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「冗長」その①・ITから学ぶ人生格言

 ITの世界の進歩はすさまじい。
情報の処理をするスピードを高めることを目的に作られ、世界中から瞬時に意見を交換できるという特質も相まってのことだろう。
ITの世界では、常に天才たちにより情報が共有され、世界自体がブラッシュアップされていく。

 そんなITの世界には、私たちが生きていくうえで大切にしていくべき知恵もいっぱい詰まっている。
ここでは、そんな天才たちが考え、ITの世界を支えている言葉・考え方のうち、自分たちの人生にも役立つようなものをピックアップしていきたい。

 今回は、「冗長」という言葉を取り上げよう。

<冗長とは>

 冗談のように長いと書いて「冗長」。
つまりは、余計であったり、無駄に長いというような、そんな意味だ。
あまりポジティブな言葉ではない。

 普通、教育の現場や仕事の世界では、冗長的なものは忌み嫌われる。
如何に早く、賢く、ゴールまでたどり着くのか。
そんな世界では冗長的なものは邪魔でしかなく、隙を生み、パフォーマンスを悪くしてしまう。

 3メートルの棒があれば十分なのに、5メートルの棒を買ってきてしまえば、切る作業が発生し、使いようのない2メートルの棒が残る。
そもそも求めているものよりも高い買い物となり、労力までかけなければならない上に、余ったものを処分、もしくは保管するコストまでかかる。
冗長により起きてしまったデメリットだ。

 しかし、ことITの世界では、この冗長という考え方が良い意味で、非常に重要な価値を持つ。

<IT世界で活躍する冗長

 なぜ、厳密さや正確さが求められそうなITの世界で、冗長という考え方が重要になるのか。
それは、ITが2つの性質を持つからである。

 1つ目は、何かの容量がパンクした時のリスクが甚大であることだ。
ITの技術を支えるのは、人間が最先端の知識を使って生み出した。
極小の機械たちだ。
小さな電気をためているかどうかの連続で、全てを表現しているような世界だ。
そんな厳密な世界に一つ、規格外の何かがやってきたらどうなるのか。
極論言うと壊れる。
だから、様々な電子部品の一つ一つに対して、そんな負荷がかからないように設計者は様々なケースを想定しなければならない。

 2つ目は、ピークの幅が尋常でなくコントロールが難しいということ。
1日にコンビニに来るお客さんの数は、平常時とピーク時でどれだけのものだろうか。
例えば、近くでお祭りやイベントがあったら、平常時と10倍の開きがあるかもしれない。
では、100倍はどうだろうか。
ネットで調べて簡単に計算すると、1時間に4000人のお客さんがコンビニに入る計算になる。
常時70人ぐらいが一分おきに出入りすると、だいたいそのぐらいの人数だ。
ありえなくもないが、ここら辺が限界値だろう。
しかし、ITの世界はコンビニの比ではない。
電子ファイルはテキストか動画かで、平気で10万倍ほど要量の幅が出てくる。
ネットをつなぎ、金曜ロードショーで天空の城ラピュタが放送されれば、SNSには普段の何百万倍をゆうに超えるアクセスをたたき出し。
かの有名な3文字の言葉を繰り出される。
その平常時からピーク時の動きは、リアルの世界の比ではない。

 何かがパンクした時の被害が甚大なのに、ピークの上限が激しくコントロールが難しい。
だからこそ、カチカチと全て決める方法よりも、何が起きてもある程度許容できる程度の余裕が、無駄が重要になってくる。

 だからこそ、ITの世界において、「冗長」という考え方は重要になってくるのだ。

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