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元気がないときは

いぬうた市は、今日も冬らしい晴天で、
寒さもほどほどに、空気も澄んで、
とても穏やかな様子です。
これはきっといい散歩が出来そうでは、
ないんじゃないですか。
ねえ、ぐーちゃん。
ぐーちゃん?
あれ、こんなに天気がいいのに、ぐーちゃん、
元気ないんじゃないですか?
心は曇り空といった感じで、それというのも、
ぐーちゃん、先程、ゴミ箱に入ったティッシュを、
出して、ガジガジしていたのを見つかって、
ママに怒られてしまったのです。
「ぐー、またやってしまったわ。あれほどティッシュさん、ガジガジしないよう、ママに言われていたのに。ぐー、悲しくてやりきれない」
と、終始しょんぼりしている、ぐーちゃんです。
あらま、ぐーちゃん、かわいそうに。
充分反省しているようですし、
何とか気分が変わるといいんですけど。
ここは、きゅん君、ぐーちゃんの元気を、
引き出してあげるべきでは?
すると、きゅん君が言いました。
「別に、ぐーの元気くらい、出させるのは簡単だけど、無理に出すのは、どうかと思うよ。そうゆう時は、自然に従うべきだよ。元気がない時は、そのままでいいのさ」
そうゆうもんですかね。
確かに、きゅん君の言うことも、
一理あるような気がしますが、
元気のない、ぐーちゃんを見るのは、
とってもいたたまれないもんで、
何とかしてあげたい、と、つい、そう思ってすまう訳で。
そうだ!こうゆう時は、寝るのが一番ではないですか。
寝ると、忘れたりすることもできますし、
楽しい夢が見れたら、気分も一瞬で変わりますし。
「ぐー、分かったー。おねんねすることにするー。それで、ぐーのお夢のお国の支配人さんに、楽しいお夢を見させてくれるよう、お願いしてみるー」
と、相変わらずの元気のない声で、それだけ言うと、
今までいた1階のダイニングルームを出て、
2階の寝室のベッドに向かいました。
そしてすぐにベッドの上で寝入って、
その足で夢の国に行くと、
入り口には支配人が待っていて、
ぐーちゃんが来るや否や、心配そうに声をかけます。
「ぐーちゃん。どうしたんですか?元気がないそうで、わたくし、大変心配です。わたくしに出来ることがあったら、何でも言って下さいね。夢も、とびきり楽しくて元気になるものをご用意してますよ」
と、その後も支配人の、ぐーちゃんへの心配が続き、
その言葉を聞いているうちに、ぐーちゃんは、
夢を見る必要がなくなりました。
それは何故ですかって?
それは、あまりにも、心配してくれたことが、
ぐーちゃんにはとっても嬉しくて心に響いて、
その心配の言葉を聞いているうちに、
ぐーちゃんの心はどんどん晴れてきて、
起きたころには、すっかり元気を取り戻していたのです。
よかったですね。ぐーちゃん。
これからお散歩タイムですよ。
ほら、ママが呼んでいます。
もう、ママも怒っていないようですし、
楽しい散歩になりそうですね。

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