キッチンの廊下で顔を上げて啞然とした。壁にかけたカレンダーが４月でとまったままだった。すでに6月の1週目が終わろうとしているのに。5月はどこに消えた？　何もしていなかったわけじゃない。仕事もリモートでフルで働いていたし、ガーデニングや家事もしていた。だけど新型コロナウイルスのニュースだらけな中で、なるべく平常通りに、平常通りにと努力していても心ここにあらずだったんだとカレンダーが示していた。

3月初旬に現地の友人と集まる時にマスクをして行ったら、医師をしている友人にマスクは病人がするものだから病気でないならマスクはするなと注意された。それから2週間であっという間に常識が変わりみんなが手づくりマスクをつけるようになった。マスクをしていなければ中に入れてもらえない店も出てきた。雨後の筍のように次々とマスクの型紙や代用品のアイデアがソーシャルネットワークでシェアされる。その後各地で自粛解除要求デモが始まったのをニュースで見て馬鹿みたいだと思っていたら今度はミネソタで起きた、黒人男性の死亡事故に関連した抗議デモとそれに続く暴動。突発的かつ断片的なムーブメントが続く。数年前にALSアイスバケツチャレンジが流行った時、ソーシャルネットワークでやたらと氷水をかぶるフィードが来て、あまりに気軽にチャレンジが拡散していくのを見るのが気持ち悪かった。私は今回のデモ＆掠奪騒動についてもそれに似た違和感がある。