので、きゅん君がうらやましい気持ちがひっくり返って、
どうしても冷ややかな目で見てしまうのです。
そこにきて、きゅん君の不用意な人気者発言に、
ぐーちゃんの怒りは一気に爆発しました。
「だいたいそんなに媚びばっかり売って、きゅんにはプライドというものがないのかしら?志しを気高く、誇りを持てないの?」
怒りのせいか、何だか、いつもの、ぐーちゃんと違って、
難しい言葉を言い間違えることもなく言っていますね。
あら、でもよく見ると、ここは1階のダイニングルームで、
テレビからはドラマが流れていて、
そのドラマはケンカのシーンの最中で、奥さんが、
旦那さんに、常日頃の思っていた旦那さんへの嫌なところを、
口早く怒鳴っているところでして、
ぐーちゃんは、その奥さんのセリフに釣られて、
知らずと真似をしていたのでありました。
しかし、きゅん君はそんなこととは露知らず、
ご機嫌が一変して、大変ショックを受けているようです。
ぐーちゃんから逃げるように、2階の寝室へ行き、
先程の、ぐーちゃんの発言について考えます。
「気高く、誇りを持って、か?どうゆう意味だろう?毛は高くはないけど、ぐーよりかは長いと思うんだけど?ホコリも毛に絡まっていたりするから多少は持っているんじゃないかなあ」
あらら、きゅん君何だか見当違いな考え事に、
なってしまったようです。
そんな時、ベランダで飼い主が、
掃除機のフィルター掃除をちょうどしていて、
うっかりフィルターを床に落としてしまいました。
コツンと音がしたので「何事ー!」と、
きゅん君が駆けつけます。
そこで見たのが、床に落ちた大量のホコリで、
きゅん君はすかさず、「これだー!」と思い、
ホコリに向かって突進して、
ホコリいっぱいの床にごろんごろんして、
案の定、全身ホコリまみれとなった、きゅん君です。
「これでホコリをいっぱい持てた!」
と満足そうで、
あとから駆けつけた、ぐーちゃんはただただ呆れています。
「やっぱり、きゅんはどうしようもないわね」
でもそんな、ちょっとおバカなところがまた、
愛されキャラにつながっているのでしょう。
これが、自身も気付いていない、
きゅん君の人気者の秘訣なのでした。

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