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壽祝桜四月大歌舞伎『義経千本桜』明治座の桜と着物をウォッチング

三年ぶりに楽しんだ花見の宴も、そろそろ、終わりという四月の十一日、明治座の創業百五十周年記念講演『壽祝桜四月大歌舞伎』にて、片岡愛之助の『義経千本桜』を見ることができた。気分は桜づくし。

さっそく、着物ウォッチング。

ビッグヒットは桜の花弁の訪問着姿の女性。濃い地の着物に、コントラストで描かれた花弁が、襟元から、ハラハラと散らされている。名残惜しむような桜吹雪が、浜町公園の並木とタイミングがばっちり。

それから『段ぼかし』っていうのかな? 裾に白っぽくぼかしが入っていて、一見、色無地にも見え、それでいてきっちりと絵羽になっていて、箔は使わずのクリーム色。

紋付の色無地の方もいらして、華やかなお色だった。趣味の長唄三味線、演奏会で着る着物で、明治座はセーフ?

訪問着ですから、みなさん、羽織をお持ちで、紗がほとんどで透け感のない羽織の方もいらした。

それでは印象に残った、演目の忘備録です。

『義経千本桜』の『鳥居前』。愛之助さんの狐忠信がむっちりと、愛くるしく、金糸で源氏車(家紋に使われる車輪の模様)を豪華に刺繍した着物の赤、狐六法で見せる手の甲の部分の赤、舞台に巡らせた柵の赤。

赤、赤、赤で、華やいだ気持ちになりました。

先日、趣味の長唄三味線のご縁で伺った演奏会で、「緞帳と引き幕では、ツケの音が違う」と教えて貰った。

立ち回りのシーンになると、ツケ板を持って、舞台袖に現れるツケ打ちさんに目が釘付け。

敵方を張り倒す動作に合わせ、ツケ木の澄んだ音が大きく響き、愛之助さんを見つめるツケ打ちさんの真摯なお姿に、胸が熱くなりました。

『大杯觴酒戦強者(おおさかづきしゅせんのつわもの)』は飲み比べをしに行ったら、額の刀傷から、武勇の誉れある身の上を見抜かれ、ヘッドハンティングされるというラッキーなお話。台詞が多くて、大変だ。

酩酊していても、滲み出る度量を持つ足軽は、中村芝翫さん。不貞腐れずに生きて行こうよと、思いました。

そして、舞踊劇は『神田祭』。

人間国宝、中村梅玉さんの鳶頭。シュッとしていて、魅力を語れる程の技量は私にはないけど、品格と簡素の境界線のある踊りや台詞回しに、痛み入りました。

全部まとめて、楽しかった。

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