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きもの本棚⑰『女優きもの』『きものsalon』は実用的なコーデの教科書だった!

訪問着に縁の薄い私が『きものsalon』に興味を抱いた理由は、昨年の「キモノサローネ」のトークセッションの動画を見たからだ。

かの『家庭画報』の別冊として出されている『きものsalon』は、訪問着の絢爛豪華な写真が持ち味と受け止めがちだが、読者の人気を得ているのは帯締めコーデだという。そんな人気のコーディネートを手掛けているのが「強者」編集者の相澤慶子さんだ。本誌から単行本化された『女優きもの 誰より美人に見せる ひみつの法則』で、相澤さんは「着物が着る人のメンタルに与える影響」について丁寧に綴っているが、私にはどれも、想像の範囲。だけれど、私にも真似できる実用的な「法則」は、確かに存在していた。

まずは何度も買い直すことの多い帯周りのコーデ。『女優きもの』の帯締めは多色遣いが鉄板で、帯揚げとは合わせない。そして、帯揚げは「つなぐ色」とある。具体的には、着物の色を白っぽくした色(または、帯の地の色)を合わせている。反対色もしかり。私はいつも、帯締めと帯揚げが漢字のニになって、帯揚げが包帯に見えてしまう。

『女優きもの』掲載のコーデを表にしてみた!

表で見てもわかるように、訪問着は例外だ。私のようなタイプは、フォーマル用に白地のぼかしが一枚あれば十分。もう、買わない方が良い。紬などのおしゃれ着物でも、着物の彩度の高い場合は帯の地の色に合わせる。そして、着物が地味なお色の場合は、帯揚げの鮮やかな色をポイントにしている。感覚でやってることだけど、迷った時には法則が頼りになる。また、買う時は先に帯締めに手が伸びるが、【着尺→帯→帯揚げ】の順の方が、失敗がない。

そんな、ひみつの法則は帯揚げだけじゃなかった。

『女優きもの 誰より美人に見せるひみつの法則』より抜粋

雲鶴、立涌、小葵、浮線陵、幸菱、三重襷。これら、紬を格上げするという有職文様(ゆうそくもんよう)をまずは抑えておきたい。錦糸銀糸入りの有職文様は名古屋帯をセミフォーマルに格上げする。

「連珠向鳳凰」「樹下動物文様」「華文」「葡萄唐草」などの正倉院文様も同様だ。林真理子さんがいうところの「花より動物がエライ」文様である。「騎馬人物」、意外なところでは鴛鴦(おしどり)の「花喰鳥」。幾何学模様なら、七宝、菱、石畳、立涌、格子など。

古典柄を年代順に並べてみると。

①正倉院文様(奈良時代)正倉院に収蔵した、桓武天皇の遺品。舶来品
②王朝模様(平安時代)貝桶、文箱など
③有職文様(戦国以降)武士が公家文化を取り入れたもの
④名物裂文様(〜江戸初期)有栖川錦、彦根唐草、いちご錦

+吉祥文様(    )よきことの兆し。長唄の歌詞にも登場する。

『女優きもの』はなかなか、ためになった。本誌『きものsalone』にあるお勉強のページも大変わかりやすいので、再読しようと思う。

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