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やる気がないわけではない、負けたいと思ってやる人などいない

「スポ根」からの脱却をはかる

自分の指導観や、中学生へのアプローチは、近年大きく変容したと思っていますが、改めて、こうしてチームを預かる立場で中学生を見ていると、やはりまだまだ「自分自身へのストレス」とどう向き合うかというのが難しいなと感じます。
それはやはり「大会」という「リミット」が迫ることへの焦燥感が絶対あるのだろうと思います。
そのあたりがまだまだ自分には未熟な点です。

他方で、やはり中学生ともなると、彼らの「メンタリティ」というのはとても難しいと感じています。
昔からずっとそうだったのですが、特に感じています。
主体性、自信、積極性、想像力を働かせる、コミュニケーションがとれる・・・
そういったものがなぜ発揮されないのか。
できないことを要求しているのではなく、これまでの練習でできること、個々の個性のや持ち味の中で発揮されるべきもの・・・彼ら一人ひとりにはそういった部分があり、実際これまで発揮されてきたにもかかわらず、日によっては、まったくいい所がないといもあります。
こういった場合は、どのようにスタッフとして対処すればよいか。試合の合間にミーティングをしたり、いろんな立場から、助言を求めたり、やるべきことをシンプル化したり・・・それでも好転しないというところが難しいです。

時々、「どうやって勝たせるか」というよりも、「どうやって実力を発揮できるようにさせるか?」
ということが、自分の考え事となります。
私も最近は何でもかんでも「気持ちのモンダイ」とか「精神力」というくくりで、問題を片付けてしまうことには疑問を持つ方ではありますが、やはり中学生という成長段階の子どもたちにおいて、主体性や能動性、自立や自信を確固たるものにするというのは、非常に難しいのだろうと思います。
そうなると、1年や2年で大会で勝つためには、指導者の強力なリーダーシップのもとに、選手たちを統率し、牽引していくことが手っ取り早いのだろう。しかしそれでは、バレーボールのスキルのアイディアや、戦術的思考力は絶対育たないそれも考えているだけに、こちらのジレンマ、ストレスたるや大きいのかもしれません。

指導から「観察」へ・・・

何だろうか?よく見受けられる、子どもたちの様子うかがいみたいな感じは?他人が頑張りだしたら自分も頑張ってみる、周囲が沈むと、自分も気持ちが停滞してくる、勝てそうだと思ったら、調子を取り戻す。勝てるか不安だと、なかなか調子が出ない。こんな他力本願的な主体性のなさが、自分がイチバン納得ができない所。
そして極度に失敗に落ち込み、失敗を避けようとする。「リスク」を背負うようなことはない。自分の安全策をとっても、結局相手に攻め返される。そんなことにも気づかず、自分の安全策を続ける。
そういった未熟なメンタリティー。
それらを解消すべく、短期間でも、プレーやゲームの新しい概念を伝達し、それぞれがやるべき事、考える視点を確認しているにも、まだまだゲーム中にそこに集中できない。つまりは、まだまだ浸透に時間がかかるということなんだろうと思います。
ここは、私たちコーチ側の忍耐、忍耐、我慢、我慢。結果に焦って、選手たちに押しつけ、やらせに走らないよう、このあとも、アプローチを探ることが大事ですね。
どうやって勝たせるか」というよりも、「どうやって実力を発揮できるようにさせるか?」
個人的には、「よしよし」と見守ることも大事ですが、適切なタイミングで目を覚ます、覚醒させることも必要なのかなと思っています。

ベクトルを自分(コーチ側)に向ける

小中高校生である「彼ら」は、決して手を抜こうとして手を抜いているのでもなく、やる気がないわけでもなく、甘えようとして甘えたプレーや行動をしていないのだと思います。
ただ、スタッフから見た「甘さ」、「意識の低さ」、「消極性」などといったものが、どこから来ているのかを、本人たちは「知らない」し、大人はそこを指摘、修正しないと、いつまでも「甘えるな!」「強いキモチで!」なんて、叱咤激励したって、変わらないし、子どもたちは「知らない」わけですから、言われれば言われるほど、追い込まれ混乱し、ミスの連鎖を発生させていきます。

逆に言えば、メンタル的に充実した状態、モチベーションが高く維持された状態をどのように自分で
つくりあげればいいのか・・・そういったことを「知らない」ということにもなると思います。
子どもの勉強だって同じですよね。
いくら「勉強しなさい」って言っても勉強しない、「アンタやる気ないでしょ!」言ってもやる気を出してくれない。よくよく聞いてみたら、長続きする勉強のやり方を「知らない」というのと同じなんだろうと思います。

「集中しよう!」と言っている時点で集中できない自分が強化されるし。
「積極的に攻めろ!」と言っている時点で弱腰の自分がそこにいる。
「笑顔でいこう!」と言っている時点で、みんなますます顔が引きつる。
そうじゃなくて、「結果的にそうなる」ような、
別の視点でのアドバイスや指示、指導って必要だなと思います。自分もその引き出しはまだまだだと感じています。

自分自身(コーチ側)から離れる俯瞰する

自分は、メンタルトレーニングの資格も何も持っていなし、本を読んだ知識とこれまでの経験則しかないのだけれども、今かかわっている、中学生チームの選手たちに、このような課題においてアプローチするとすれば、

◇ 「セルフコントロール」を知る
 →調子は整えてもらうのではなく、整えるもの

◇ 「自己客観視」、「自己分析」の習慣
 →緊張や、不安は排除しようとしない、一回受け止める

◇ 説得ある準備と行動をしているか
 →「がんばる」、「勝ちたい」・・・じゃあ何してるか?

◇ 精神論感情論から離れるための「戦術的」思考、知識の共有
 →考えることをよりテクニカルにすることで、
  感情論が入りこむ隙を与えない。

こういったスタンスでこれからも見ていこうとは思っています。
なかなか浸透していかず、案の定、自分が何か劣勢になったり、ピンチになると、「盛り上がっていこう!」「声出していこう!」などといった、安易な言葉しか出せなくなる状況の方が多いです。安易な言葉・・・それだけ考え方を知らない、考えることができない、そういったことを露呈しているんだと思います。

よく「自立していない」とか何とかと言われていますが、本人たちは自立したくないと思っているわけではないし、むしろいつも自分で何とかしなきゃと思っているはずです。
でも何せ、そうなるための「手数」がないわけです。思考法にしても、知識にしても、メンタルケアについてもです。ですから、まずは「知ってもらう」ということは大事なのだろうと思います。


(2014年)