見出し画像

「用語」の整備が求められている

日本のバレーボールでは、昨今、使われる「用語」についても議論されるようになってきました。

大変参考になるものがたくさんあります。

2010年には、
『月刊バレーボール』発行元の日本文化出版より、
日本バレーボール学会監修・バレーボール用語集あらため、

バレーボール百科事典『Volleypedia(バレーペディア)』

が発刊されています。
いろんな用語の解説があり、多くの人に読んでもらいたいです。

画像1

今さらながらのことですが、
「用語」 を知ること、使うこと、
「用語」 の正しい意味や使い方を知ることは、とても大切だと気付かされます。

それは観戦時の実況や解説を理解するときや、お互いの会話で使うときに、
よりスムーズにいくという、コミュニケーションのスキルということだけにとどまりません。

もっと重要なことは、(当たり前のことを偉そうに書いてますが・・・)
「用語」を用いることが、スキルや戦術の概念を理解することにつながるということです。
ただ、「用語」を間違って使ってしまっては、本末転倒で、
陥りやすい危険なところでもあります。

最近のバレーボール攻撃では、

パイプ(Pipe)  と  ビック(Bick) という言葉が使われています。

パイプ(Pipe) : 後衛の選手がセンター付近から打つ、「セカンド・テンポ」のバックアタック。

ビック(Bick) : 後衛の選手がセンター付近から打つ、「ファースト・テンポ」のバックアタック。

という意味になります。

言葉を知ると、「そんなやり方があるんだ」 と、自分の固定観念や古い考えを打ち破るきっかけになります。
そこに、用語の重要性があるのだと思います。
10年前の日本で、誰が「バックアタック」の「クイック版」・「時間差版」を考えたでしょうか?
やってみようと思ったでしょうか?

今となっては、「ビック」や「パイプ」という用語がある以上、
それらの技術は、標準のものとなっているわけです。 

ブロックに関してもそうですね。経験だけに頼って、何気なくブロックを分析・実践するよりも、
しっかりと現在使われる用語を理解することで、さらに実践も整備されていきます。
「リード」 / 「コミット」
「バンチ」 / 「スプレッド」 / 「デディケート」
などです。


用語とはちょっと話がズレるかもしれませんが、
世界の歴史における「度量衡」の統一を思い出します。

 “度”は長さ、“量”は体積、“衡”は質量を表わし、さらにそれぞれがそれらの単位も表わしす。
ある社会内においてこれらの単位が共通でないと、生活上、不便であるばかりでなく、
誤解・争いのもとともなります。
だから、昔の人は世の中を発展させようとするとき、「度量衡」の統一を図りました。
例えば古代中国では、紀元前221年に中国を統一した秦の始皇帝が有名です
日本でも天下統一をはたした豊臣秀吉によって度量衡の統一が図られています。

「用語」と「度量衡」は、ちょっと違いますが、
私のイメージでは似たものを感じます。
バレーボールの「用語」を統一・・・
しかも、「世界で一般的になっている」もので統一し、
それを正しく理解して、実践すれば、
おのずと世界のレベルに立てるということになります。

口先で言う言葉をカッコ良くするということではなく、
バレーボールを見る視点、実践する切り口に大きな影響を与えるのが、
「用語」になるのだと思います。


(2011年)