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ロックダウンがきっかけで冷凍庫を買った話

 コービッド19のロックダウン前後の事を書こうと思ったけど、今日は2023年の2月1日水曜日で、3年前の3月の何日に時系列でこういうことがあってというのがすでにうろ覚えになっている。

 3月17日という日付けが記憶にあるから勤務先のメールを遡って前後関係を調べたら、やはり2020年の3月17日の火曜日からリモート勤務に切り替えたようだった。17日の午前中は休みますと上司にあてたメールを見つけて、あゝそうだ、その朝は食糧の買い出しに行ったんだと思い出した。

 たしかその前の週に一度、職場の人たちみんな日中に家に帰らされてリモートワークの予行練習をした。すぐにどうこうでは無いという話しだったのに、翌週、16日の月曜日出勤したら自宅勤務に切り変わるからモニターとか仕事に必要な荷物をまとめて家に持って帰るように言われたのだった。

 切り替えが早い人はもうその日も家から働くと言ってさっさと帰って行ったが、私はザワザワ殺気だった雰囲気で少し不安なような、お祭りの準備のようなちょっとした興奮で、同じ様な同僚数人と少し立ち話をしていた。

 部長が来て、肉が値上がりしそうで心配だから精肉加工所に牛を半頭買いに行くと言った。他の人達もその足で保存食の買い出しに行くという。私も食料品店に行かなくちゃとは思ったけれども家には小さ目の冷蔵庫が一台あるだけだからまず冷凍庫をゲットして来なくては。

 仕事の機器を家に持って帰り、ネットで近隣の店で冷凍庫の在庫を探す。どうやらFarm&Fleetという農業系の大型店舗にチェスト型の小型冷凍庫がひとつあるようだ。他はどこも売り切れ。
 
 タイミング悪く夫は遅番シフトに出勤してしまった後で一緒に買いに行けない。彼の職場は携帯使用禁止なので休み時間になるまで連絡がつかないだろう。冷凍庫をピックアップするのに彼のミニバンが必要なのでスペアキーを持って夫の職場の駐車場に向かった。

 自分の車をそこに置き、夫のミニバンでファームストアに乗りつけると、お店の人が2人がかりで後ろに積んでくれる。ミッション完了。再び夫の職場に戻り、自分の車で家に帰った。

 夜遅くに彼が帰ってから2人でなんとか地下室まで冷凍庫を下ろし、梱包をほどいてみたら冷凍庫のとびらにぶつけたような目立つへこみがあった。アラどうしよう、交換?と思ったけれど、これがその店にあった最後の一台だし近隣の店にももう在庫はない。

 夫が階段から下すのはできたけど持って上がるのは無理だと言う。翌日には食糧を買わなきゃいけないから見た目の悪さは諦めてそのままで使うことに決めた。翌朝お店に電話で事情を説明したら値引きしてくれるという。

 夫と一緒に値引き手続きに行きがてらその近くのWalmartで冷凍食品を買って帰るつもりだった。しかし、前日よほど人が殺到したのかWalmartは掠奪後みたいなになっていて、とくに冷凍食品は見事に何も残っていなかった。すっからかん。えええ!マジですか?普段食べないようなオクラとかマイナーな冷凍品まで無い。掃除もされておらず通路にいろいろゴミが落ちているし、なんだか嫌な「気」が立ち込めていたので早々に店を出た。どの店もこんな殺伐とした状態なのだろうか?

 ローカルの、食料品だけ売っている店に行ってみると、店内は打って変わって明るく、きちんと掃除もされており、いつもと変わりないくらいに冷凍食品も補充されていた。当面必要な量をカートに積んでレジへ行けば店員さんが「大丈夫ですか?」と声かけしてくれるのがなんだかとてもありがたく、支払いを済ませてレジを離れる時も「お気をつけて。」と気持ちを込めて言ってくれた。

 それまでは周りの友達がWalmartは従業員への報酬や福利厚生が酷いからといって買い物するのをボイコットしていても、自分はそういうのはあまり気にせずにWalmartでも買い物していたけれど、会社が社員を大切にしていないと社員も店を大切にしないんだろうなというのがあの日の殺伐とした店の雰囲気ですごくよくわかったので、私はそれ以来あの店に行く機会がガクンと減った。

 うちが買った冷凍庫は牛の半身が入るような大きさではないが、畑で採れすぎたトマトとか、バターが超お買い得だから多めに買ったとかの時にストックできるようになって、気が楽だ。今は買ってよかったと思う。

 ここは、アメリカなのに、物を増やしたくない一心で冷蔵庫に付いてる冷凍室だけでいいんだと頑なに冷凍庫を買わないことにこだわって来た数十年、自分は何を我慢していたのかなぁと思う。


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