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人間は野獣なのか

「本題からいきましょう。
人間は野獣なのでしょうか?」
「ある意味でそうだ。
人間は野獣ではないのか?
いやむしろ、人間は野獣だ。
そう考えた方が現実的かもしれない。」
「そうか。
何だかショッキングなんだが、それは私だけか。
人間は野獣ではないと思ってきた気がする。が、
そうでもないか。
人間は原野を徘徊する二本足の獣ではあるから、
野獣でいいな。
これから人間を見たら野獣だと思おう。」
「何だか笑える。
そんなことがショッキングだったのか。
ハハハ。人間は本来的に野獣でしょ。
猿も獣だし、人間も獣だろ。
だから、むしろ獣らしくない奴の方が危ないんだよ。
人間が動物でないないなら、何なんだよ。
植物かよ。木かよ。花かよ。
あり得ないよな。そんなの。」
「そう。
その通りだ。
暴言だと言われるんだろうが、
人間を植物に例えるのは気持ちの良いことではない。
人間を植物的に表現する方が暴言ではないか。
暴論だと思われる。」
「植物状態ってのは笑えない。
俺は医療には詳しくないけど、植物状態ってそう言うアレだろ。
人の不幸じゃないか。
全然笑えない。
それなら荒野を徘徊する獣の方がずっと健康的だ。
俺はむしろ野獣だと恐ろしがられたいな。」
「そうか。
そりゃ結構。
なら体毛でもボーボーに生やせよ。
でも既に実施済みの人もそれなりにいるな。
それはそれでわからやすいか。
私はペットを飼っていたこともあるからな。
獣は世話が必要だと分かる。
世話されたいなら獣らしい佇まいをした方がいいか。
その方がずっと人間扱いされるかもしれない。」
「ところで気になったことがある。
女性が髪を長くするのは何故なんだろう?
どの文明でも何故かそうらしいぞ。
俺は髪は短い方が好みなのだが、
それでも男よりも普通は長いな。
何故だろう。」
「言われてみると不思議だ。
何故だろう。
民俗学か?
よく分からないな。
こんなこと追求する意味あんのか?
ないな。ないない。
もうこんなこと考えるのやめておこうぜ。」
「え?
ああ。まあそれでいいけど。
いやでも気になるな。
俺は気になるから、勝手に考えるわ。」
「あ、そう。
じゃあ、そうしといて。」
「ああ、そう。
分かった。
何だか妙に腑に落ちる感じがする。
人間はそりゃ獣だわな。
体毛だって充分生えてるし、
これからは動物園に行ったら、動物にどう感じるんだろうか。」
「言われてみればそうなんだけどな。
よし今度、動物園でも行くか。」
「俺はいい。
結構だ。
でも気になるな。
お前とは行きたくない。
だから一人で行ってくる。」
「それでいいのか。
ふーん。」

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